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兎にかく、あるべき生は要らぬ  作者: 健安 堵森
第一章 自分のことは自分だけが知っている
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二話 人間じゃあないんだが!?

 ゥクゥゥクゥクゥ「まてまてまてまて。落ち着け落ち着け。状況整理、状況整理だ」


 周りは土の壁で囲われている。土の壁は所々凹凸しており、誰かが地面を掘ってこの穴もとい、部屋を作ったのだろう。

 部屋の出入り口は目の前にある一つだけだ。どこへ続いているのかも分からない。

 とりあえず行動に出ようと立ち上がろうとしたその時————、


 グウゥ!!!??「なんじゃあああぁぁこりゃああああぁぁぁあぁ!!!??」


 ふさふさと白い毛が生えた腕を俺の目が捉えてしまった。

 自分の腕を持ち上げようとする。ふさふさの腕が持ち上がる。

 自分の腕を左右に振ってみる。ふさふさの腕が左右に振られる。


 グゥ…「俺の腕だ………。俺の腕が毛むくじゃらになっている…」


 理解が追いついてない。訳が分からなさ過ぎる。

 視線を下に落とすと腕だけでなく体全身に毛が生えているようだった。


 クゥ…?「なんでこんなことになってるんだ、祐樹と飲みに行っただけなのに………………?」


 ん?飲みに行った?祐樹と俺が?

 いや……違う。飲みに行ったのではなくて飲みの誘いが祐樹から来ただけだった筈だ。そして…、



 あーっ!あーーーーーーっ!!思い出した!思い出したぞ!!!

 祐樹となんて飲みに行ってない!

 その前にあのクソアマに事故らされて罪だか咎人だかなんだかであの暗闇に呑み込まれたんだった!


 グゥゥ!「ああああ、くっそ!あの野郎ォ!こんな訳分からんことしやがって!」


 俺はあまりの腹立たしさに地団駄を踏む。

 だが、地面に八つ当たりしたことによって少しだけ怒りを和らげることが出来た。


 クゥゥ「はぁ、とりあえずここから出て助けを求めるか」


 目の前にある穴を進み、外に出て人に助けを求めようと俺は考え歩き始めたが、すぐに倒れてしまった。


 グゥッ「ちっ、歩きづらい…」


 毛むくじゃらにされた時のの障害なのだろうか。上手く二足歩行で歩けない。

 それに起きた時から声の調子もおかしい。自分ではちゃんと言葉を喋っていると思っているのだがグゥやらクゥという音しか耳に入ってこない。

 こうあっては色々と自分の体に起きた事が知りたいが、とりあえずはここから出て行動しないとなにも始まらないので四足歩行で進んでいく。


 あっ、こっちの方が楽だわ。








 しばらく進んでいくと、斜面になっている穴の先に人工的ではない自然の光が差し込んでいた。


 クゥ!「おっ、外!」


 嬉しさのあまり、光に向かってダッシュするが一つのの考えが頭の中を過ぎった。


 この先に敵とか待ち構えているんじゃないだろうか…?


 そんな不安が俺の足を止まらせた。

 念の為、壁際に体を寄せて顔だけを穴から一瞬だけ出して戻す。見えたのは草木だけだった。


 なんだ、杞憂だったじゃん。


 そう思った俺は穴から勢いよく飛び出す。

 穴から出た俺を待ち受けていたのは自然が創り出す幻想的な癒しの空間だった。

 大地には青々と茂る草花、空からは木々たちが動植物たちの為に和らげてくれているかのような淡い木漏れ日。

 写真集などでしか見たことがないこの不思議とした空間に俺は感動…………することも無く、ただ


 クゥー「こんな山奥じゃ人いねぇだろ…」


 絶望していた。


 グゥゥゥゥ「あーもうやだ、誰か助けてくれー」


 誰も聞いていないと分かっていながらも半分、いや九割五分くらい投げ槍に助けの声を上げながら地面に寝転がる俺。

 声(実際には鳴き声だが)だけが、虚しく響き渡る。


 俺はこの名も分からない森の中、ひっそりと孤独死するのか……。


 大きく深呼吸をし、意識を整えてから木々の合間から見える空を見た。


 死ぬのはまあ冗談として、これからどうするか。


 一回寝てから考えようと目を閉じて、寝ようとした俺の耳にサラサラとした音が聞こえた。あるいはどうどうかもしれないし、そうそうといった感じかもしれない。


 とにかくこう、水が流れるような………ん、水!?


 水が流れているということは近くに川がある。川があるということはその付近に人が住んでる可能性がある。住んでなくても川を下っていけば海にでて人と出会う可能性大!。結論俺は助かる!!勝ち申した!


 無理矢理考えを完結させて希望を見出した俺はすぐさまに飛び起き上がり、音のする方へと走っていく。

 草花の中を突っ走った先には俺の目論見通り、小さな川が流れていた。


 クゥクゥ!「よっしゃ!これで後は下流に向かって進んでいけば…」


 助かる、と口にする前に自分の体が毛むくじゃらに改造されていたのを思い出した。

 もしかしたら化け物と思われるのでは?、といった不安が急に過ぎってしまう。


 ……一応、確認しとくか。あんまりにも酷かったら色々と考え直さねばならんからな…。


 そう思った俺は、小川に近づき水面を覗く。その先に映ったのは—————、








 愛くるしい白い兎ちゃんだった。


ブクマ、評価、感想宜しくお願いします!

この三つが私の生きる希望なんで……

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