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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第71話:貸した金返せよ 1

「幹也、ダンジョン行こうぜ! 」


 隆介の放課後第一声がこれだった。昨日待ちわびた一言でもあったのだが、昨日は俺より優先するでき事……つまり彼女とのデートとか、そういうものがあったんだろう。


「いいぞ、隆介には早いところ稼いでもらって貸した金を回収しなきゃいけないからな」


「じゃあ、駅前ダンジョンに先に着いたら待ってるからな」


 そのままテンション高く隆介は一足先に帰っていった。現金な奴だが、もしかしたら昨日彼女とのデートで思ったより金を使いすぎてて実弾が足りないのかもしれない。そう思うと協力しなきゃいけないな、という気にさせてくれる程度に心知れる仲、という意味でやはり隆介は貴重な友人なのだろう。


 彩花にメールを打ち、今日は隆介とダンジョンへ行くから来ても誰もいないしアカネは鍵を開けられない、と伝えると「わかった、今日は大人しく家で勉強してる」と返事が返ってきた。これで女の子を暑い中待たせなくて済んだな。


 俺も急いで帰って、装備を整えて……と、そういえば前回から山賊刀を使っているんだったな。どうやって隆介に言い訳しようかな。さすがに潜ってもいないのにボスから落ちてきた、なんて言いだすわけにもいかないし、順当により良さそうな武器があったんで替えてみた、辺りで誤魔化しておこう。


 装備のチェックと飲み物、それから換金したい魔石をいくつか持ち合わせると、駅前ダンジョンに急ぐ。日が長くなってきてるとはいえ、時間は有限でしかも日の出と日の入りで一日の間隔が決まっていた時代とは違う。夕食は帰ってから考えるとして、今日はできるだけ長く、深いところで隆介に付き合おう。帰ってきたら……彩花との共有財産である魔石に手を付けていることになるので、ごまかしのための探索が必要だろうな。


 アカネはダンジョンの拡張をしているのか、家の中に姿を見かけることはなかった。後で戻ってきて装備がないのを見て、駅前ダンジョンにでも行っているんだ、と判断してもらえるだろう。家を出て急いで駅前ダンジョンに向かうと、駐輪場で隆介は待っていた。


「おう、お待たせ」


「待ってない……ってあれ、幹也も武器替えたのか? 」


 目ざとく武器の変更に気が付く隆介。こいつの前では多少のごまかしなんて通用しないのでハッキリ替えたと言ってしまった方がいいだろうな。


「ああ、丁度良さそうなのがあったのと、今後を見据えて少し贅沢な奴を選んでみた。素振りは済んでるから距離感を間違えたりもしないし問題はないぞ」


「そうか……それならお前から剣を買い取るという手段もあったのか。もしかしてタイミングが悪かったかな? 」


「前の武器は彩花に譲ったよ。小剣ではこの先リザードマンやレッサートレント相手では不足するかもしれないから、という理由でそのまま受け渡したところなんだ」


「そうか、それならそれでいいんだ。もし行き場のない武器の在庫を抱え込んでいるんだったら勿体ないと思っただけだ、あまり気にしないでくれ」


 確かにタイミングとしては最悪の部類だったかもしれないが、隆介にとって扱いやすい武器が手に入ったならそのほうがより良い気がするので、まあ今回は御縁がなかったということでお互い納得しておこう。


「さあ、今日はオークまで頑張っていくことになる。心の準備はいいか? 」


「ああ。レッドキャップに後れを取らないようにすれば大丈夫だって調べたしな。オークのほうがよほど戦いやすいらしいし、その点で見てもスキルを覚えてる幹也が付いていてくれる分安心だ」


 俺頼りなのはいいのか悪いのかはさておき、俺も隆介にしっかり稼がせて少しでも早く金を替えさせて心の安寧を持たせなければいけないからな。その為にと、山賊刀がいかに効果的かを確かめるためにもオークまでは進みたい。


 いっそのこと隆介にもダンジョンのことを教えて三人で秘密を共有する……というのも一つの手だが、それは最終手段にしたい。隆介がにっちもさっちもいかなくなってからでも遅くはないだろう。そうならないためにも、しっかりカバーして探索の手助けをしてやらないとな。


 ダンジョンに入場し、スライムとゴブリンを放っておいて一直線にゴブリン族エリアにたどり着き、ゴブリンアーチャーとまずご対面。隆介が真っ先に盾を構えたまま進み、ゴブリンアーチャーの矢を盾で角度をつけて弾き飛ばすと、そのまま走り込んで一撃で心臓を貫きを仕留める。


「おぉ、やるようになってきたな」


「素振りは欠かさなかったからな。イメージ通りに体が動いてくれて満足だよ」


 どうやら相当練習して盾とぶつかったり自分の装備同士が干渉しあわないように色々試してみたんだろう。苦労の跡が透けて見えるな。


 その後もシールドゴブリンにも、二体同時のモンスター出現にも手間取ることなく問題なく進んできたところで肝心のレッドキャップエリアにたどり着く。ここからはオークが出る所まで慎重に歩く。ここをいつか問題なくすらすらと突破できるようになるのが今の目標かな。


 レッドキャップが後ろから近付いてきたので振り向いて山賊刀で一撃で切り落とす。やはり重量のある剣だとレッドキャップが持っているナイフ程度では抑えきることができる、そのまま圧し切るような形で倒せるらしい。これでまた一歩、楽に通り抜けられる地点が増えたというものだ。


「なんかまた強くなってないか? 」


「武器替えたおかげだろう。思いっきり殴ればそのまま斬れていってくれるから戦いに関しては楽になった。あとはどれだけうまく索敵できるかだな」


「そうか……索敵するには何が要るんだ? 」


「複数のスキルを組み合わせる必要があるだろうな。二人で戦い抜く自信はないしドロップするとも思ってないが、レッドキャップを抜けた先にオーク以外に二種類のモンスターが生息する地域があることは知っているか? 」


「ああ、たしかケイブストーカーとコボルドチーフだったっけか」


「そうだ、そいつらが稀に落とすスキルスクロールで自分の五感を強化させてそれで音の反応や空気の流れを読み取って索敵として機能させる、という方法が……と、九時方向からくるぞ」


 話しながら歩いてるおかげでレッドキャップ側にもこっちが確認できたんだろう、襲ってくるレッドキャップの全体重をかけたルパンダイブ攻撃を避け、避けた切り返しで逆袈裟切り気味にレッドキャップを一気に両断する。山賊刀のリーチと重さがないとこの攻撃はできないので、やはり武器を替えたのは正解だっただろう。ついでに魔石も落としてくれたので二重に美味しい結果になった。


「うん、やはり新武器は調子がいいな。隆介もオークでしっかり試しておくといいぞ」


「そうだな……そっちはそっちでうまくやれそうだし、ここはそれぞれで動く方が良さそうだ」


「大丈夫か? 最初は補助というか横から攻撃を加える形で援護するが」


「慣れたら一対一でもなんとかなりそうな気がするんだ。幹也が上手くやってるんだから俺にだってやれないはずはないだろう? 」


「慢心は怪我の元だぞ? 」


「だから最初は補助を頼む。攻撃パターンがわかってきたら独り立ちして見せるからな」


 隆介には確信めいた何かがあるのだろう。何が、とまでははっきりしないが、自信に満ち溢れているのでその自信を無くさせない程度に攻撃補助をして、確実にオークを数多く倒して帰れる様には仕向けよう。


 レッドキャップエリアを抜けてオーク地帯。ここからが探索の時間だ。しっかりオークを倒し切って、できればドロップも拾って帰りたい。オーク肉以外にも何か出るなら期待したいところだが、オークは肉も美味しいし魔石も一個1000円ほどとそこそこに高価。二時間ほど戦ってる間に良い感じにドロップしてくれることを祈るのみだな。


「さあ、やるかオーク狩り」


「おう、最初はまずやらせてくれよ? 俺が慣れるまでに多少時間が必要になってくる」


 隆介の盾に軽く山賊刀をぶつけ、わかった、というサインを送ると、早速オークを探し始める。平日のわりに今日は他の探索者とすれ違うことが多く、実り多きに期待はできないんじゃないかとも思ったが、ようやく見つけた一匹目をまず隆介に戦いたいように戦わせてみることにした。


 オークが太いこん棒で盾を殴りつけ、その盾を全身でカバーするようにどっしりと受け止める、そのスキに脇腹に槍を一刺し。オークが刺された痛みにたじろぎ、刺された部分から槍を抜こうと腕を必死に伸ばす。そのスキにサッと槍を引き抜くと、オークが後ろによろめいたため、そこにシールドバッシュを喰らわせてオークを転ばせる。後は槍で心臓部分を貫いて、黒い霧が吹きだしたところで戦闘が終了した。


「どうよ? 」


「思った以上に綺麗な流れだった。かなり良い筋をしてるな。そのやり方でスマートに倒せるならそれを練習し続けるのも悪くないと思うぞ」


「そうか、それは何よりだな」


 次のオークを探し、見つけたオークを今度は俺が倒しにかかる。手間のかかる戦闘はしたくないので、一気に近寄って懐に入り、山賊刀を首元に当てると一気に振り抜き、首を落とす。ダッシュしなきゃいけない分スタミナは使うが、戦闘時間や無駄な応酬の必要がないシンプルな戦闘をすることができた。ドロップの魔石も落ちたし、このペースでいこう。


「さすが、手慣れたもんだな」


「リーチが長くなった分だけよりスマートにできるようになった。こっちも新しい武器に慣れないといけないからな。一匹ずつ出るときは交代で、二匹出たら同時に対処で行こう」


「おう、頼もしい相棒に感謝だな。とりあえず奥へ向かえばいいのか? 」


「こっちだ、こっちに行くと二匹連れがたくさん出てくる。できるだけ数を稼いで収入につなげていこう」


 隆介と二人並んで索敵しながらオークを討伐していく。交互に戦闘を繰り返し、五回目にもなると余裕も出てきたのか、脇腹ではなく首を直接狙って突き入れるなど、攻撃方法も選べるようになってきたらしい。一人でオークを相手にするには充分すぎる組み立て方だな。これならリザードマン相手でもうまいこと動かせるようになるかもしれない。


 やがて二匹湧きのゾーンにたどり着き、本格的な戦いが始まる。お互い一対一なのでカバーリングはできないが、今の隆介の動きを見ている限り問題はないだろう。あるとすればうっかり三匹出てきた時だが……その時は俺が素早く動くか、中途半端にダメージを負わせて攻撃力を喪失した状態でもう一匹を狙っていくようにするか、いくつかパターンを考えておこう。

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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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