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ひとりぼっちの殺人鬼たち  作者: 秋も夏
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快楽殺人

人間は脆い。ナイフで刺しても死ぬ。衝撃を与えても死ぬ。なんなら1つの嘘ですら死ぬ人間もいる。

人は皆、1度は死に様や死んだ後のことを考える。カッコイイ死に方。無様な死に方。無念な死に方。

そして人は皆、誰しもが心の底に怪物を飼っている。それを見て見ぬふりをする者もいれば、飼い慣らしたものや、飼い慣らされた者もいる。


━━━━━2020年 東京都S区━━━━━

この言わずとも知られた場所に梔子 桜は佇んでいた。

ある人は沈まない街と言い、ある人はあの街を無法地帯と言う人もいる。

桜は、この街を後者だと感じていた。知られていないだけで1日のうちに必ず事件は起きている。ただ皆、それに気づいていないだけ。

道行く人を目で追うと、同じ高校のブレザーを着た女子高生らしき人物と腕を組む中年のサラリーマンに目が着いた。

明らかに年齢や距離感が異常に見える。今で言うパパ活というものにあたるのであろう。

桜は服のフードを被りながら後をつける。

目的地は近くの路地裏に入った小さなホテルであった。いかにもという感じの如何わしい雰囲気と名前のホテルに2人は消えていった。桜は2人が入った部屋の番号を確認して、ホテルの向かいにあったマンションに座り込んで待つことにした。

それから1時間経ったぐらいの時だった。中年男性と一緒に入った女子高生がホテルから出てきた。よく見ると、とても綺麗な顔立ちをしている。その子は高校では、とても有名な子であった。

名前は柊 楓。同じクラスであり、話したことこそないが、噂によると金を払えば誰とでもやると有名であった。

顔が分からないようフードを深く被る。ホテルの玄関で、すれ違うとシャンプーのいい匂いがした。

内装は外観とは裏腹に、とても綺麗になっていて洋風な雰囲気であった。

階段を目的の階層まで登ると全身が静けさに包まれる。ここの階層だけ別世界のように音が消えている。

部屋の前には金色の金属板に部屋番号が掘られていた。

ドアノブをゆっくり回すと部屋の灯りが消えていることに気づく。中からは廊下の静けさとは一転して、シャワーの音と陽気な歌声が聞こえる。

桜はシャワー室の前にしゃがむ。10秒ほど経つとシャワーの音と歌声が止まり扉が開く。

全ては一瞬の出来事であった。桜が事前に用意した包丁で頸動脈を切り付ける。刃渡り10cm程の包丁が綺麗な線を描く。男が反応する間もなく血が風呂場に吹き出す。そこで痛みのあまり男は膝から背中へと崩れ落ち、手で首を押さえながら泣き叫ぶ。

間髪入れずに丸々と膨らんだ腹に何度も突き刺す。

何回刺したって、この感触は忘れられない。ブニュッとした感覚で何度も刺したくなってしまう。

刺し続けるうちに抵抗していた男も遂に動かなくなった。

返り血を全身に浴びた桜は泣いていた。いつもこうである。食べ物に感謝をするがごとく、人を殺す。自分自身が愛を持って殺していることを忘れてはならない。

息も絶え絶えに夢中に刺し続けた男の腹の中からは内臓が飛び出している。

うっとりとした目で、動かなくなった肉塊を見て笑みこぼす。無邪気な子供が無邪気にイタズラをするような笑顔だ。

「頸動脈は何回切っても、あの血が吹き出す感覚が気持ちいいな…」

ふと桜の心の中の声が漏れてしまった。

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