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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第89話:一人抜けて、そして

 そのまま雑談時間に集中し、とりとめもない話をしていたら気が付くと日が傾き始めていた。


「もうこんな時間か。ちょっと脱線が長すぎたな」

「小林のおかげで女子の男子事情もちょっとわかってしまったのがくやしいけど。あなた本当にいろんなところに情報源があるのね。私も知らない話がいっぱいあったわ」

「まあ、この顔と性格で売ってるからな。それなりに信頼して話してくれることもあるし、彼女持ちだからあえて相談したいって話も飛んでくるわけよ。喋ったことの大半は内緒にしておいてくれると嬉しい。幹也がいるからうっかり話してしまった内容も少しはあるんでな」

「本当、二人は仲がいいわね。私もそういう何でも話せる友達がもう一人ぐらい居ても良かったかもしれないわね」


 彩花が少し残念そうに見える。教室では話す相手には事欠かないだろうし、今の彩花のビジュアルならハニトラ風に迫って情報を聞き出すこともできるとは思うんだが、そんなことまでして聞き出す必要のある情報なんてないだろう、と思い直した。


「じゃあ、俺はそろそろ帰るわ。土曜日とはいえ今日は早めに帰って来いと言われているんだ」

「そうか、今日はありがとうな。おかげで黙々と勉強を進めることが出来た。これで隆介に追いつかれずに済む」

「抜かせ。これで俺も貼り出し一枚目は確実だろうという自信がついてきたところだ。後は当日何もなければ、だけどな」


 冗談を言い合いつつ、隆介は先に帰っていった。残るは俺と彩花。隆介が自転車で離れていくのを見送ると、二人で部屋に戻る。


「隆介の奴、忘れ物してないといいけど」


 机の上の参考書や飲み物、食べ物を片付けて、部屋に二人、ポツンと残る形になると、彩花のほうからプツリ、と線が切れるような音が聞こえたような気がした。


 彩花が俺に近づいてきて、そっと背中に抱き着く。


「二人きりだと思ってたのに。いじわる」

「そんな調子でずっと居られると勉強にならなかったかもしれないからな。その保険だ」

「そんなことないわよ。多分……お昼ぐらいまでならなんとか」


 段々語気が衰えていく。前回土曜日までお預けと言って別れたからか、その分寂しさと甘えたさが募っているんだろう。そして、期待して家に来てみたら隆介が居る。お預けのコンボを喰らってきっと甘えたがりオーラが全開になっているんだな。


「悪かったよ。その代わり、今から一杯なんでもしていいからな」

「今、なんでもっていった? 」

「……その、本番はなしだ。大事な時期だし、それは大学合格が決まってから……ということにしよう。それ以外ならなんでも……あぁ、でもやっぱりなんでもはなしだ。俺も歯止めが効かなくなるかもしれない」


 なんでもということはあんなことやこんなことまでしてもらったりしてやったり、保健体育で習ったようなあれこれや、こっそりスマホのブックマークを付けているあんな動画の真似をしたりしなければいけないということだろうか。


「とりあえず、お詫びをしてもらわないといけないわね」


 彩花が正面に来て、両手を広げて、んっ、とする。そのままガイドレールに誘われるまま彩花に密着すると、全力で抱きしめられた。俺じゃなきゃ骨が数本いってるかもしれないガチのハグだ。


「前から思ってるんだが、そのハグの強さは人智を超えかけているからもっと緩めにしたほうがいい。少なくとも俺以外にその力でやると肋骨が数本行くぐらいの強さだぞ」

「耐えてくれるのが幹也だけってことでしょ? なら問題ないわ」


 そのまま加減をせずに力を籠め続ける彩花。俺が耐えられるなら問題なし、ということだろう。女子同士でハグしてる時はどういう力加減してるのか気になってきたな。しかし、俺も耐えきると言った以上その力に負けない耐久力ではねのけ続ける。


 こちらからもほどほどの強さで抱きしめる。


「もうちょっと強くても平気よ」


 もっと力強く抱きしめてほしいと言われたのでもう少し力を籠める。体の間に挟まれた彩花の胸がつぶれて俺の胸板より少し下に柔らかな緩衝材として残る。これがなければ多分かなりの圧力で押し潰されていただろうから、彩花のスタイルの良さには感謝しなければならないな。


 身長差があるので、彩花の鼻が俺の首筋辺りに来ていて、吐息がくすぐったい。そして彩花はというと、これをチャンスにと俺の匂いを嗅ぎまわっている。今日は運動らしい運動をしてないから汗もそんなにかいていないが、彩花のハグに耐えるために脂汗が出そうだ。


「んー……いい香り」


 俺も対抗して彩花の頭の匂いを嗅ぐ。いつものシャンプーのいい香りがして、頭がふんわりとしてきた。多分締め付けられすぎてて呼吸が怪しいのも含めて、呼吸困難に陥りそうなのも含めての眼前暗黒感一歩手前でなんとか踏ん張っている。


 五分間ほどの長いハグを終えて、ようやく解放される。どうやら彩花はお預けを喰らった分だけ大量の俺ニウムを摂取しなければならなかったらしい。ハグが終わって一度深呼吸。ああ、苦しかった。


 すると間髪入れず、深呼吸が終わった俺の胸元をもち、頭を無理矢理下げて唇を奪っていく。前のついばむようなキスで終わらせまいと、口の中に無理矢理舌をねじ込んできて、こっちも口の中に受け入れてしまった。こうなったらもう満足するまで止まらないのが彩花だ。


 なら、どっちが先に満足してしまうか勝負と行こう。彩花の舌に応えるようにこちらも舌をねじ込み、二人の間で攻防戦が繰り広げられる。お互いの吐息はお菓子とジュースと、昼に食べたピカタの香りが少し残っている。お互い同じものを食べたのでニンニクの匂いが気になるとかそういうこともない。


 口の中から分泌される唾液をお互いすすり合って取り合うように、時にはズズっと音をさせながら交換をする。激しい応酬がお互いの口の中で行われている。オークチーフを相手にするよりも必死に、しかし誠実にお互いを求め続ける。


 やがて彩花が満足して唇を離そうとしたところに、追い打ちをかけるように更に俺がキスをせがむように続きをする。


「んっ、もう、満足……」


 彩花がもう大丈夫だと言いかけているが、その口を更に塞いでキスの続きを行う。唇を吸い、舌を入れ、歯を舌でなめとりながらねっとりとキスを続け、彩花の身体から完全に力が抜けきるまで続ける。


 やがて膝がガクガクしてきたのか、彩花の身体から力が抜け始める。もう一息だな。


「ちょ……ま……無理ぃ……」


 彩花のほうからギブアップ宣言が出ているが、構わず続ける。一週間分の補充を今してやらないといけないからな。気合を入れて最後の一押しまで行こう。


 そのまま彩花の口の中を蹂躙し続けていると、彩花が歯を当て始めた。そろそろ本当に限界のようだ。やがて歯がガチッと閉まり、俺の舌は彩花の口の中から追い出された。


「はぁぅ……はぁっ……」


 彩花から激しい吐息が漏れてくる。その場に膝から崩れ込み、倒れそうになる彩花を支える。


「大丈夫か? 」

「大丈夫か……じゃ、ないわよ……。もう少しで、気絶しそう、だったわ」


 ハァハァと息を切らして、しかし満足そうにしている彩花。俺もできる限りの舌技を駆使して彩花に満足してもらったなら何より、とちょっと誇らしげになると同時に、この後は俺も大変なことになるだろうな、という気がしてならない。


 彩花を立ち上がらせて椅子に座らせ、しばし回復するまで待ってもらう。


「あー、せっかく覚えた公式とか内容、今のキスで全部飛んじゃったかも」

「試験中にキスすれば思い出すか? 」

「多分それどころじゃなくなるから絶対に嫌よ。それに人前だし」


 人前じゃなければどこまで激しくてもいい、ということでもないらしい。自分が満足すればそこまででいいなんて贅沢な話だ。俺はまだもうちょっと楽しんでいられたのだが。


「さて……落ち着いたら私も帰るわね。ちゃんと勉強してきたってところを見せるためにも、今日は汗かいて……さっきのキスでしっかり汗かいちゃったじゃないの。実はダンジョン行ってたと思われたらどうするのよ」

「そこまで責任は取れないな。家族の説得には存分に賢くなった頭を使って頑張ってくれ」

「もう……でも、まあ来週いっぱい分のミキヤニウムは補充できたからよしとしておきましょう。次の土曜日は流石に試験対策だから家で大人しく勉強しておくことにするわ。外出禁止令も出そうだし。ダンジョンに通って賢くなったなんて、人前で話したらいよいよおかしいことになりそうだしね」


 色気のあった火照った顔も元に戻りつつあるようだし、そろそろ大丈夫だろうという辺りまで回復させてから、彩花は帰っていった。さて、咳をしても一人、か。


 机を片付けて参考書を……彩花が一冊忘れていっているな。スマホで連絡入れて取りに越させるか。「現代語のテキスト忘れていっているぞ」と連絡。数分後にすぐに取りに来たので渡し、改めてさよならを言うと帰っていった。今度こそ一人、だな。


 アカネが居ないだけで家で勉強ができるというのも便利でいい。が、寂しさは残る。うーん……まあ、夕食を作るか。昼にしっかり栄養は取ったので、夕食はシンプルに貧乏人のパスタで充分だろう。昼飯はキレイに平らげてしまったので残り物があるわけではない。白米はあるがラップして冷凍しておいて弁当の時に解凍して使えるようにしておこう。


 腹を満たした後、風呂に入る。今日一日しっかり勉強したな。後半は流石に雑談ばっかりだったが、風呂から上がったら軽く復習して忘れてないかどうかを確認してから寝よう。来週からは期末テスト前の集中期間に入る。前回三位の実力がまぐれではないということを実践して見せなければいけない。


 下から200人近い生徒がこっちを睨んでいるかと思うとプレッシャーも感じる所だが、それを撥ね退けてしっかりやっていこう。ここから更に上を目指す、という選択肢もあるのだし、出来る限りの勉強をして出来る限りの結果を残す。学生の本分は忘れてないぞ。


 ダンジョンに潜るのは期末と、期末の直後にある二日間の模試。こちらに比重を置いてしばらくはダンジョン活動はお休みでも良いし、気分転換にスライムを一匹ずつつぶすのでもいい。本格稼働するのは夏休みに入ってからだな。それまでは我慢の時期とするか。

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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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