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エンドロールは皿の上  作者: 龍崎悠
2/18

1皿目

佐野 令…さの れい。主人公。21歳、男。自営業。

篁 蠢…たかむら しゅん。隣人。26歳、男。俳優。

大光明 純星…おおみや すばる。28歳、男。刑事。

【5/22 AM6:50】


「…?」

朝の珈琲を片手に、聞きなれないパトカーのサイレンを聞きつけてベランダに出る。マンションのすぐ横の公園で何かあったらしい、黄色い規制線とビニールシートで覆われている。今到着したパトカーの他にも救急車が見え、中が見えなくても何か起こったことはよくわかった。近所で騒がしいことだ、ため息をついて珈琲を啜る。

「何だろうね」

「あ、篁さん。おはようございます」

隣から投げかけられた声に、パーテーションに目線を移す。少し前に不注意によって壊してしまったそれは未だにぽっかりと穴が空いており、管理人に言って直す気にもなれず放置してあるままだ。穴の向こうには普段着のまま、カーディガンではなく毛布を羽織っている隣人。うららかな陽気とあれど春先の朝は寒い、彼は「おはよう」と挨拶を返すとくしゃみをした。

「寒そうですね」

「うふ、ちょっとだけね。それより事件かなあ?あんなに沢山警察の人が…あっ、純星くん発見」

「えっ、どこです?」

「ほらほらあのパトカーに凭れて、第一発見者…かな?からお話してるの」

なるほど、確かに指差す先には見覚えのある後ろ姿。友人である刑事のあまり見ない仕事姿だった。メモをしているところをみると、熱心に話を聞いているようだ。

「物騒な事件だったら嫌だなあ。昨日も一昨日も警察車両をいっぱい見たもの」

「というかこれだけ来て、物騒じゃない訳ないでしょう…」

純星さんは話していた人をパトカーに乗せると、鑑識のような人と二、三言交わしてから助手席に消えた。この町に元々知名度が無いためか、それとも警察が公表していないのか。報道陣や野次馬の姿は見えなかった。

「さて、そろそろ準備しよっと」

人がはけ始めたと見ると彼はひとつ伸びをして、首を鳴らした。

「お仕事ですか」

「うん。今日は新しい映画を撮らなくちゃ、公開されたら見てね」

「楽しみにしてます」

「ありがと」

ばいばい、と手を振って室内へ戻る彼の後ろ姿を見送る。自分の仕事を思い返したが今日は暇だ。もう一眠りしよう、と自分もベランダから部屋に戻った。


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