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蒼空の連合艦隊  作者: 909
第二次世界大戦~第一幕 対ソ戦~
31/64

第二七話「日本軍の兵器開発 レシプロ戦闘機編 」

-ジェット戦闘機開発計画。それは秘匿名「J計画」とされ、日本軍の長期計画として1939年より進められている。計画の第一段階が「火龍」であり、その第二段階が「迅電」であり、「震電改」なのだ。その第二段階は完成を1946~1947年までの期間を念頭に開発されていた。




-呉


「ほう。敵はようやくヘルキャットが完成するか否かか」


山本五十六は米国でF6Fヘルキャットが開発されている事にも焦りを見せなかった。戦争が起きていないので完成してもすぐに量産が行われるとは限らないし、新聞は連日バッファローのフィンランドでの活躍を日本国民に伝えている。米国の議会はこの情報で日本機を`バッファロー程度だろう`と侮っている(軍は鍾馗などを恐れているが)。そう簡単にゴーサインは出さないだろう。ワイルドキャットで十分対抗可能とするからだ。コルセアは鍾馗を恐れる軍の要望で初期生産機が新鋭空母に搭載される事になっているが、まだまだ陽の目は見ていない。その間にこちらはヘルキャットを圧倒可能なレシプロ戦闘機「疾風」や「紫電改」を全面的に配備するまでだ。両機種とも今年の4月に初飛行予定であるし、

本格量産の開始は8月が予定されている。零戦の生産は現在の生産の主流になった武装を強化した二二型甲で打ち切る予定だ。(既存の二二型も改修キットでバージョンアップ可能)


「閣下、コルセアとヘルキャットは要注意と思いますが」

「君はカタログスペックでモノを言っとるね?」

「ハッ」

「確かにこの両機は零戦より高性能だが、米軍のパイロットにはその高性能を扱いきれるほどの技量を持つものは少ない。旧史では、此頃は手慣れたパイロットが多くいたから技量が低下し始めた我軍の搭乗員では個々の戦いで勝てても全体では負けるケースが多かったが、今は戦争が起きていない上に支那事変で失われるはずだった人材も温存できたし、ミッドウェーやガ島をめぐる戦いで死ぬはずのエースも全員生きている。そんなベテラン共に未熟な者が多い米軍がいくら高性能機で立ち向かおうとも真価は発揮できまい。旧史で起死回生を期してせっかく新型機を作っても真価を発揮できずに終わった我が国のように」



そう。それは旧史で様々な要員で新型機も真価をできなかった大日本帝国の実情を示していた。搭乗員技量の低下は致命的であり、マリアナ沖海戦やレイテ沖海戦で戦局を覆す目論見が全て潰えた一因でもある。最後には特攻という愚策を実行せざるを得なくなった。

だが、今は米軍を圧倒できる技量持ちが星の数ほどいる上に育成制度の改革で予備人員も豊富に確保できているが、課題が無いわけではない。将来的なレシプロからジェットへの機種転換に伴う再教育のカリキュラム作成や教育課程の確立が課題なのだ。これに中島飛行機は火龍の練習機型を開発する形で答え、前年に初飛行し、2個小隊分がロールアウトした段階で横須賀に練習飛行隊が設立された。ジェット戦闘機に乗り込みたいものはジェット戦闘機の特性を生かすための教育を受けることになっている。この当時のジェット戦闘機は運動性が悪いので、よくその特性を理解出来なければ落とされるだけだ。差し渡って、飛行時間が長い人員に搭乗資格を与え、機種転換教育を施した上で搭乗員とすることで、どうにか3個飛行隊分の人員は確保したのだが、新規教育はまだまだ始まってもいなかった。


「たしかにそうですね。質が良ければどうにかカバーできますし。それで疾風らはどうなんですか」

「うむ。速度性能は92オクタンで645キロ、120オクタンで695キロを確保した。92オクタンが平均的な備蓄燃料のオクタン値だから、それが保証できる最高速度だ。紫電改は630キロ~680キロ。まあ次世代機としては合格だ。飛燕は空冷・液冷ともに量産開始された」


この時期の日本軍は92オクタン値の燃料を主力として用いていた。100オクタン以上の燃料の備蓄が確保出来無い(後に南方から運ばれてくる燃料ややイギリスからも燃料が提供され、その問題は解消されるが、開戦後の事である)ので92オクタンでの計測値が表に記されるスペックになる。


紫電改は史実の紫電改と呼ばれる二一型の図面を、疾風は武装強化型の一型乙を元に、それぞれイギリスの技術陣も加わって、それぞれの会社が再設計を行なった。彼らは助言と後世の知識を基に改良を繰り返した。翼形状の見直し、エンジンが変わったので色々と、そのエンジンに最適なものに直すなど……技術陣の三年の血と汗、涙が史実以上の性能を両機にもたらした。……いや、旧史で空襲などで死んでいった幾多の日本人の無念や怨念が、技術陣の祈りと共に世界を超えて作用したのかも知れない。そう思わせるほど日本軍次世代機達は性能バランスに優れていたのだ。その中でいの一番に配備段階に達したのが3式と5式であり、先月末から量産開始されている。


「飛燕……ですか?」

「そうだ。定数に達し次第、フィンランドに送られる。旧式になった零戦21型の代換にはちょうどいい」


零戦21型は此頃には旧式化していく兵器の宿命か、落とされるケースが増大していた。配備中の零戦シリーズ中、損耗率も1番高くなり、新型機の配備の必要性が高まった。そこで飛燕シリーズに白羽の矢がたったのだ。山本五十六はこの戦闘機に今次大戦におけるフィンランドの存亡を賭けていた。




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