表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/116

第76話:土曜は換金の日 2

 四層を奥へ進み、リザードマンも複数現れるようになってきた。三匹居る所は俺が最高速で二匹を相手することで、彩花も一匹相手するだけでなんとかなっているし、彩花のほうが早く終わった場合は次第に二人で相手する、ということで順調に進んできている。四匹出るとちょっときついか。


 魔石もそれなりに落とすようになってきて、ここまで来るまでのドロップ運は何だったのか、と思う程度である。その分背中に少しずつ重みを感じ始めているが、まだまだ容量には余裕があるのでバッチコイといった感じだ。


「魔石が溜まるのは良いことだけど、重くなるのはしょうがないのかしら」


「もっと深くに潜ってる人たちはどうしているんだろう。一応十層にモンスターが湧かないエリアがあるそうだから、そこに集めて管理してるのかな」


「どうなのかしらね。そういえばそこまで潜るつもりがなかったから調べてないわ」


 二人そろって、目前に迫るまで調べものをしてなかったという事態になったが、まあ今日もオークチーフと五層のレッサートレント相手にできればそれで充分……と考えていたため、深層探索者が何をどこでどうしているのか、という問いかけに対しても答えを出すことなく何となくで過ごしてきていた。


「これは帰ったら調べものだな。他の探索者がどうしてるかなんて今まで気にしたことなかったし」


「そうね。その分早く帰ることも考えて、きっちり仕事を終えていかないといけないわね」


「お話し中のところ悪いけど、ここでリザードマンよ」


 三匹のリザードマンが現れたので最高速で処理、魔石を落としたので拾って次へ。四層の湿っぽい空気がなくなり、三層と似たような空気が立ちこみ始めた。これが五層の空気か。


「五層に入ったわ。ここからはレッサートレントが出てくるわよ」


「武器も替えたし、攻撃力的には問題ないはず。どれだけタフなのかさえわかれば後はどうにかなるかな」


「戦い方はわかってるの? 」


「ああ、本体の蔓が太いのが一本と、それから細いのを二本同時に飛ばしてくるらしい。細いのは簡単に切れるけど、鞭で殴られるような感じになるからうっかり肌を露出してると跡が残るようなダメージと激しい痛みが襲ってくるらしい。太いほうは純粋に物理攻撃って感じで殴ってくるから、それを切れるかどうかってところだと思う。ちなみに蔓は切った後は再生しないらしいのでそこが安心ポイントかな」


「ちゃんと調べてきてたんだ。私知らなかったわ」


 おいおい、と思わず彩花に突っ込みそうになるがぐっと我慢。今説明したので通じるかどうかは実際に戦ってみてからわかるだろう。レッサートレントもそうだが、ここから先の階層はソロで行くのはちょいと修練が必要らしい。ソロで攻略してどこまで行けるのか、というのを突き詰める探索者もいるようだが、今の俺には彩花が居るので……って、専用ダンジョンに潜ったら最悪一人で戦うことになるのか。


 一人で攻略する場合どういうパターンで戦うかも、余裕がある今のうちに考えておかないといけないな。どちらにせよまずは出会うことが必要だ。しばらく五層を進み、ほぼ同時に五層に到着した探索者と別れて行動し始めたところで一匹目の……一本目の? どっちが正しいんだろうか悩むが、モンスターなので一匹と考えておくか。


 ようやくレッサートレントとお目見えできた。レッサートレントがこちらへ顔を向ける。背丈は180センチぐらい、そこそこの幹の太さのある大き目の木だ。これでレッサーなのだから、普通のトレントはもっと大きいんだろうな。


 レッサートレントの幹の真ん中には顔が付いており、悲しげな表情を作り込んでいる。その表情が少し怒り顔になると、早速細い蔓が飛んできた。山賊刀で途中から切るように刃を差し向けて対応する。レッサーの名に恥じないのか、蔓は簡単に断ち切ることができた。


 彩花も細いほうを一本を切り落としに行って、うまく断ち切れたらしい。後は太めのが一本、腕位の太さの蔓が真っ直ぐ正面から飛んでくる。山賊刀で受け止めて攻撃を完全に遮断する。


「彩花、今のうちに! 」


「うん! でもどこが弱点? 」


「顔、とりあえず顔狙っとけ! 」


「わかった! 」


 彩花がレッサートレントの顔面目掛けて全力の斬撃を繰り出す。レッサートレントは蔓を引いて攻撃しようとしているが、こっちの山賊刀に刺さったままでなかなか抜けない。その間に彩花が肉薄し、レッサートレントの顔面に大きな切れ目を入れる。


「キイイイィィィィィイイ! 」


 レッサートレントが痛みに反応してか、声をあげる。甲高い、耳に残る声だ。そのままこっちは蔓を戻させないように山賊刀で半分だけ切って戻らないようにして、その間に彩花が連続で斬撃を入れ続けて顔をめちゃくちゃにしていく。


 顔のあちこちから黒い霧が吹きだしているので効果はあるのだろう。もっとわかりやすい弱点があってくれればいいんだが、今の所これが一番ダメージがありそうなのでひたすら顔攻撃を繰り返している。


 顔が再び悲しげな顔になったところで、蓄積ダメージが限界を迎えたのだろう、レッサートレントが黒い霧になって消滅していく。後には魔石が残った。もうちょっとスタイリッシュに戦闘を終わらせたいところだが……レッサートレントの弱点が顔以外にあるかどうかも確認していかないとな。


 スマホをいじって……まだ電波は通じる。レッサートレントの弱点について調べると、ゲーム攻略サイトに紛れてダンジョン攻略サイトを発見。早速調べると、弱点属性は火。弱点場所は顔。一応弱点はあってたんだな。他には攻略情報は……細い蔓を切ってから太い蔓を避けるか受け止めるかする間に他のパーティーメンバーが顔をひたすら攻撃するのが良いらしい。ここからはパーティー推奨階層ということになっている。


 ふむ、さすがにこれを一人で処理するには、太い蔓も自力で切断できるようにならないといけないというところか。


「調べもの終わった? 」


 索敵をしていてくれていたアカネがこっちに確認を取る。


「大体は。さっきの戦い方で合ってるみたいだ。火属性魔法に弱いらしいけど、そんなスクロールは手に入れたことはないからな。学生の身分で購入できるスキルでもなさそうだし、さっきの戦い方をメインにして、交代しつつ守りでも攻めでもできるようにして行こう」


「ええ、じゃあ次は私が蔓の相手をする番ね」


「次は……あっちね」


 アカネが示す方向へ向かう。ちょうどこっちはボス部屋のある方に向かう道だ。通り道に出てくれるならありがたいところ。しばらく進むと早速レッサートレントが現れた。向こうはこちらにまだ気づいていないらしく背中を向けているのでチャンスだな。


「よし、一気に駆け寄って滅多切りにしてやろう」


「奇襲のチャンスってことね。わかったわ」


 ダッシュで駆け寄り、レッサートレントの前へ躍り出るとそのまま口の中に山賊刀をねじ込んで舌を抜くように引っ張り出す。舌はなかったが、どうやら発声器官は口の中にあるようで、もごもごと叫び声を上げだした。


 それと同時に飛んできた蔓二本を回避して、片方を切り落とす。その間に彩花が改めてレッサートレントの目を潰す。これ本当に目の役割果たしているのかな? とは疑問だったが、どうやら目の役割を果たしているらしく、彩花が攻撃した側に太い蔓をうねうねと動かしているが、見えてないようで彩花には一切当たっていない。


 目を潰すのも効果的、と。一つ勉強になったところでちゃんとトドメを刺さないとな。こいつも時短戦闘法を段々学んでいく必要があるだろうな。いっその事全力で斧のように振り抜いてスコーンと胴体ごと真っ二つにするような腕力が付いていれば……もしかして、やれるか?


 蔓をぶった切ってそのまま肉薄して、胴体に向けて全力で振り抜く。レッサートレントの胴体のほとんどと言っていいほどまで切り込んだ。レッサートレントから盛大に黒い霧が噴出し、そのまま消えていく。黒い霧が盛大に噴き出すってことは、こいつはそれなりに経験値が多めってことなのかな。


「その武器ならそこまで一気にダメージを与えられるってことなのかしら。それともレベルのおかげ? 」


「レベルのおかげだとは思う。ここまで一気にバッサリ行くには相当……刃こぼれしてないか? 」


 やってみてから山賊刀の打ちこんだ場所を見てみるが、どうやらかけたり割れたり刃が鈍ったりはしてないらしい。一安心だ。


「とりあえず一撃で倒そうと思えば倒せる……ということでいいのか。まあ一つ気楽に戦える材料ができたのは良いことだな」


「無理はしないでね。せめて蔓を切ってからそれに立ち向かうとかしないと、私が自分の全体重をかけてゴブリン倒しに行ってたのと大差ないような気がするわ」


「さて、戦闘のほうに問題がないことがわかったし、私はダンジョンを見回ってくるわ。時間までゆっくりデートを楽しんでいてね。私はもっと深いところまで色々調査してくるから後は頑張りなさいよ」


 アカネが戦えるのを見届けると、奥のほうへ一人で浮いていった。


「さて、うるさい小姑が居なくなったところでボス部屋のほうへ行きましょう。もしボスが湧いてたら戦うのよね? 」


「アリバイ作りは大事だからな。ボスに何回か挑んで戦ってみて、それから戻るのでもいいし、レッサートレントのドロップ品に夢を見るのも必要だからな。樹液が落ちたら儲けもんだ」


「樹液がドロップ品なのね。効果は? 」


「メイプルシロップみたいな感じ。美味しいらしいよ」


「それは……朝は食パン派の私は一本欲しいわね。ちょっとどのぐらい美味しいか試してみたいところだわ」


 ボス部屋のほうへ続く道を行く間に三回ほどレッサートレントと安全に戦うことができた。残念ながら樹液のドロップこそなかったものの、魔石は手に入れることができたのでちゃんと戦ったと証明にはなっただろう。そしてその先へ進み……見たことのある扉の前へ到着することになった。ここがボス部屋か。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ