三話 考えるのではなく感じるのだ
仕事が始まってもうたので本当に週一ペースになっちゃいます…。゜(゜´ω`゜)゜。
うーん、無理かも!
開幕俺自身でも訳分からん思考をしながら、さっき出た巣穴?に戻り寝そべっていた。
まさか俺が兎になっているとは夢にも思ってなかった。喉から出る変な音も、俺自身が兎ということならあれが兎の鳴き声ということで説明が付きそうだ。鳴き声聞いたことないから予想だけど。
また、兎ということは行動が制限されるのでとても辛い。
人型であるのであれば声が伝わらなくても、身振り手振りや道具を使い助けを求められただろう。
しかし四足歩行の獣となってしまっては物を動かすのにも一苦労し、充分な成果を得ることも出来ないと思う。
クーゥクゥ「あー、詰みそう。人生が兎生になってそのまま詰んで終わりそう」
……というかここは日本なのだろうか、とふと思ってしまった。
俺自身日本で野兎なんて見た事がない。外国の広い草原で穴掘って生活したり、駆け回っている姿を映しているテレビしか見た事がない。
…あるとすれば奄美大島だろうか。たしかあそこには黒い兎がいたはず。俺の毛並みは白だがアルビノという線でいけばなんとか展開が繋がっていく……。
うん、駄目だ。考えば考えるほど希望が薄くなっていく。
一先ず寝よう。そして起きたら何もかも綺麗さっぱり元通りになっているはずだ。なっていなくても明日にはここを出て彷徨う!決まり!おやすみ!
そうして俺は目を閉じて明日が来るのを待った。
…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
…ん?なんだ?
低く唸っているような音が俺の耳に届く。その音に大地は怯えているかのように震えている。
……めっちゃ震えている。……てか、地震だろこれ!早くここから出ないと!
余りにも遅く事実に気付いた俺は早く地上に出ようとする。
しかし時間が経つにつれ、強くなっていく地響きに移動の邪魔をされ足元が覚束無い。
俺は最早、地面に這いつくばって揺れが静まるのを祈るしかなった。
グウウウウウ!「おおおおおお、早く止まってくれー!!」
幾ばくかの時が流れ、揺れがおさまった頃、俺は頭を上げ状況を確認する。
どうやら揺れは収まったようだった。穴の中に特に変化はない。
グ、グゥ「し、心臓が止まるかと思った…。穴ん中おったら危ねぇな。はよここから出よ」
そう思って一歩踏み出した矢先、
ズボッ
俺の手、もとい前脚が地面を貫いた。
…………えっ?
俺の思考回路は停止するが時間は停らない。
俺の前脚が地面を貫いたのをきっかけに、周りの土が自然の摂理に従い下へと吸い込まれていく。
グゥウウウゥ!??「おおおおおおおお!??」
もちろん俺も土と同じく下へと落下していく。
危険に瀕した時時間が長く感じられる、というのは本当の話だったらしく、今落ちているこの瞬間がとても緩やかに感じられ、驚いている言動に反して心の中ではゆったりと死への抵抗が消えていく瞬間だった。
グッ!グォ!?「いたっ!おぼぼっ!?」
そんな絶望も尻の痛みと頭に降りかかる土によってすぐさま消え去った。
というか今日だけで三回も諦めの気持ちが湧いてくるような事が起きているのだが。
俺の絶望安過ぎない?
…クゥ「…まるで絶望のバーゲンセールだな」
なんとなく言ってみたかっただけです、ハイ。
頭に土を乗せながら言っても誰かが反応してくれる訳が無いので、俺は虚しくなって土を振り払う。
改めて状況を確認してみる。
落ちてきた穴は立った俺の三倍以上の高さにある。ジャンプしても全然届かなかった。
また、周りは先程と同じ土の壁だが俺のいた場所とは少し様子が違った。
まず左右に大きくトンネルのように伸び広がっている。そして壁の表面が何かによって抉られているような跡が残っている。
それが見えない穴の先までずっと続いている。
つまり、だ。
ここは何かが掘り通って出来た場所なのではないだろうか?
しかし、こんな兎の三倍以上ある大きさの穴を掘る生物なんて俺は知らない。土竜だって大きくても兎程度だろう。
うーん、考えても考えてもピンとくる答えが思いつかない。
とりあえずここからの出口を見つけるしかないか。
クゥゥ「まずは右か左か…だな。確か迷ったりすると左へ行く傾向が人にはあるんだっけか?」
よくネットとかで色々と見たり聞いたりしたことがある知識だが……、
クゥ「よし、左かな」
俺は俺の勘を信じるぞ。
そうして俺は左の道へと歩みを進めた。
…………………やっぱ右へ行っときゃ良かったかなあ。
あれからどれくらい経ったんだろうか。半日は経ってないと思うが結構な時間が過ぎていると思う。
ずっと歩いているのだが全然出口が見えない。息遣いも荒くなってきて疲れてきた。
ク、クゥ……「はぁ…はぁ…、まだなのか……」
無限に続くと思い込みそうな土のトンネルにまたもや安い絶望をほのめかしていた時、暗闇の中に何かちらつくものが見えた気がした。
闇と土しか感じられなかった俺にとってそのちらつくものはとても新鮮に、また嬉しく感じられ、街灯に群がる羽虫のようにちらつくものに向かって駆けて行った。
近づくにつれ、ちらつくものがだんだん大きくハッキリと見えてくる。
それは白くて、暖かくて、一日も時が経ってないのにとても懐かしく感じられる陽の光だった。
クゥクゥクゥゥ!「よっしゃあああああああああああああ!」
俺は喜びに打ち震え、叫ぶ。
駆け抜ける俺の体は停まるということを知らず、この延々と続くかと思われたトンネルを後にして飛び抜けた。
飛び抜けた先に待ち受けるのは暖かな陽の光、草木の柔らかな匂いだった。
その二つだけで俺が地上にいるという事が充分に実感出来た。
クゥ〜「ん〜!生きてるって感じ!」
俺は盛大に伸びをすると空を見上げた。
太陽は俺の斜め上で大地を照らしていた。そこから多分正午を過ぎて午後二時頃なのだろうと予測した。
小川で自身の姿を確認した時はまだ太陽が少ししか昇っていなかっため朝だったはず。そこから帰ってすぐにトンネルの方に落ちたため、大体八時間くらいトンネルでさ迷っていたのだろう。
クゥウ「さて、次はどちらへ進めば良いのやら」
北か南か東か西か。
北はだいたい寒いからパスだな。無難なのは東か西だがうーん、なんか普通過ぎてつまらんなー。ということは消極的に南かな。南国でゆったりバカンスでもしようかな。
この時の俺は八時間にも及ぶ地下道制覇の達成感に酔っていて、自称天使に向けていた恨みの念などは綺麗さっぱり忘れていた。
もうこれからの人生ならぬ兎生をどう過ごすかしか頭になかった。
クゥ「んじゃ、南へと進んでいきますかね」
そうして俺は南に向かって歩みを進めるのだった。
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この三つが私のご飯のお供なんで…