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兎にかく、あるべき生は要らぬ  作者: 健安 堵森
第二章 ただそれだけで
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十八話 はぐれた狩猟者

久しぶりで忘れたら


読者に、かくあるべき説明は要る


(https://ncode.syosetu.com/n3529fw/)を見てネ

 

「ひゃっほーーゥい!」


 風を置き去りにする程の速さで走行するのは、とても刺激的なのだろう。興奮している気持ちを紛らわすか如く、コオドは度々絶叫しているが、ネキロム以外はその昂りに同感していた。


 この世界に、刺激的な趣味・行為はとても少ない。ましてや現代人でも病み付きになるスピードを出す行為に、娯楽に触れ合う機会が少なかったハーニア達が、心惹かれるのも当然の事だった。


「……魔物との距離も、随分と離れたわね」


 靡く髪を抑えながら、ハーニアは後方を睨みつける。先程まで形を認識出来ていた魔物だが、また米粒くらいまで離す事が出来た。


「でも、まだ追って来ているよね」


「なに、この速さだ。追い付ける筈が無い」


 クーラウの心配もマルディが安心させる。支え合うチームワークに、ティグリスは安心と懐旧を抱く。昔の同僚にもこういう人がいたなと思い起こすが、顔はもう浮かばなかった。


「ねえ、ティース。この舟はどういう原理で動いているの?木でも同じのを作れるのかしら?」


 ハーニアはティグリスに質問をする。強さを求めるハングリー精神には感心するしかない。確かに似たような舟があれば、移動時間を短縮し、様々な事に時間を割けるかもしれない。

 一度、技を教えた関係としても、ハーニア達には強くなって欲しいとティグリスは思う。ハーニア達が作れるかは別として、今後も見据えてネキロムに聞いた舟の特徴を話した。


「原理は普通に気付いてると思うけど風だけだよ。帆を張っているから普通の舟と余り変わらないね。でも船底を引っ込むように曲線状にして、砂との接地面積を減らしているんだ。後はこの砂漠の砂が細かいからかな。細かいと滑り易いからね」


「ふぅん……ちょっと待って。この先は荒地よ。この舟で進めるの?」


 ハーニアの言う通り、砂漠を抜けた先は、短い草木が生える荒地となっている。少し形が違うとはいえ、舟である今の《空の方舟(ムルエカカール)》には走行不能であろう。


「なら──、車輪を付けるよ。それならば問題無いだろう?」


 ネキロムはうんうんと頷いている。これは上手く代案を出せたと自画自賛している頷きである。


「そう。それならば心配は無いわね」


 納得したハーニアはそれ以上追求することは無く、楽な姿勢を取った。





 ──そうした移動方法で、二日は過ぎた。夜はいつも通り見張りを立てて睡眠を取っていたのだが、魔物が近付いてくる気配は無くなっていた。

 舟の移動が速過ぎたのか、ラクダの囮が効いたのか、はたまた別の要因か。

 何かは判らないが、取り敢えず背後の脅威が去ったのは事実。

 ティグリス達も安心感を覚えながら、旅を続ける事が出来ていた。


 しかし、ここで問題が一つ。


「──なぁ、魔物もいなくなったんだ。わざわざ山に行く必要は無いんじゃないのか」


「いいえ、南下してトファース共和国に行く。これは決定事項よ」


 ルートの選択。それが〝群青〟の狼の間で別れていた。

 一つは元の道のり。東へと大きく迂回をして山脈を避ける道筋。このルートでは、あと二ヶ月程は時間が掛かる

 もう一つが南下の道のりで、山脈を突っ切っていく道筋。こちらは一ヶ月程と半分の時間となっている。

 東のルートがマルディとクーラウ。南のルートがハーニアとコオドが選択していた。


 ティグリスとネキロムに関しては、両立の立場を貫いていた。ネキロムはこの旅が早く終わる事と、強い魔物とは出会いたくない事の葛藤故。

 ティグリスは〝群青〟の狼で意見が割れた時の対応力を育てる為に、敢えて無言を貫いていた。


「山はまだ俺達には無理だ!六級相当の魔物がうようよいると聞く!皆の安全を考慮するなら、断然東に進むべきだ!」


 マルディは皆の事を考えている。慎重派と言うべきか、間違った事は言っていない。なまじ頭が良い分、当然の事を言っているのだが、マルディは〝現在〟を見ている。ハーニアはその先の〝未来〟を見据えていた。


「六級の魔物?丁度いいじゃない。今の私達は弱い。それは認めるわ。ならば共和国に行く前に格上に挑んで力量を上げましょう。いざとなったらティースがいる。私達が苦戦しても四級のティースなら苦もなく倒せる。上級の狩猟者とこうして一緒に行動出来る機会なんて少ないの。安全に力量を上げられる機会なら、少しは無茶をするべきじゃない?」


 自身の未来への投資。それがハーニアの意見の内容だった。

 魔物にも、狩猟者と同じ一から十の等級に分類されている。基本的に同じ等級の魔物を狩猟対象とするのだが、同じ強さとずっと相対してばかりでは、力量が上がることは無い。

 組合の目安としては、二等級上の敵までにしか挑む事が推奨されていない為、八級のハーニア達にとっては手頃な相手といえる。

 また、格上の相手に挑むというハイリスクハイリターンを、ティグリスという安全策が同行してローリスクハイリターンにしているのも、ハーニアが南へ進むのを推す理由の一つとなっていた。



「ムゥ……。ならティースの意志はどうなる。そう都合の良い扱いをされて、ティース自身に利点はあるのか」


 ハーニアの考えに一理あるのかマルディは呟きを残す。そして流し目でティグリスに訴えかける。

 しかしティグリスはその訴えを否定した。


「マルディ、今回は君達の問題だ。四人の意志が二つに分かれている。それは危うい事だと僕は思う。僕の意見で左右されるのでは君達の意見は無いも同然。それは君達の為にはならない」


 決めるのは自分自身。他人が言ったからと意見を変えているようでは、ハーニア達は強者になる事は出来ない。


「僕に利点が無いだとか、都合良い駒扱いとか、そういうのは気にしないで欲しい。僕自身、君達と一緒にいて色々なことを学べている。……おっと、そしたら利点が無いという点は消えたね」


 そうは言ってもマルディは納得出来なかった。どうしても引け目や不安が無くなる様子では無い。

 見兼ねたティグリスは、ならば少しだけと助言を与える。


「今回二人の提案はどちらが悪いというものでは無いよ。片方は安全、片方は向上心。結果を覗かなければ正解なんて分からないしね。だからマルディ、君が思う正しさを貫け」


「俺が思う……?」


「ハーニアが狼の〝頭〟だから。頭が良いからとで納得するのは駄目だ。ハーニアだって間違う時もある。そうなったら止めるのは君だ」


 その言葉を受け止めるように、マルディは兜で見えぬティグリスの顔を覗き込む。


「その練習として、今回はハーニアから東の旅路を勝ち取ってみるといい」


「なるほど、わかった……」


 マルディはハーニアと向き合う。その目には鋭い光が宿ったのかもしれない。

 その表情に、ハーニアも愉快と感じたのだろう。挑発的な言葉を放った。


「さあ、いくらでも言ってみなさい?返り討ちにしてあげるわ」


「フッ、望むところだ……!」


ハーニアとマルディの間に火花が迸る。


「ほら、コオドとクーラウも。仲間なら一緒に、ね?」


「おう!」

「はい!」


 小さな舟の上での議論の場。議論は熱を帯び、言葉は風に消えてゆくも、しっかりとハーニア達の経験には刻まれていった。



 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲




 議論が終わったのは、ちょうど荒れ地が見え始めたお昼過ぎ。


「ぐぅぅ……!」


 マルディが拳を固く握りしめ、ハーニアがふんぞり返っている。

 その様子を見て、ティグリスは声を掛けた。


「どうやら、結果が出たみたいだね」


「すまない、ティース。俺が無力なばかりに……」


 何やら感傷的になっているマルディだが、ティグリスに不利益な事は起こっていない。無視してハーニアの方を見ると、肩を竦めていた。


「こいつ、実はちょっと感情的になりやすいの。ま、話し合いは南で決まったから」


 その言葉を聞くと、ティグリスはネキロムを起こす。出番が無く、言葉を喋らせて貰えないネキロムはただ眠るしかなかったところ、やっと仕事が出来たのだ。


『ん?おうおう、えーと《空の(ムルエカ)──台車(スルク)》』


 砂地から荒地に切り替わる瞬間、方舟を魔法で改造する。車輪が砂に線を引いたかと思うと、今度は枯れ草を薙ぎ倒して進む。

 砂漠と違い、石や凹凸な大地で振動が増した。しかし意外な事に、素材を空気とした事で振動を吸収してくれている。


『おお、これは意外な発見……』


 車自体がサスペンション。これならば次に魔法のラクダを創る際に役立つかもしれない。

 棚からぼた餅に浮かれていると、車が大きく揺れる。


『ぎょっへ!?』


 あまりの揺れに、ティグリスの肩から転がり落ちたネキロムだが、運良くクーラウの膝元へ乗っかった。


『ヘタクソドライ……』


 誹謗の言葉が脊髄から漏れ出ていたネキロムも、言葉が詰まらざるを得なかった。

昼が夜になったと錯覚する程の大きな影が、ネキロム達に覆いかぶさったのだ。

 それはアイボリーの色をした蛇腹が、天を裂きながら大地から伸びている光景だった。


『──ぃいい!《大疾風(ムニマルギ)》ィィィ!!』


 ネキロムが米粒と勘違いされる程の巨体に押し潰される前に、風の手がネキロム達が乗る車の帆を殴りつける。


「ZAAAAaaaaaaaaaa……」


 咆哮のような音が、大蛇から響き渡る。

 しかしそれも束の間、大蛇は大地の中へと帰っていく。


「うわ!」


 その衝撃は大地から車を、車からネキロム達を瞬きの間別れさせた。しかし僅かな時間でも、重力は別れることを許さない。



「きゃ!」

「う!」

「ぐ!」

「ぎッ!痛って〜」


 立っていたティグリスは兎も角、座っていたコオド達は強烈な尻餅をついた。痛む尻を擦りながらコオドは悪態をつく。


「くっそ、何なんだよあのデカブツは!」


「あんなに大きい魔物、見た事無いわ」


 眉間に皺を寄せて考え込むハーニア。しかし読んだ図鑑の中に、あのような巨体は記されていなかった。


「とにかく、また地表に出てこられたら対応出来ん。ティース、先程みたいに速度を上げられるか?」


「ああ、任せてくれ」


 やるのは当然ネキロムなのだが、ティグリスは良い返事をする。

 なぜならティグリスもただ任せる訳では無いからだ。


「フゥッ!!」


 剣圧で邪魔な草木を薙ぎ払う。蛇行して走行するよりも、一直線に行った方が速いという当然たる理屈だ。

 草木も枯れているものが殆どな為 、ネキロム達を邪魔するものは無かった──筈だった。





 ──巨大な魔物と遭遇してから数時間経った頃。日も段々と大地に近付いた時間。危機は突如として牙を剥く。


「ッ!?皆、全力で跳べ!!」


 最初に気付いたのはティグリスだった。気付いたのは偶然。夕刻の中、大地の亀裂を見つけたのは運が良かったと言える。

 警告の後、ティグリスは自身の言葉通り大きく跳んだ。それに続きハーニア、マルディ、コオド、クーラウの順で跳ぶ。ネキロムは寝ていた。

 クーラウが車を蹴ったその瞬間、大地には巨大な大穴が開いた。


 ──シンクホール。地球上ではそう呼ばれる天然の落とし穴。石灰岩や苦灰岩の地域で地下水の浸食、化学変化等により地下に空洞が発達し出来上がる。


 今現在、出来上がった理由は不明だが、ネキロム達を襲っているのはシンクホールと呼ばれる大穴だった。


『──ん?おおぉおぉおぉ!?』


 車を呑み、ネキロムを呑み、そして次に大穴が狙ったのはコオドとクーラウだった。


「クーラウ!コオド!」


 ティグリスが崖際でハーニアの手を握る。そのハーニアはマルディを。そしてマルディは、クーラウの手を握っているコオドの手を掴み取ろうとした。しかしその手には距離が足りなかった。


 悲鳴が響くことは無かった。ただ静かに小さく、闇はコオドとクーラウを包み込んでいく。そしてマルディの目に映る暗闇に、二人の姿は消えていった。





『──ひょおおおぉぉぉおおぉ!?』


 落ちる。落ちる。兎が落ちる。今までの罪を裁く為に地獄に堕ちるかの如く、ネキロムは落ちていた。

 ふわふわとした夢心地だったのに、落ちる夢を見て身体が痙攣して目が覚めたら本当に落ちていた。

 寝起きで頭がこんがらがっている状況。しかしやるべき事は決まっていた。


『《割れぬ虹玉(スリビルスラピスリー)》!』


 大きなシャボン玉ならぬ空気玉を魔法で創り広げる。下方に展開する事で、着地時のクッションとした訳だ。


『むギュ』


 真っ先に空気玉に突っ込んだのは、創ったご本人のネキロム。突っ込んだ感想としては、子供の頃、運動公園にあった大型トランポリンで遊んだことを思い出していた。

 落下のエネルギーを無くす為に、ボヨンボヨンと跳ねていると、次に落ちてきたのはクーラウとコオド。


「──ぃぃぃゃああああ!?!」

「──ぉぉぉゎああああぁあ??!」


 この二人も空気玉に突っ込み、一命を取り留めた。落ちた距離は分からないが、ネキロムが魔法でクッションを創らなければ、怪我をしていたのは間違いない。

 コオド達の跳ね返りが収まるのを確認すると、ネキロムは魔法を解除する。

 予期せぬ魔法の解除だったものの、二人は難なく着地を済ますと上を見上げた。


「くそ、結構落ちちまったな」


「うん、天井も塞がっちゃってるみたいだし……どうしよう」


 その二人の発言にマジかと思い、天井を凝視するネキロム。どうやら崩れた地盤が重なり合い、層となっているみたいだ。


 これはいかんと危機を覚えたネキロムは〝繋がる心〟でティグリスと連絡を取り合う。


『もしもーし?ティグリス?もしもしぃ?』


『お、ネキロム。良かった。起きたんだね』


 ひとまずティグリスと連絡を取り合うことが出来、安堵したネキロム。コオド達の無事を伝えると、向こうも問題無しとの連絡が来た。

 さて、この事をどうやって伝えようかと悩んでいたネキロムに、コオドの言葉が聞こえてきた。


「いやーしっかし、ティースの魔法のおかげで助かったぜ」


 今なんと?ティースのおかげ?


 ネキロムは寛容である。

 と、思っているのはネキロムだけだが、今の発言は許せなかった。兎の逆鱗に触れてしまったのである。

 兎として培った脚力を活かし、コオドへ弾丸特攻。


「ごっっへぇ!?」


「きゃ!?」


 地に伏したコオドの胸倉へと飛び乗ると、マウントをとったネキロムはコオドに詰め寄った。


『おうおうおう!目の前にちゃんとした命の恩人がいるのに、他人に感謝たァ教育がなっちゃイねぇなァ!?』


「ッ!?クーラウ!誰かの声がする!気を付けろ!」


「うん!」


 突然の見知らぬ声に、コオドとクーラウは周囲を警戒した。しかし真実を知っている、もとい元凶であるネキロムは、コオドの顔に猫パンチならぬ兎パンチを浴びさせる。


「ぶ!」


『目の前にいるだろ目の前にィ!』


「へ……?」


 呆けた顔が、みるみる驚愕へと変わる。


「くくくクーラウ!兎が!喋ってる!」


 コオドが事実を伝えるも、クーラウも口をパクパクと開閉していて、驚愕を隠せていなかった。


『で、感謝は?』


「え?」


 コオド達は何一つ悪くない。自分で黙っておいて、自分でティグリスに功績を擦り付けたネキロムの身から出た錆だ。

 それなのに怒られているのは理不尽以外何物でもないのだが、それを知っているのはネキロムだけである。

 埒が明かない問答に、ネキロムは魔法で風をコオドにぶつけた。


「あ.......本当はお前が助けてくれたのか?」


『そうだよ』


 身体を起こしながら、ネキロムをそっと地面に降ろすコオド。


「そっか、アリガトな」


『うむ、苦しゅうない』


 承認欲求を満たされたネキロムは、これで一先ず落ち着いた。残っているのは今後の行動だ。


「それにしても、ホントにどうする?天井は塞がっているし」


『あ、地上のティグ──ティース達は無事な。今は穴から離れたところで火を起こしてるって』


「は?なんで分かんだよそんなこと」


『フッフッフ。これだから素人は』


 何が素人なのかは分からないが、ネキロムは自身の能力〝繋がる心〟を簡単に説明した。


「そんな……兎のクセに能力持ちだと……」


『フッ、これが才能の〝差〟かな?』


「ま、まあまあコオド君。良かったじゃないですか。連絡手段が確保できて」


 落ち込むコオドを慰めるクーラウ。しかしそんな状況とは露知らず、ティグリスから伝言が届く。


『おーい、ティース達から〝周辺に何かないか確認してみて〟だって』


「あ?ああ、そうだな。何か使えるもんがあるかもしれねぇもんな」


 のっそりと起き上がったコオドを機に、三人は周囲を探ってみる。


 土塊が多く、足場が不安定ではあったが穴自体複雑な形では無い。

 直ぐにクーラウが、何かを見つけたようだ。


「ねぇ!こっちに大きな穴があるよ!」


 その呼び掛けに、ネキロムとコオドが集合する。

 土塊で半分以上は隠れてはいるが、大きな横穴が続いているのが確認出来る。


「なあ、これって出口があるんじゃね?」


『方角は.......ちょうど南か。ティース達に聞いてみる』


 ティグリスを通して、相談をしてみるネキロム。もしかしたら、穴の先が出口に繋がっているかもしれない。

 その言葉を送り、届いた返事は〝進んでみる〟だった。

 返事をコオド達に伝えると、二人とも反対の様子は無い。



「おっし、そんじゃ今日は早めに寝て、明日にそなえるか」


「そうですね。魔物もいないし魔法で少し足元を整えれば充分寝られます」


 ネキロムも一緒に、寝床を魔法で整える。いつも魔法で土いじりをしているせいか、クーラウよりも土の扱いには長けているのはそのせいだ。


「おめェ、魔法いくつ使えんだよ……」


『火炎、疾風、大地、付与の四つな』


「そんな、私のにばい……」


 事実を知った衝撃に、クーラウは錫杖を取り落とす。今度はコオドが慰める番となったが、実は後二種類の魔法を使えると知ったら切腹でもしそうだとネキロムは感じた。

 騒がしい休息であったが、ネキロムはここで大事な事を一つ見落としてしまっていた。


 何故、火も灯していないのに天井を塞がれた穴の中で、互いの顔を確認出来ているのかを──。







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