表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/118

第84話:アカネのいない日々

 アカネが実家に帰って二日が経った。昨日一日は静かだな……ぐらいにしか思わなかったが、二日続くとちょっと寂しさも現れ始めている気がする。そもそも、俺の人生にはアカネが居ないことのほうが長かったのだからそれはちょっとおかしい感情である、というのは自分でも理解している。


 それだけ、ここ二ヶ月ほどのでき事が密度が高く濃厚な日々であったことを教えてくれている。でも、アカネとべったりというわけでもないし、同居人が旅行に行った、ぐらいの気持ちでいるほうが案外うまく回るのかもしれないな。


 朝も早く起きられるようになり、弁当もたまにはご飯を炊いてオーク肉と野菜をちょこっと入れるぐらいの時間を精神的な余裕を持つこともできている。これもアカネが居なければもしかしたら改善しなかったことなのかもしれないな、と考えると、やはりお地蔵様が身近に居てくれるありがたさを感じるな。


 お供えするにも本人がいないので供えようがないのだが、朝食をちゃんといただきますしてから食べるようになった。相変わらずのパスタ食だが、パスタソースを色々と変えたりオーク肉を足し込んで栄養についてかんがえるようになったのもアカネのおかげか。


 弁当を包んでいつもの時間に登校。それから授業を終えて昼食。いつもの中庭屋上でご飯を食べる。隆介もセットだ。


「今日はご飯弁当か。パスタばかりじゃなく他にも手を出すようになったのは栄養学的観点からしても良いことだな」

「まあな。おかげさまで収入にはそれほど困ってないのもある。食べたいものを食べ、作りたいものを作る自由があることは良いことだ」

「明日はまたパスタに戻りそうな予感がするがな」

「まあ、そんな日もあるさ。今日は今日でちゃんと飯食ってるってことがわかればそれでいいんだよ」


 パクパクと米を口に入れながら自分の隣のクラスのほうに目をやると、彩花がこっちをぼんやり見ていた。距離がありすぎて聞き耳を立ててもさすがに情報は得られないが、代わりに同じく屋上にいる他の連中の声は聞こえるようになっている。


「おい、噂の結城さんがこっち見てるぞ」

「本当だ。何見てるんだろう」

「俺……ではないことは確かだな。目が合わない」


 彩花も急に可愛くなったと評判らしい。やはりレベルアップの効果は抜群のようだ。そういえば、レベル10から相当戦ったが、まだレベル11にはならないな。10から先は上がりにくくなっているのか、それともある一定以上の強さのモンスターからじゃないと経験値にならないとかそういうのだろうか。検証課題はまだ色々あるな。


 モンスターの強さ依存でレベルの上昇幅が変わるなら、これからは五層以降に潜ってしっかりと探索をしなければならなくなるってことでもある。そうじゃなく、獲得経験値量が必要ならばまだオークをひたすら狩って食事のあてを求めながらレベルを上げることもできるってことにもなる。


 どっちになっているかは現状判断しづらいが、しばらくオークを狩り続けてもレベルが上がらず、レッサートレントやスケルトンに移りはじめてから急にレベルが上がったのならモンスターとのレベル差みたいなもので経験値の獲得量にレベル補正みたいなものが入っていることになるな。どちらにせよ、なかなか面倒なことだ。


「ふぅ、ごちそうさま」

「幹也って、最近丁寧だよな。ちゃんといただきますとごちそうさまをするようになっているし、何かの心境の変化か? 」

「それもあるし、オークを倒してオーク肉になってくれたんだからありがたくダンジョン恵みをいただく、という意味でも必要だと感じ始めた」

「自分で取ってきたからタダだとは言え、相当贅沢な食いっぷりだよな、市場価格を考えると」

「確かにそうだな。かといってわざわざ肉を買いに行くのもあれだし、多少生でも腹を壊さないというお墨付きは出てるわけだからな。安心して食える肉、という意味では充分ありがたみは感じているさ」


 立ち上がってうーんと背伸び。さて、野菜ジュースでも買って他の足りないミネラル分を補給するか。


「ちょっと自販機行ってくる」

「おう、俺は飯の続きだ」


 自販機にたどり着き、パックで売っている野菜ジュースを確保。その場で全部飲んでしまい、足りない分の栄養素をちょっとでも補給しておく。


 昼休みが終わる前に教室移動があるため、移動の準備に早く戻ると、隣のクラスから丁度出てきた彩花と目が合う。お互いに頭を下げ合って今日も元気そうだな、という確認をする。


 彩花は目が合ってこっちが頭を下げたことに気づくと、ぷいと顔を反対側に向けた。学校では触れるな、ということらしいのか、自分を抑えられなくなるのか。どちらにせよ無視するにはもったいないし、彩花が恥ずかしがり屋だけど実はものすごい情熱を内側に秘めているのは知っている。


 ここは彩花とまたデートするまでお預け、ということなんだろう。逆に楽しみが増えるので俺としては得だ。次に会う時を楽しみにしておこう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 授業が終わり、放課後になった。今日は隆介も声をかけに来ないので、また明日かな。さて帰ると……おっとスマホに通知だ。彩花からだった。「今日、行っていい? 」だそうだ。


 隆介が誘いに来ないということは俺もフリーなので構わないだろうな。「いいよ」と送信しておく。さて、いいよといった以上は急いで帰って家で待ちたいからな。早々と学校からは帰ることにしよう。


 ちょいと急ぎ目に自転車を漕いで家に戻ると、鍵を開けたままにして軽く掃除をしておく。来慣れた家とはいえ汚れていてはちょっとマイナス効果があるかもしれないし、俺自身もそれなりに綺麗な部屋で出迎えたい。


 部屋に掃除機をかけてる間にチャイムが鳴る。彩花が来たんだろうな、と思い掃除機を片付けて中途半端に綺麗になった部屋だが、ゲームとかラノベは片付いてるのでまあ大丈夫だろう。早速ドアを開けると、制服姿のままの彩花が居た。家で着替えてから来るわけでなく、直接こっちへ来たような服装。家には帰ってないのかな。


「学校から直接来たのか? 」

「家には寄ったし、ちゃんと家には出かけてくるって伝えてきたから平気よ」

「掃除途中だがまあ入ってくれ。ちょっと汗かいたがまあその辺はおぶっ」


 玄関先で話していたら突然家の中に押し込まれ、ドアを後ろ手で締められて鍵もかけられる。これは密室が整ってしまった。ということはつまり……


 そのまま彩花が胸の中にぽすんと入り込んでくる。体勢を崩しながらもしっかりとうけとめ、二人でもつれ合って転ぶのは回避できた。


「ミキヤニウムが切れたから補充しに来たわ」

「また謎な物質をが作られたもんだな」


 しっかりハグして彩花の柔らかい感触を楽しむ。彩花は胸の中でしっかり深呼吸しており、俺の香りを存分に楽しんでいるらしい。掃除して汗かいたから汗の香りで満載されてるはずなのだが……


「汗臭くない? さっきまで掃除してたからそれなりに汗かいてるんだけど」

「汗よりも幹也の匂いのほうが強いから大丈夫」

「おれ、そんなに臭いのか……香水とか付けてみたほうがいいのかな」

「ううん、臭くないわ。良い匂いよ。覚えておいて頂戴。女の子は好きな男の匂いを良い匂いだと感じるようにできているんだから、汗はさておきしっかり体を動かした後の男の子とのハグは格別のものなのよ」


 そういうもんなのか。今後の参考になるかどうかはわからんが、彩花にとってはそういうことなんだろう。大人しくそのまま匂いをかがれておくか。ちょっと恥ずかしいが、誰も見てないしアカネもいないのでツッコミ役もいない。そのまま五分ぐらいだろうか。俺ニウムを摂取し終わった彩花がようやく離れる。


「アカネさんは? そういえば茶々を入れに来ないけどお出かけかしら? それともダンジョン作ってるとか? 」

「アカネは自分の祠に一時的に里帰りだよ。ちゃんとメンテナンスしてもらってあるかどうか確かめに行ってる。一昨日ぐらいからかな」

「じゃあ、今は本当に二人きりなのね」

「まあ……そういうことになるな」


 いかん、二人きりということに意識を持っていかれそうになった。女の子と二人きり。男の一人住みの部屋。やることなんてそんなに多いわけもなく。勉強道具は置いてきてるだろうからこのまま勉強というわけにもいかないだろう。


「ダンジョン、潜ってく? 」

「そうね、次の土曜日に持ち出す分の魔石もあるし期末テストの間はダンジョンに潜れないと考えていいから今のうちに潜って換金できるものを用意しておいたほうがいいかもね」


 話題をダンジョンに逸らすことに成功した。このままだといけない方向にシフトしていきそうなので、俺も我慢してダンジョンを勧めることにしたが、少し声が上ずっていたように感じる。


 着替えて装備を持ち直し、いざダンジョン。山賊刀も剣も、ダンジョンに潜る前に確認したが欠けも折れもなく、問題なく使える様子を確認した。


「今日はどこまで潜るの? リザードマンまで行くの? 」

「日々の食事を豊かにするべく今日もオークかな。オーク肉四枚あたりが目標。あればあるほどうれしいからな、オーク肉。この間一枚肉のステーキを焼いたがアレもなかなか美味かったし、ぶつ切りにして唐揚げを作るのもまた楽しみだ」

「それも美味しそうね……今日作るの? 」

「じゃあ、食べていくか? パパッと集めてパパッと戻って、全力で二人それぞれで回って集めればかなり効率的に探索ができると思うが」


 この狭い専用ダンジョンとはいえ、二人バラバラに回って後で合流するぐらいのキャパはある。オークだけ狩るにしてもリポップタイミングと回る場所さえバラバラなら問題なく集められるだろう。


「うーん、そこまではしたくないかな。せっかくのデートだし、スーパーの特売みたいなことはしたくないし、できれば一緒に居たいわ」


 なるほど、それもそうか。肉につられて大事なことを考えていなかった俺のミスだな。


「じゃあ、二人そろって密度の濃いところを回ってさっさと肉を集めて唐揚げを作って食べる。今日のスケジュールはそんな所か」

「そうね。早速行きましょ。時間が勿体ないわ」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ