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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第77話:土曜は換金の日 3

 ボス部屋の前では幾人かの探索者が休憩を取っていた。みんなボスに挑む前なのか、挑んだ後休憩してるのかはわからない。迂闊にボス部屋に入ろうとして順番待ちで怒られるようなことがないよう、念のため確認を取っておいたほうがいいかもしれない。


 一番近くにいた探索者に確認を取ってみることにしよう。


「すいません、ここにいる皆さんはみんなボス待ちなのですか? 」


「俺達はボス後休憩だな。次に入るのはあっちのパーティーだと思う、俺達が入る前には居なかったからな。念のため全員に確認を取っておいたほうがいいぞ。後、ここはモンスターが湧きにくいから安全だという理由で休憩を取っている人たちもいるだろうから、それも込みで考えておいたほうがいい」


 立派な斧を構えている探索者に聞いてみると、待ちも休憩も両方いるらしい。どうやらボス部屋前はモンスターが湧きにくく安全らしい。昼食はここで取ることにしよう。


 他のパーティー全部に聞きまわったところ、ボス待ちをしているのは一パーティーだけで、後は小休止しているパーティーがほとんどだった。ボスを倒して三十分ほどは新しくリポップしないらしく、その間に休憩や食事、ボスとの戦い方を再確認したりと色々やることがあるらしい。


「ボスを倒すには最低でも三十分、最長で一時間待ちかあ。ちょっともったいない時間の使い方の気はするが……とりあえず一回戦ってみたいし、早めのお昼にしてしっかり待たせてもらうか」


「そうね。食べ終わってちょっと食休みして……ぐらいでちょうどいい感じになると良いのだけど」


 その場に座り込んで、バッグから飲み物と弁当を取り出す。


「確認するけど、今日もパスタ? 」


「栄養には考慮した。しっかり肉も入れたし、問題はないはずだ」


「まあ、パスタ以外の食べ物が入ってるなら良いわ。パスタだけだったらちょっと問題だったけど」


 心配してくれているんだろうな。心配かけないためにもパスタから卒業するだけの収入を確保しなくてはならない。


「今日の換金でそれなりに余裕ができる予定だから、それでちょっと贅沢な食事を心がけることにするよ。それに、朝少し早起きする習慣をつけようと思ってる。うまくいけば昼食作りに時間がかけられるようになるからその分良い物を食べられるはずだ」


「明日以降に期待ってことかしら。クラスの窓から眺めて見える範囲なら良いんだけど、そこまで視力が良くないから何食べてるかまではわからないのよね」


 なんだかんだちゃっかり監視は続けてくれているらしい。今日の稼ぎは大きいものになりそうだし、オークチーフからも何かしら金になるものをドロップしてくれると嬉しいところ。普通のオークみたいに睾丸落としたりもするんだろうか。


 攻略サイトのドロップ品情報を確認すると、山賊刀、睾丸、スキルスクロール、肉塊……これは一塊で一万円になるらしい。山賊刀は十万円ほどで取引されているようだ。武器としてはそこそこのお値段。多分倒される回数が多い分ドロップも多いんだろうと推察される。スキルスクロールは最初に落とした 【精力絶倫】はレアなほうのドロップだったらしい。


 お弁当箱を開き、オーク肉のたっぷりかかったトマトソースパスタを見て、彩花がじーっとこっちを見てくる。こんな時ぐらいまともなものを食べなさい、とでも言わんばかりだが、ソースの具材が豪華なことに気づき、見つめるのをやめてきた。


「オーク肉、余ってるの? 」


「それなりには。自家消費でこれから肉料理のレシピが増えることになりそうだからこれはその一環ということで今回は焼いてトマトソースに絡めておいた。これで栄養バランスも多少はマシになるし、肉を喰った分だけたんぱく質も補給できる」


「ならいいわ。塩パスタだったら怒る所だったけど」


「そっちは随分可愛い弁当だな。苦労の跡もしのばれるところも含めて」


「これからの成長に期待してほしいところね。はい、感想をどうぞ」


 卵焼きの巻きが緩い奴が一つ口元に運ばれてきたのでパクッと食べる。どうやら結城家は出汁派らしい。甘い砂糖を使った甘い卵焼きではなく、出汁の味のしっかりしみた、味のほうは文句なしの味わいに黙って親指をグッと立てる。ガッツポーズで喜ぶ彩花。


 ここにアカネがいなくてよかった、と思うほどほのぼのした雰囲気に包まれている中、ボス狩り待ちだと言っていたパーティーが移動を始める。どうやらボス狩りの時間だ。


「どうやらボス退治のお時間らしい。ここから三十分ってところかな。どれぐらいの早さで倒すつもりかは解らないけど目安の時間はわかった。このままじっくり待たせてもらうことにしよう」


 時間がわかった以上ゆっくり食べていても大丈夫。しっかり休んでお腹も消化させて、万全の態勢で挑めるようにしておこう。彩花もそのままもぐもぐとご飯をゆっくり食べて幸せそうにしているので、その横顔をおかずにパスタを食べる。こんなダンジョンの中だが、ほのぼのとした空気に包まれつつもしっかりとした食事ができているのは良いことだな。


 食事中にボス部屋のドアが開き、五体満足の探索者パーティーが出てきた。ここから三十分、しっかり待って必要なら仮眠もとろう。


 ご飯を食べ終えてゆっくりしていると、こちらのほうに目線があってまっすぐ向かってくるパーティーが一つ。向こうは四人組らしい。


「すいません、ボス待ちですか? 」


 どうやら彼らもボス待ちの行列に入りたいらしい。


「はい、一応全員に確認したところ次は俺達……ということらしいです。あと二十分ぐらいで湧くかと」

「そうですか、では後ろに並ばせてもらいますね」


 順番の譲り合いがちゃんとできている、ということらしい。


「でも、お二人……ですよね。しかもまだ高校生じゃないんですか? ボス退治は初めてですか? 」


 こっちのパーティーのあれこれを聞きだしてきた。何とか先に並びたいのか、それとも純粋に心配してくれているのか。


「初めてではないので大丈夫です。これもボスドロップですし、倒し方は心得てますよ」


「そうですか……ならいいんですが、十分気を付けてくださいね」


 妙に心配されているが、俺はボス三回目でもあるし、彩花が居る分ボスも倒すのは楽。そしてあれからレベルも一つあがっているし、心配する要素はそれほどないと感じる。余裕をこくつもりはないが、積み重ねてきた分の経験値と慣れがあるから大丈夫だろう。


 彩花がウトウトしだしたのをみて、短い時間だが少し眠らせておく。五分前ぐらいになったら起こそう。膝を貸した彩花の匂いが少しばかり立ち上ってくる。女の子はどうして体を動かした後の汗の混じった匂いがこんなに良いんだろうな。誰か研究してないだろうか。それとも、やはり性的に魅力があふれるように人体が設計されているんだろうか。


 しばらくして、小さめの音でアラームが鳴る。どうやらそろそろ準備運動の時間だ。膝を貸している彩花に振動を与え、自分から起きるように促す。彩花はゆっくりと目を開けて、俺の顔をみて「うわあ、幹也だあ……」と嬉しそうにしながら抱き着いてくるが、まだ寝ぼけているな。


「しっかりしろ、ボス湧き五分前だぞ」


「え……ああ、眠ってたのね。ちょっと失敗したわ」


「寝てたことには文句は言わないが、メリハリはつけような」


 両ほほをパンパンと叩いて起き上がって、準備運動を始める彩花。どうやら頭ははっきり冴えたらしい。誤魔化すように体を動かし始めたので、多分半分眠っている状態から一気に覚醒したんだろう。


 俺が彩花に膝を貸していた分、膝に力が入りにくくなっているのでゆっくり足を伸ばして運動を始める。下半身の血流を全身に流すように屈伸と伸脚をして、上半身も山賊刀を振り回さないようにしながら全身をほぐしていく。休んでる間に体も休眠モードに軽く入っていたので、あちこちがメリメリと音をたてながらほぐれていくのがわかる。


 ボス部屋の前に立ち、ボスが湧くまでの時間をカウントダウンしていると、俺達の前に立ちふさがるパーティーが現れた。


「どけ、次へ俺達の番だ」


 どうやら割り込みに来たらしい。彼らはほんの五分前ぐらいに来ただけのはずだが……待てができない類の人類らしい。


「こっちは五十分ほど前から待ってましたからこっちのほうが先ですね。それに、私たちの後もあそこに居るパーティーが先に到着していたので順番はあちらが先になりますよ」


 こっちは丁寧さを崩さない。ここでは熱くなった方が負けだ。冷静に言葉で落ち着かせる。彩花はちょっと気圧されているのか、俺の袖口を軽く握っている。かわいい。


「こっちは急いでるんだ。とっとと順番を譲れ! 」


「お断りします。急いでいるのなら先に他の場所へ行かれた方が効率的ですよ。なんせ次に湧くのに三十分かかりますから……都合一時間ですか。その間にトレントでもお狩りになって待っている方が建設的ですよ。それに急いでいる理由もわかりませんしね」


「いいからどけっつってんだよ! 」


 武器をこちらに向けて脅し始める。他のメンバーはニヤニヤとしてさあ早く譲れよ、と態度を替えない様子だ。


「それを向けたら……探索者として罰則になりますよ。探索者の犯罪は重罪です。武器を用いて脅迫するのは普通の脅迫に比べて更に罪が重くなりますが、その覚悟があるってことでいいんですよね? あなたが逆に向けられても文句は言わない、そういうことになりますがいいんですか? 」


「うるせえガキだな。どうせ散歩気分でボス退治に来たんだろ。ここは大先輩である俺達に黙って譲れ。でないと」


 横入りパーティーの全員が武器を構え始める。周りのパーティーからはおいやばいんじゃないか? とかそこまでしたら犯罪だろ、とか様々な意見が飛び交う。これはもう止められない流れなんだろうか。かといって、素手で制圧してしまっていいものなのかどうか悩む。多分、そのまま真っ直ぐ前蹴りを放つだけで彼吹っ飛んでいくだろうけど、できるだけ諍いは口だけで済ませたいところだ。


「でないと、どうなるのかな? 大先輩君」


 聞いたことのある声が響く。声のほうを見ると、大谷さんが前回会った二人を伴ってやってきていた。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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