表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集 冬花火

花と私と種と

作者: 春風 月葉

 生まれ変わったら何になりたいか?

 それは身も蓋もないことで、考えたところで意味などないのだろうけれど、私はふとそんなことを考えた。

 できることなら、私は花になりたいと…そう思った。

 それはきっと、私という者の生が、ただただ長いばかりで中身の無いことが原因であろう。

 故に私は憧れる。

 花という者の生き方に。

 短き生の内、さらに短き花開くそのひと時に、持ち得る命の全てを燃やす。

 まるで私とは正反対の美しい生き方であろう。

 生まれながらにして生きる理由を持ち、手に入れし己の個性とも言える鮮やかな色を堂々と誇り、少しでも長く花であろうと命を削る。

 あぁ、なんと素晴らしい生き方だろう。

 未だ生きる理由さえも見つけられず、いたずらに命を消費する私が恥ずかしい。

 あぁ、なんと悲しい生き方だろう。

 花になれなかったことを悔やむ度に、瞳から涙が溢れる。

 せめてこんな私の想いが、花々の輝きを一秒でも長くできたなら。

 そんなことを思いながら、落ちかけた水滴を爪の先に乗せてポタリと乾いた大地に落とした。

 私の花弁は何色だろう?

 私という名前を付けた花は、枯れた大地に芽を出さない。

 花を咲かすことのできないこの種と私、どちらが幸せなのだろう。

 私はまた、そんな意味もないことを考えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ