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スカイ・ロア  作者: えむ
五、黒光
20/25

04

 それに、言ってしまえばこの事態は、自分が作り出してしまったと言っても過言ではない。やっとの思いで購入した石が、ヒヒイロガネだと知らなかったとしても、この状況は鋼介が原因で起こってしまった。だったらやる事は決まっている。責任の取り方は、決まっている。

「おい、お前!」

 鋼介は黒銀機体に向かって言う。

「お前の目的はヒヒイロガネなんだろ! だったら持って行けよ。僕が、僕が持ってるから! ばーちゃんと蒼衣姉ちゃんは関係なくはないんだろうけど、でも、そんなの、後付けの理由じゃないか! 見落としてたのはお前だ! それを、思い出したように蒸し返して、後付けて────」

 途切れる鋼介の声。

 黒銀機体の左腕が軽く振るわれ、捉えられた鋼介の身体が吹き飛んだ。小さな体は砂上を転がり、テントに突っ込んでようやく動きを止めた。

 蒼衣の位置から、見える。

 ぐしゃぐしゃにひしゃげたテントの骨組みの上で横たわる鋼介が。ぴくりとも動かない、 義弟の身体が。

 フラッシュバックする。

 数年前の。任務の。

 雪が降りしきる景色。母娘。

「──────」

 瞬間、蒼衣は、胸の奥底からこみ上げてくるの感じた。そして同時に、

「──来い! ブラン!!」

 自分の手足とも言える機体名を叫んだ。

 直後に空に響き渡る甲高い音──動力音。エンジンが出す打ちつけるような鼓動ではない。伸び続ける甲高い絶叫。光の羽が空気を切り裂く時にまき散らす飛行音。

 爆風と共に現れる光沢のない白。

 傷一つない機体は、スライドしてコクピットを開け広げた。

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