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繰り返す悲劇4

投稿致します。よろしくお願いします。

「何よ、ここ! 何処よ!? 早く! 早くしないと!!」


(落ち着いてください! 本当にリョウ様の命が終わってしまいますよ!)


また声がした。

でも一生懸命に周囲を見渡す京華だったが、やっぱり誰も居ない。

これで落ち着けと言われて落ち着ける訳が無かった。

今にも涼介は息を途絶えてしまいそうなのだ。


「誰よ! 姿を現してよ! 涼介を助けてよ!!」


叫ぶ京華の前に、なんの前触れもなく一人の少女? が現れた。


「て、天使?」


そう、京華は口にする。

それは正しく天使だった。

背には神々しいまでの白い羽根が生えていて、金髪、碧目でこの世に存在しないと言いきれるほどの美しい存在が京華の目の前に現れたのだ。


「いやああああああ!! 涼介を連れて行かないで! あんたあっちに行ってえええ!!」


(ちょ、ちょっと落ち着いて下さい! 私はこのリョウ様本来の世界にお戻りになるように探しに来た者です! 死神とか天の御使いとかじゃ無いですから!)


「ほ、本来の世界? あんた何言ってるの?」


完全に不審者を見る目の京華に少し苛立つ少女だが、今はそれどころでなかったので、とにかく説明を続ける。


(とにかくもう時間がありません! 今は貴女との繋がりがリョウ様の魂を引き止めてるんです! 貴女が心見出せば、リョウ様の魂はこの世界から離れてしまいますよ! 死なせたく無いのでしょう?)


「当たり前じゃない! あなたがどうにか出来るっての?!」


(今の状態のまま、生き返らせるのはもう不可能です。でも別世界にあるリョウ様の本来の器に魂を戻せば問題ありません。)


「それは、本当なの? 大体、別の世界って、異世界なの? そんな夢物語みたいな、」


(信用する、しないは貴方の勝手ですけど、このままじゃその身体から解放されたリョウ様の魂は本当に消滅してしまいますよ。)


京華は少女が話す内容は到底信じられる話ではなかった。

だけど、もし本当に涼介を助ける事が出来るなら、その怪しい者に賭けるしかなかったのだ。

ただ、


「それで涼介は本当に助かるのですか?」


(助かります。いえ、必ず助けます! 私共もこの方は必要なお方なのですから。)


「ちょ、と待って。それって、お姉ちゃん、も、一緒、だ、よ、ね?」


掠れる声で、涼介が二人の会話に割って入ってきた。


(え?、それは、ちょっと難しいのでは、一応貴女はまだ身体と魂が強く結び付いてますから。)


天使の様な少女は涼介の問い無理ときっぱり言い切る。


「なら、嫌、お、姉ちゃんが、側に居ない、なら、生まれ、変わっても、ダメ、だよ」


「リョウちゃん。」


(そんな事言われましても、すぐにどうにか・・・いや、出来るかも? でも確率は高く無いですし、絶対な保障は出来ませんよ?)


「それで、構わないわ! リョウちゃんと一緒に生きられる可能性があるなら、今の状況よりは、かなりましよ!」


二人の願いは真剣だというのは天使の少女も解っている。

けれど、リョウを連れ戻すだけの役目の自分に、もう一人連れて行くというのは、可能であるがやって良いもだろうか?


「早くしないと、リョウちゃんが死んじゃうよ!!」


(ああ!もう! 解りました! 本当に保障しませんよ! 転生が上手くいったとしても必ず会えるという保障もないですからね! いいですね?」


「「はい。」」


(くそう、二人して良い顔するのね。羨ましい!! でもこれだけ絆が強ければもしかしたら。)


「何、ブツブツ言ってるの?」


(じゃあ、もう! 始めますね! 知りませんからね!!)


天使の少女がそう言って手を上に振りかざすと、巨大な魔方陣が二つ表れた。

その一つの魔方陣の中心から光が涼介に向けて当てられると身体全体が輝き出す。


(さて、リョウ様はこれで問題ありません。では約束通り貴女も転生させます。貴女お名前は?)


「京華よ。」


(では、京華、死んでもらいます。)


「「え?」」


一瞬だった、京華と涼介が何かを言おうとする間もなく、天使の少女はいつの間にか手に持っていた銀色に輝く一本の槍を京華目掛けて投げつけ、それが見事に京華の胸を貫いていたのだ。


「な、何を・・」

 

「お、おねえ・・」


二人はこの状況を飲み込めないまま、それぞれが魔方陣の光に照らされ、徐々にその身体を霧が霧散するように掻き消していった。


(あれだけ絆が深ければ、早いうちに会えるでしょう。ただ一緒に暮らせるとか、そんな事にはならないけどね。だってあの方は人ではないのだから。)


完全に二人が消えた事を確認した天使の少女は、新たに魔方陣を天空に現し、自分もその中へと姿を消した。

読んでいただきありがとうございます。


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