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5壊 破壊女王と転校生

 受話器は近所のコンビニのゴミ箱に葬りました。


 さて、学校です。今からだと2時間目には間に合うでしょう。

 遅れて教室に入るのは、少し気が引けますよね。

 街から学校へ。そして教室に着くまでの間、すれ違う人は私を見て嘲笑うのです。何か下手なことやらかした訳ではありません。なんなのでしょうか?


「お女王ちゃんおはよー」

 

 教室の入り口の引き戸を開け、自分の席へ向かう途中で、小柄なショートパーマの女生徒が挨拶してきました。

 運良く今は2時間目前の休み時間でした。

 パーマ女生徒。私は、彼女が小柄なので「ちびちゃん」と呼んでいます。ちびちゃんは人懐っこく、明るく元気で活発で犬みたいな子です。そして何故か私の事を「お女王ちゃん」と呼びます。お嬢ちゃんと破壊女王の女王をかけていると本人が言ってました。


「おは」

 挨拶を返そうとしたらチャイムが鳴りました。なんて間の悪い……。

 ちびちゃんに手を振って、渋々自分の席へ向かいます。


「今日は随分おめかししてるじゃないか」

 先生が来ないのをいいことに、右隣りの席の本を読んでいた女生徒が話しかけてきました。

 彼女は空いた時間があると大抵本を読んでいます。


「別におめかしとかしてないけど」

 私の席は窓際なのです。ふと視界に窓が映りました。肉。すっかり忘れてた。


「はわっ」

 これ油性じゃないですか。擦っても落ちる気配がないですし。

 ……すれ違う人達の笑う理由が分かりました。

「ほれ、これ使いなよ」

 焦っている私に読書をしていた女生徒『クールだからくーちゃん』が絆創膏を差し出してきました。

 どうやらこれで隠せって事みたいです。

 お礼を言って額に貼り付けます。後でエタノールが手に入るまでの我慢です。


「そういえば」

 読書に戻っていたくーちゃんが、突然何かを思い出した様子で私の方を向いて声を上げました。

「お前が休んでいた間に転校生が来たんだ。今日はまだ来てないが、お前の席の右斜め後ろの席だ」

 釣られて右後ろを見ます。席には誰もいませんでした。

 どんな子なのでしょうか? 男? 女? どちらにせよ人見知りがある私にはあまり興味が持てませんでした。


 30分経っても先生は来ません。

 教室を見渡すと、各々好きな事をして時間を費やしていました。

 そんな平和な空間を壊す音が教室中に響きます。そう、引き戸が開く音です。


「はぁはぁはぁ……クッ」


 入ってきたのは見たこともない男子生徒です。まだ夏が終わったばかりで熱いのにも係わらず、マフラーを首に巻いています。そして右手には包帯が無造作に巻きつけています。顔や髪はどこにでも居るような感じなのに、なんだか無理してる雰囲気が漂ってますね。

 何故か疲れています。走ってきたのでしょうか?


 教室は勿論静まり返りました。

 彼が転校生なのでしょう。歩きながら「チッ、アイツ等マジで来やがった」「次からはこっちも黙ってる訳にゃあいかねぇな」「だが……俺が力を使うと」「くそっ、どうすりゃいい?」「覚悟決めるか」


 等と教室の何処にいても聞き取れる様なボリュームでひとりごとを言っています。

 生まれて初めて見ましたよ。本物の厨二病患者。

 彼はヨロヨロと私の方に歩いてきます。自分の席に行くには、教室の前から教室に入ると後ろの方に歩く必要があります。嫌な予感がしましたが、自然の摂理だと思うことに努めました。


「おまえ!? まさか新人類か!! とうとう奴等は遺伝子改造人間を……」


 私の机に両手を叩きつけ、なにやら転校生が叫んでいます。きっと私が額に絆創膏を付けてたせいですね……。


「……帰っていいですか?」

「耐えろ」


 横目でくーちゃんに話しかけましたが、本を読んだままの彼女に吐き捨てられました。

再試の科目が早くも4つ決定しそうです。テスト中なので8月4日ぐらいまで更新できそうにないです。そして何故か使えない括弧。

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