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7壊 感染

 放課後になって喫茶店にやってきましたが、お客さんは相変わらずいませんでした。それなのにカウンターの奥に私の姿をしたボスが立っています。生で自分を見るのは精神的に辛いものがありますよ。


「あの」

 転校生の事を訪ねようとしたら、私の背中に何かが飛びついてきました。前のめりに倒れそうになったところを、なんとか堪えます。


「お女王ちゃんこんなところでデート? ってお女王ちゃんが2人いる!!」

「…………」

 ちびちゃんとくーちゃんが私の後を尾行してたみたいです。ちびちゃんはボスを見て驚いていましたが、くーちゃんは無反応です。反応したら負けとでも思ってるのでしょうか。


「え、えー、ついて来ちゃったの?」

「最近素行が怪しいかったからな」


 酷い言われようです。「くーちゃんったら心配してくれたんだありがとう」なんて言ったら、色々と危ないので言いません。


「たくよー、部外者連れ込むなっつたろ」

「それでお女王ちゃん、どっちが本物!!」

「私ですよ!!」

 言動で分かるでしょうに!!

 怪しく口元を釣り上げて、私に注意するボスを無視してちびちゃんの質問攻めが始まりました。


「なんで2人いるの?」

「替え玉受験?」

「コピーロボット?」

「もしかして自分の体で……キャー」

 最後のなんですか……。頬に両手を当ててきゃーきゃー言ってるちびちゃんの後ろで、くーちゃんが真剣な眼差しで私とボスを見ていまいた。……後が怖いです。

「自分自身ときたか……いや、これはこれでアリか?」

 くーちゃんの呟きは聞こえなかった事にして、ボスに助けの視線を寄越しました。


「対価はムフフ」

「いいから助けてくださいよ」

 いやらしく笑っているボスを急かす様に言いました。

 ボスは咳払いをして、場を収めました。皆がボスを見ると、ボスは私の姿から髭の生えたおっさんになってました。その姿は喫茶店よりパチンコ屋が似合う感じです。

「知られちまったもんは仕方ねぇ。2人には秘密をバラしちゃる」

「ちょ、ちょっと!! 私の事ですか!?」

 私が真性の厨二病だなんて知られたら、学校に行けなくなってしまいます。

「大丈夫だ。私が面倒見てやる」

「くーちゃんが言うと重たいですよね」

 ……少し泣きそうになってしまいました。

「それで秘密ってなに?」

 話を戻したのはちびちゃんです。伊達に小さい訳じゃあないですね。


「俺とコイツは漫画みたいな能力を持ってる」

 ちびちゃんとくーちゃんは、信じられないからか黙っています。

「お前には厨二病が能力を持つって言ったよな?」

「そです」

「あれは嘘だ」

「……はい?」

 ならば私は厨二病じゃない!? やったー。じゃあなんで能力が使えるのでしょうか?

「能力は使えるもんだと自覚したら使えるんだ」

「じゃ、じゃあもしかして……」

 普通の人は能力を知らない。知ってしまった人は自分が特別だと言うが、普通の人には信じられず馬鹿にされる。それが厨二病の出来るまでなのでしょうか。


「大体お前が思っている通りだな。それで、俺達は誰しもが能力を使えるようにならない様に、能力持ち=厨二病のイメージを植えつけたのだ!!」

 本当にそんな事出来るのでしょうか? でも方法は分かりませんが成功したのでしょう。


「んでだ、たま~にお前みたいな天性的に能力を持ったヤツが出てくんだよ。それを言いくるめて悪さしないように仕向けるのも、俺達の仕事って訳よ」

 良かった。厨二病じゃなかったんだ。能力者=厨二病だなんて……、能力を人前で使用したら即痛い子扱いですか。それなら下手に使えないでしょうね。

 今まで黙っている2人が気になったので、様子を見てみました。2人共眼が輝いてます。


「自覚したら使える。なら私達は能力とやらを使える筈だ」

「どうやって使うの!? 教えてよー」

 おっさん(ボス)に迫る2人。おっさんは両手を上げて、降参のポーズを取りながら2人に能力の使い方を説明しています。そんな簡単に能力与える様な事しちゃっていいんですか?


「よし、やってみろ」

 そう言って私を指差すおっさん。え? まさか私で実験?


「私がやる」

 くーちゃんが私に手のひらを向けて……。見の危険を察知して、反射的に眼を瞑ってしまいました。

 ……少し時間が経っても変化があるとは思えなかったので、くーちゃんの様子を見てみました。

「……なんだこれは?」

 くーちゃんが私に向けている手には、日本刀が握られています。本人も驚いてました。

「どうやって消すんだ?」

「出したものは消せないし、肌身離れないぞ」

「死にたい」

 おっさんが適当に言いました。くーちゃんは肩をがくりと垂らし、今にも倒れてしまいそうです。


「次は私ー!!」

 ちびちゃんがくーちゃんの横からひょいと出てきて、くーちゃん同様手のひらを私に向けます。何かあったら嫌なので、今回も眼を瞑ります。

 次の瞬間、軽い目眩が私を襲いました。急に眩しい光を当てられた様な。そんな感じです。


 目眩はすぐに良くなったので目を開けてみると、巨大な塔みたいなものが見えました。肌色だったので、気になってそのまま上を見ていくと、塔だと思ったものはちびちゃんの足でした。何故かちびちゃんがとてつもなく大きくなっています。周りを見るとくーちゃんとおっさんも大きくなっています。これは一体……。

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