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繰り返す悲劇3

投稿致します。

京華は前面が大破している車の前へ移動する。

車のボンネットが衝撃で大きく曲がり持ち上げられ、先端の方は植木を巻き込みながらブロック塀にめり込んでいた。

その破壊された塀と車との間に挟まる植木の影に、人影があった。

それを見つけた京華は、自分の服や肌がその植木で切られ、破れ血が出るのも構わず分け入って行く。


「リョウちゃん!!」


意識が無いのか返事が帰って来ない。

京華は必死に枝や葉を退け、ブロック塀に寄り掛かるようにしている涼介の頭を自分の胸に抱える。

血だらけになった顔を手で拭い、コンクリートの破片で白くなった頭を撫でる。


「お、お姉、ちゃん・・・」


「!? リョウちゃん!!!」


涼介の意識が戻りその頬に自分の手を重ねる。

弱々しいが涼介の声を聞いた事で少し落ち着く事が出来、改めて状況を確認する事が出来た。


「?!!!!!」


京華は言葉にする事が出来なかった。

確かに京華は涼介をちゃんと抱えている。

なのに2メートルくらい先の塀が崩れた山の中に、見覚えのある靴を履いた足が埋もれていた。

それはどう見ても繋がっている事が不可能な位置だ。

吐きそうになるが、それを無理矢理、押さえ込むと、できる限りの冷静な顔で涼介を励ます事を

考える。


「今、助けるから!! もう少しの辛抱だからね! 大丈夫だからね。もうすぐ救急車が来るから!!」


京華は必死に涼介を励ます。

それに答えるように時折笑顔を見せる涼介だったが次第に顔色が悪くなっていくのが解る。


「お、姉ちゃん、ご、めんね。やく、そ、く、守れ、ないや。」


弱々しい声で、それでも精一杯な笑顔で話す言葉は、自分の状況をしっかり解っている言葉だった。


「何言ってるの!? これから二人で何でも出来るんだから! 大丈夫だから!」

「僕も、そう、したい。だけど、む、りそう、だから。お姉ちゃん、ごめ、なさ、い。」

「なんで! あんたが謝るのよ! こんなの理不尽よ!!」


京華は自分達の運命を呪った。

なんで私達には幸せが訪れないのか! 一体どれだけの仕打ちを受ければ世界は許してくれるのか?!


「だ、めだよ。お姉、ちゃん、そんな、恐い顔、し、たら。」

「リョウちゃん・・・」

「僕、お願いする、から、もし生まれ、か、わるなら、今度、こそお姉ちゃん、と幸せに くらせ、る様にって ゴホッゴホッ!」


咳と共に吐血する弟の顔はどんどん青ざめていっているのがわかる。

京華は抱きしめている弟の体温がドンドン下がるのを感じてしまう。

何とかして繋ぎ留めたい!


「私も、リョウちゃんと幸せに過ごしたい! でもそれは来世じゃ無くて今なの!」

「うん、でも、もう、ご、、、、め、な、、さ、、、、、」


聞こえない。

口に耳を近づけても、もう声が聞こえない。

微かに口が動くだけ。

強く抱きしめる。

心の中で叫ぶ。


『涼介! 涼介!涼介!涼介!涼介!涼介!涼介!涼介!涼介!りょうすけーーーーーー!!!!! 神でも良い、悪魔でも良い! 誰か! 涼介を助けて!! 』


(ふう、ようやく見つけ出せました。まさか3000年もかかるとは思いませんでしたよ。さあリョウ様皆がお持ちです。帰りま・・・・な!? なんですか! この状況は! まさか悪魔が先回りして・・・・ と、とにかく早く魂を安定させないと!)  


京華は、涼介を抱えたまま、固まっていた。


(何? 今の? 女性の声? 私変になった?)


突然、女性の声が頭の中に響くように聞こえてきた。

周りを見渡す。

誰も居ない?

?? いや居ないどころでは無かった。

京華と腕の中にいる涼介以外、誰も居ないのだ。

それも語弊があるか。

人も車も、そもそも景色が存在しない。

真っ白な空間にポツンと自分達だけが存在していた。

引き続き、ありがとうございます。

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