表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/118

第97話:昼食と樹液

「正直に言うと、腹減った。早めにご飯にしないか」


 このままいつまでも狩り続けそうな二人に対し、俺が情けないが俺の胃袋がそろそろ辛い、と告げることで、きっちりご飯タイムを取ろうとする。


「もうそんな時間か。んー……ちょっと早いが、空腹で判断力が落ちたまま戦うよりはちゃんと腹が満たされた状態で動く方がマシだろうな。休憩場所はボス部屋の前で良いのか? 」


「あそこが一番安全だと思う。今日の様子なら他にも探索者はいるだろうし、ご一緒させてもらうついでに、こちらも休憩させてもらおう。モンスターリポップがあった場合はお互い近いほうが倒す、みたいなローカルルールはあるだろうから、それの確認もしておきたい」


「なるほど。確かにダンジョンによってはその辺も変わるだろうし、何処かのパーティーが率先して狩りに回るとかがなければ見張ってる限りはモンスターはリポップしないだろうしな」


「そういう意味でも、休憩場所として機能してるのがボス部屋の前なんだ。前は何か一悶着あったが……まあ、過ぎたことは忘れよう」


「そうね、もう会うこともないでしょうしね」


「何の話だ? まあいいが」


 ぐるりと半周して帰ってきたボス部屋の前。ちょうど今から休憩を取ろうとしているパーティーを含めて、自分達を含めて五つほどパーティーがあるだろうか。この内何パーティーがボス狩り待機なのかはわからないが、自分達ははっきり違うということにしておこう。


 かたまって座り込んで、いつも通りの弁当箱を取り出す。すると、蓋を開けるのを待ち受けている二人の姿。中身が何であるかどうか気になるようだ。


「気になっているようで何よりだが、いつも通りだぞ」


 弁当箱の蓋を開け、いつものパスタであることを見せつける。その光景を見た二人からはため息が漏れる。


「またパスタか……よく飽きないな」


「飽きているぞ。強いていうならもうちょっとお高いパスタソースなんかを試してみたいところではある。今日の収入次第ってところだな」


「これなら私が作ってきた方がマシだったかもしれないわね。一人分も二人分も手間はそんなに変わらないし、次からは考えておくわ」


 二人にさんざん言われているが、無視して食事を始める。しっかりと腹が膨れてカロリーが取れれば今はそれでいい。夕食は今日の稼ぎにもよるが、それなりに豪勢に稼いで帰りたいものだな。


 人の事を散々こき下ろしていた隆介だが、隆介の昼飯はコンビニおにぎりとペットボトルの飲み物だった。


「おい、お前人のことを散々言っといてお前こそコンビニおにぎりじゃないか。良く言えたもんだな」


「普段はちゃんと飯食ってるからこんな時ぐらい嵩張らずに持ち歩きが出来て気軽に食べられる物が好ましいだろ? 日頃の行いの差だな。そういう結城は……手作りか」


「一応自作よ。好きな物しか入れてないから具は少ないけどね」


 三人それぞれ違うものを食べ始める。念のため聞き耳を効かせているが、近くにモンスターがリポップしている様子はない。安心して食事をしていられそうだ。


 レッサートレントは身動きをするとそれなりに音がするので、聞き耳に反応がない限りは気にする必要はないだろうな。


 早めのご飯でお腹も膨れ、少し休憩をして休憩中に六層方面へいく道を確認する。五層から六層へは一本道ではないので何度か曲がりくねり、行き止まりや広場、小部屋もある。同時に二匹三匹出てくる場所もあるらしいから、それを気にしながら戦う必要がありそうだ。


「昼からは二匹同時に相手することも考えないといけないかな。相手の手数が六本だからそれなりに面倒くさい相手にはなりそうだが、同時に六本がきっちり攻撃してくることはまずないだろうから、順番に相手しつつ……ってところか」


「まあ、セオリー的には自分の位置に近いほうを相手にする、ということにはなるんだろうが慣れていくしかないんだろうな。蔓が復活しないのがありがたいところか。これがレッサートレントじゃなくて普通のトレントだったら蔓も再生したりするんだろうか」


「うーん……そもそもレッサーじゃないトレントがどの辺にいるかを探すのから始めないといけないからな。出会うまでは気にしなくていいんじゃないか? 遠くのモンスターに思いをはせるより、次に出会うスケルトンやレッサートレントの話をしよう」


「そうね。後はどうすれば上手に戦えるか相談しましょう。短時間でより多くのモンスターを倒せるほうが効率的だしね。どういう動きをしてくるかを観察して、手数少なく力も要らずに戦えるようになるのを目指しましょう」


 彩花の言う通りだな。レッサートレントの動き方や攻撃パターンの動画を観察する。三人で一つのスマホを見るのでちょっと間隔が狭い。彩花がくっついてくるのは良いとして、隆介までくっついてくるのは若干暑苦しい。


 レッサートレントの簡単倒し方動画を見るが、蔓で手足のどれかに絡ませてくると、そのまま二本目の蔓が空いてたら更に手足を引っ張って、ちぎらせようとする動作をしてくることに間違いはないらしい。また、蔓に引っ張らせたまま壁や床にたたきつけ、弱らせようとしてくる動作をするようだ。


 これらのレッサートレントの習性は全て人型の模型を投げつけてどういう攻撃パターンを取ってくるのかを示した映像であり、誰かがおとりになって自分の身をもって体験した出来事ではないので安心してください、と注意書きに書かれている。


 たしかに、人型の物体ではあるがレッサートレントに良いようにもてあそばれているので、気を抜くとああなるんだな、という参考にはなった。


「とりあえず、午後はどうするか。どのぐらいのタイミングで六層に行ってみる? 」


「もう一本樹液が出たら、ぐらいでいいんじゃない。一応モンスタードロップとして美味しい商品ではあるし、気が向いたら持って帰って味わうってのでもいいしね。三本あるならそれぞれ一本ずつ持ち帰るという手もあるし、丁度そのぐらいあるでしょ? 」


「ああ、ちょうど二本あるから、もう一本手に入れるならちょうど三本になるな。それを目指して戦って、出次第六層に向かっていくことにするか」


「じゃあ、決まりね。レッサートレントの樹液はローカロリー高甘味で体にいいのよ」


「それは知らなかったな。よし、やる気が出たところで早速続きを開始するか」


 三人立ち上がって移動の準備を始める。結局、休んでる間にモンスターが出てくることはなかった。やはりここは一種のセーフティエリアみたいな扱いをダンジョン内で受けているのか、それとも人の目が多すぎてモンスターがリポップしなかったのか。どちらかになるんだろう。多分後者かな。


 早速ボス部屋から離れて、六層方面へ向かいつつレッサートレントと戦いなおし始める。六層へ向かうにつれ、レッサートレントの密度が変わってくる。レッサートレントと出会うまでの歩行距離がどんどん短くなっていき、そして二匹セットと出会うようになった。


「次ぐらいから二匹で出てくるのが基本、と考えておいたほうが良さそうだな」


「そうね、でもまだレッサートレントであってくれる分だけ楽な気がするわ」


「まあ、余裕があると言えばそうなるのか。幹也も結城も動きが素早いおかげで俺は楽が出来てるな」


 一人だけレベル1の隆介がのんびりとしているが、こっちも隆介に合わせてスピード調整をしているので、明らかにおかしい速度で動き回ったりすることはしていない。それでも動体視力と体の動かし方は充分に伝わってくるので、戦う際にその体の動きと意識の差分でうまく動けない、ということはない。むしろ、体の制御の練習としてはちょうどいい塩梅にすらなっている。


 危なげなく一匹目を倒すと、奥側にいたレッサートレントから蔓が伸び、俺の腕に巻き付くがすぐさま切り落として一本目終わり。二本目は彩花のほうに伸びていたが、これも当たる前に切り落とされて問題はなし。残りの太い一本は率先して立ち向かっていった隆介が叩き折ってこれで相手は攻撃手段をすべて失った。


 後はゆっくり調理するだけだが、調理時間は短いほうがこの場合美味しく頂ける。隆介に任せてのんびりとやるではなく、率先して近づいてこっちから戦いに行く姿勢が調理のコツだ。そのまま顔部分に思いっきり切り込みを入れて、そのまま全背筋力を込めて振り抜くと、レッサートレントは半分に切れて黒い霧に変わって散っていった。後には魔石が一つ。二分の一で魔石が取れるのは悪くない。


 樹液もう一本出ないな。それさえクリアしてしまえばとっくに六層に突入していた頃であろうに、この際諦めて二本で戦ってみて、帰り道に……いや、そうなるとサイコロのいたずらで中々帰れなくなるかもしれないし、帰り道だからと疲労を考えずに戦って油断して痛い目を見る、ということもある。やはり、行きにきっちり三本目も仕入れておくことがやはり大事だな。


「中々でないな……出そうと思って戦うから出ない。つまり、出そうと思わずに戦えば出るようになる」


「人はそれを物欲センサーと呼ぶ。まあ、焦らず行こうぜ。魔石のドロップはあるんだからただ無駄に戦ってるだけではないことは確かなんだ」


「ここまで落ちが悪いとそれを信じたくもなるけどね。でも魔石が結構落ちてるってことは、魔石自体のドロップはそれほど悪くない、とかんがえてもいいのかしら」


 そういえばそうだな。レッサートレントは他のモンスターに比べて魔石が落ちやすいような気がする。モンスターの強さや階層の深さでドロップ率に変化があるってことだろうか。だとしたら、俺の専用ダンジョンで確定ドロップの魔石が存在するとしたら、二倍落ちるようになったりするのだろうか。帰ったら調べることがまた増えたが……これもその内潜るようになってからでいいか。


 しばらく無心でレッサートレントを倒していると、十五分ほどして無事に樹液の三本目を手に入れた。これでようやくスケルトンに挑めるな。


「よし……さあ、六層に行くか。今日はスケルトンの色々な種類に出会って戦うまでが探索だ。出来ればデブとガリ以外の魔法や弓矢を使ってくるスケルトンにも会いたいところだな。盾役期待してるぞ」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ