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スカイ・ロア  作者: えむ
三、漆原蒼衣
12/25

03

 それから私は、軍を飛び出した。

 知りたくて。

 ただ知りたくて。

 理由の、目的の、存在意義の根幹にある物の正体を。

 ──そして四年前の、あの夜に繋がる。

 軍を抜けた私を排除するために寄越された人型機体、〈MADO\frame‐next〉。

 私が駆る機体の正統後続機シリーズであるそれ。つまるところの後輩に、私は迎撃された。

 奴は言った。「あんたらの伝説は、すでに過去なんだよ」と。

 正論だと思う。与えられた存在意義を示すこともできず、勝手な思考で、衝動的に独断に踏み切った。

 それでも、私は生きている。

 墜落時、近くにいた少年に助けられた。あれから四年もの歳月が経っているが、私が生きているということが知れたとしたら、奴は、軍は、間違いなく私を消しに来るだろう。

 そうなる前に、私はここを去らなくてはならない。

 綾乃さんは、キャンプに残れと言ってくれる。

 しかし、駄目なのだ。

 恩人たる人たちを危険にさらしてしまう行為だけは、やってはならない。どうあっても死ぬべきなのは、私一人なのだから。

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