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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第83話:貸した金返せよ 4

 ここまで十回ほど戦ってみて、毎回魔石を必ず一つ落とすことがわかったのは収穫だが、毎回コボルドチーフが落とすわけではなくある程度偏りがあるらしい。十回戦ってコボルドチーフの魔石が二個、コボルドの魔石が八個。オークを相手にするよりは確かに金にはなるかもしれないが、魔石以外のドロップが今のところ見当たらない以上、こちらのほうがオークより美味しい、と言うことはできないな。


「うーん、オークに戻るか? 」

「もうちょっと何か落とすまで粘りたいところだな。コボルドってナイフ落としたり、コボルドチーフが持ってる剣落としたりはしないのか? 」


 ちょっと調べてみるか。電波は……まだここは余裕で入るな。奥のほうは電波も繋がらないらしいからな。どういう仕組みかは知らない。


 軽く調べたところ、やはりスキルスクロールの【聞き耳】が筆頭に挙げられていた。どうやら比較的他のモンスターに比べて落としやすいらしく、一日一個とは言わないまでもかなりのドロップ率であることが示されていた。


 おそらく、どのコボルドもドロップする、という風になっている体とは思われるが、ここはそこそこ密度のある戦いを複数個所で行うエリアらしく、歩いて接敵、歩いて接敵を繰り返すうちに、解ってきたことがいくつかある。


 まず、コボルドチーフだが、耐久力がある割に頭のほうは賢くなく、まずお供のコボルドに突撃させて、コボルドが全滅するまでは様子を見守ると言ったような形で戦闘には参加しないこと。耐久力はオークと同等ぐらいだが、革鎧を着こんでいる分だけダメージ判定が入り辛いこともある。一発で首を狙って落とせれば倒せるため、タフネスさは思ったよりもない。切り込んだときの手ごたえもそうたいしたものではないこともわかってきた。


 今調べたことと戦ってきた感想を隆介に教えて、もう少し滞留するかそれともオークへ抜けていくか相談を始める。


「どうする? このまま戦い続けるか? 」

「そうだな、まだ儲からないとオークにチェンジするのは惜しい。せめてその【聞き耳】のスキルスクロールが落ちるまでは頑張りたいところだな」

「もし【聞き耳】が落ちたら俺が15000円で買い取ったことにして、その分借金棒引きしてもいいぞ」

「よし、もうちょっとここで頑張ろう」


 瞬時に残ろうと決断したそのその即断即決さは本物だろう。早く借金を返してお互い楽になろうじゃないか、という気持ちが伝わってきた。


 そんなわけでコボルド狩りを続行。隆介も盾術に頼らない動きができてきたのか、体のぎこちなさが取れてきた。


 しっかりコボルドの攻撃もうけ止めてそのスキに受け止めてないほうの一匹を倒す、という技まで繰り出せるようになったし、盾で受け止める同時にバッシュをかましてコボルドを一匹完全に打ちのめしてその間に……と色々できるようになった。


 時間は流れ、三十六グループ目のコボルドチーフを倒したところで隆介がギブアップを宣言した。


「よし、今日は出ない! さあ帰ろう。魔石の分だけ収入にはなってるだろうし、それなりに稼げたはずだ」

「まあ、魔石しか出なかった、ということで今日は少ない収入を等分して帰ることにするか」


 結論として、スキルスクロールが出ない限りは微妙、という評価に落ち着いた。コボルドチーフとの戦闘は確かに楽しくはあったし隆介との連携を楽しむ場面としては充分に活躍してくれた。これなら彩花と三人で組むようになってもうまいこと動いてくれるだろうな。


 帰り道に引っ掛けたコボルドチーフで半分やる気なさげに仕方なし、といった感じで倒したグループがスキルスクロールをくれた。どうやら今までは隆介の物欲センサーに引っかかって出ないことになっていた様子だ。


「出たぞ、何かのスクロールだ」

「何だろうな。ものによっては買い取るし、ものによっては売って等分しよう。とりあえず今は真っ直ぐ帰って、それからでも遅くはないから精査するのは後にしよう」

「そうだな。ここで試しても後で試しても同じなら、危険がないところのほうがいい」


 そのままレッドキャップゾーンを戻り、レッドキャップを引っ掛けては倒しながらゴブリン族のところまで戻る。もしかしたらもう一枚ぐらい出ても面白いかもな……なんてことを考えてたおかげか、魔石も何も出ずにゴブリン族の地域まで戻ることになった。


 ゴブリン族の地域では、帰り支度を始めた探索者が徐々に合流し始め、戦いながら最後の一稼ぎをする探索者とそのスキに真っ直ぐ帰ろうとする探索者とハッキリ二分し始めた。俺達はまっすぐ帰るほうだ。


 ゴブリンとスライムの地帯も抜けて、足早に帰ってきたおかげで退場列はほぼ並ぶ人がなく、後ろから一塊くるような形になっている。このまま換金カウンターまで足早に抜けると、魔石だけ換金に出して、その間にスクロールの鑑定サイトに接続、スマホで写真を撮って送り、鑑定結果は【聞き耳】だということが判明した。


「狙い通りのものが出るとはな……約束は約束だ、15000円で買い取るよ」

「残り35000円だな。また徐々に潜って返せるよう努力する」

「今週もう一回付き合うぐらいなら問題ないぞ。そのほうが期末試験に向けて集中できるだろ」

「その方がありがたいかな。じゃあそういうことにしておいてもらおう。明日はデートの予定があるからダメだが、木曜か金曜に付き合ってもらうことにする」

「うん、わかった。そのつもりで予定しておく。しかし、予想外に早かったな。夏休みにでも集中して潜って一気に返すかと思ったが、それよりも早いとはね」


 夏休みは夏休みで金を稼ぎたいだろうし、金も使いたいだろうし、色々お楽しみが待っているだろうから、その間ぐらい貸し出しを待つつもりではあったんだが。


 さて、本日の支払いだが、コボルドチーフの魔石8個とコボルドの魔石29個で11250円となった。逆算すると……コボルド500円、コボルドチーフ1000円ということか。毎回必ずくれるというあたりがパーティープレイでも何かしら収入を確定させたいならコボルドルートを取るのはあり、ということはわかる。


 ただ、同じ時間でオークをひたすら狩ることを考えるとたまに落ちる魔石と更にたまに落ちるオーク肉、稀に落ちるとされている睾丸を拾えるかどうかは運ゲーになるので微妙なところになるな。


「うむ、今日はスキルスクロールのおかげでうまくいった、ということにしておこう。スキルスクロールを売ったとしてても一人20000円超える稼ぎになっていたことだしな」

「いいのか? 買い取ってもらった都合あれだが、使ってしまって。そんなに必要なスキルには見えないが」

「レッドキャップを抜ける時にあると便利らしいからな。これから何度も通り抜けることになる場所だし、安全に通り抜ける手段が増えるならそれは充分金を払う価値がある」

「なるほど。すでに覚えてる【忍び足】と相乗効果がある、と考えていいわけか」

「どこにいるかわかれば背中を取って先に攻撃すれば安全に通り抜けられるし、奇襲される可能性も低くなる。充分価値はある、と思いたい」


 実際なくてもいいスキルである可能性はあるが、それでも性能を直に確認してどのぐらいの効果があるのかを調べるのは体験として必要だ。早速スキルスクロールを開いて覚えると念じ、スキルを獲得する。すると、耳の聞こえが急によくなったように、雑音だった周囲の音が明確な音声として聞こえるようになった。これが聞き耳の効果か。


 「今日はシブかったな」「まあ明日も潜れば収入にはなるから」「睾丸が美味しい……あまり口に出したくはないけど」等、いろんな情報が耳からなだれ込んでくる。これは、情報の取捨選択ができるように聞き流すという技術が必要になってくるな。


「じゃあ、残りの分、期待して待ってるぞ。本当に急いでないからな」

「ああ、お前の今日の反応を見て金には困ってない様子だからな。安心して借りておくことにするよ」


 そのまま駅前ダンジョンで別れ、家に帰る。帰って装備を置いてから、消臭スプレーで匂いを飛ばした後部屋干ししておく。これで明日までには乾くだろう。着替えた後、そのままコンビニへ行き、今日の稼ぎの一部をカロリーに変えた後再度帰宅。


 一度帰ってきた時にはいなかったが二度目に帰ってきた時にはアカネが定位置で浮かんでいた。


「さっき帰ってきた時は居なかったが、お出かけだったか? 」

「ええ、結城さんの所に行ってたわ。少し体調が悪そうだったから神力を少し分けて落ち着かせていたわ」

「そうか、ありがとうな。彩花のフォローまでしてもらって」

「どっちも私の大事な信者だからね。アフターケアも私の仕事よ。もっと多くの信者がいればそこまでのフォローはできないから、あなたたちは幸運だと思ってくれていいのよ」


 今は熱心な信者は俺と彩花だけ、ということになっているのか。普段大本の住処である祠を掃除してくれたりお供え物をあげてくれたりしている人たちは信者にはならないのだろうか。


「そういえば最近家にも帰ってないわね。一度里帰りしたほうがいいのかしら」

「うーん、そこまで俺の相手ばかりもしていなくてもちゃんと生きてきたんだし、そこまで心配する必要もないから一度帰ってみて、家の様子を確かめるのも大事なんじゃないか? 」

「そう言われると気になってきたわね。一度帰省しようかしら? 」

「それがいい。彩花の所にも行ったなら一旦帰って様子を見守るのも大事だと思うぞ。俺も夏休みには帰省するだろうからついでに見に行くこともできるしな」

「じゃあ、一足先にちょっと帰って様子を見に行こうかしら。ちょっと行ってくるわね。帰りは……まあ、その内帰るわ。何事もなければいいのだけれど」


 そういうとアカネは浮いたまま窓から射出されたかのように飛んでいった。


 アカネが居なくなるということは久しぶりに一人を満喫することになるのか。アカネが居るとできないことを色々……そう、色々だ。男の子には色々あるのだ。久しぶりにハッスルするのも悪くない。一人を満喫するか……と、その前に飯だな。コンビニで買ってきた贅沢なサラダと弁当とホットスナックを食べて、サボり飯をしっかり味わおう。


 風呂を入れて入り、のんびり一人で鼻歌でも歌いながら入って風呂を出て、明日早起きするために早めに寝る。今日はいつもふよふよ浮いているアカネは居ない。若干の寂しさは残るが、そういえば高校に通うようになってからはいつもこんな感じだったな。慣れた睡眠のはずだが、なぜかなかなか寝付けなかった。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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