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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第64話:周囲の見る目の変化

 月曜日、学校へ行くと隣のクラスに人だかりができていた。みんなの視界の中心には……彩花がいた。どうやら土日で一気にレベルを上げた影響か、他の人にはより可愛くなってか、綺麗になってか、そういう風に映っているらしい。


「ねえ結城さん、なんか変わった? なんかすごく綺麗に見えるっていうか、見違えてるっていうか、人そのものが変わったような感じになってるけど」


 周りのクラスメイトが話しかけている。彩花がふと目線をこちらに送ってきたので、こっそりウィンクで返しておいた。


「そうね、しいて言えば彼氏ができたわ」

「やっぱり彼氏? 恋をすれば女の子は変わるって本当なんだね」

「人によるんじゃないかしら。私が変わったように見えてるのなら多分そういうことよ」


 相変わらずツンとはしているものの、俺がいるとわかった上で彼氏ができたと報告するのは秘密の符丁みたいな感じでなんかいいな。


「結城さんに彼氏か。どんな奴なんだろう」

「結城さんだからな。その辺の奴ではちょっと相手にならんかもしれんぞ」

「そういえばダンジョン通ってたっけ。相手も探索者なのかな」


 こうやって噂は伝播していくのか、参考になるな。俺自身が噂の主にならないように……って、もう遅いか。既に高校生現役探索者ってことで顔と名前は売っていたんだったな。今回のお相手が俺である、ということは……まあしばらくは大丈夫だろうな。


 クラスに着くと、早速隆介がやってきた。


「聞いたか、結城の話」

「通りがかりにな。彼氏ができたらしいな」


 隆介が小声になって俺に耳元でささやく。


「お前じゃないのか? 最近結城と仲がいいみたいだし、結城とダンジョンに潜ってるって話も聞こえてきてるぞ」

「俺だったらどうする? 」

「こっそりと祝ってやる。なにせ俺の大親友に初めての彼女ができて、しかもその彼女は土日で一皮むけて帰ってきたときた。これは何かあったに違いない」


 ふむ……隆介には時間が来ればバレる話か。なら先に言ってしまっても良いような気がするな。こいつは親友の秘匿情報をばらまいて売る奴でもないし、信頼はできる。


「……実は、俺だ」

「そうか、おめでとう。本来なら祝砲かバルーンでも上げて祝いたいところだが、この噂の広がりようを考えると、今は俺の胸の中にだけ仕舞っておいたほうが良さそうだ」

「そうしてくれるとありがたい。表向きは付き合ってないように振る舞おうってことにしてある。何かの拍子に素が出るかもしれないが、そういう時は見逃してくれ」

「そうする。しかし、お前と結城さんがか……やっぱりダンジョン絡みか? 」


 そっとしまっておくと言った割に細かいことを聞いてくる隆介。だが、スッと言葉が入ってくるのでねちっこくマスコミなんかが良くやっていそうなねちっこい質問じゃない所から、つい答えそうになってしまうのだ。


「ああ、土曜日は一緒に潜ってるからな。それが縁だ、ということになる」

「おめでとう。青春の階段を何段かすっ飛ばしながらだから俺もびっくりだが、とにかくおめでとう」


 隆介の反応を見る限り、純粋に応援されているのはわかる。長い付き合いだ、冗談で言ってるトーンと真面目に言ってるトーンの違いぐらいはわかる。


「今の所このことを知ってるのは? 俺だけか? 」

「そうだな。お前に黙っておくのは難しいと思って先に伝えておく。ダンジョンで会うこともあるだろうしな。三人でパーティーを組むかどうかはさておき、だ」

「また何回か付き合ってもらってその間にダンジョンでの探索のコツみたいなものを掴めれば充分だからな。お前のせっかくの彼女との甘い時間を邪魔するつもりはない」

「まあ、昼とかはいつも通りだからそこまで気を使う必要はないことだけは伝えておくぞ。いつも通り屋上で飯だ。別に結城さ……彩花が乱入してご飯を一緒に食べるとかそういうこともない。べたべたするのはデートしてる時だけにしようって話になってるから、学校ではいつも通りってことだな」

「それはそれでどうかとも思うんだが、まあ二人でそう決めたなら俺が口を出すのは野暮だろうな。うまく続くことを願ってるよ」


 チャイムが鳴る。隆介は「ま、頑張れよ」と最後に言い残し去っていった。俺は友人に恵まれているな。さて、今日も授業を受けるか。最近は授業がちょっと楽しみではある。教科書には載っていないどうでもいいチョイ話や余談、それらを聞くのが好きになってきた。


 授業の内容自体は予習復習できっちり頭に入れているとはいえ、日本語や英語のちょっとしたニュアンスの違いやリーディング、ヒアリングのイントネーションや日本語では味わえないその違いを確認して更に学習を重ねる。


 勉強が好きでたまらない、という奴がたまにいるが、こういった意欲の発現ということなんだろう。気持ちがわかるようになった分だけガリ勉君に俺も近づいてきた、ということだろうか。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 午前の授業が終わり、昼休み。いつも通りトマトソースのパスタを食べる俺と、彼女の弁当を食べる隆介の二人組。


「そういえば、お前またいい男になったよな。彼女ができたおかげか? 」

「んー、そうかも? 自覚はないからわかんないんだよな」

「なんていうか、また一皮むけた感じだ。そろそろつるつるの卵が出てきそうな感じだ」


 他の校舎よりも背丈が低いこの屋上の一角では、他の建物の三階や四階から中庭状態になっているこの屋上の空間を覗き込むことができる。どういう理由でできているのかは解らないが、この建物は二階の上が屋上として開放されている割に、高さはそんなにない、という不思議な場所になっている。


 なので屋上とはいえ周りの建物から実質丸見えなのだが、時々こっちに向けられてくるような視線が嫌でも突き刺さってくる。屋上というよりは高さのある中庭、というほうが正しい。


 そんな中で昼食をとっているのだから、見ようと思えば全方位からこちらを見ることは可能。前から思ってはいたものの、レベルをあげてからこっちに向かってくる視線が増えた。


「今日も大人気だな。一緒にいる俺まで美化されてるような気がしないでもないから悪い思いはしてないんだけどな」

「せっかくの休みなのに結構な趣味をお持ちの方が多いようだな。まあ、目の保養をしている……とでも思えばいいんだろうが、見られる方は大変だ、という女の子の気持ちがわかってきた気がするよ」


 目の保養か……隣の教室のほうを見る。レベルアップによって目も良くなったのか、隣のクラスにまで目を凝らすと、こっそりこっちを見ている彩花を目が合う。きっと彩花からも俺のほうが見えているだろう。手を振ったりとかウィンクしたりとか、そういう仕草はしないでおく。学校ではあまり過干渉にならない程度に過ごせればいい。


 彩花の本当の所の気持ちは土日で十分伝わっていると思うからな。学校でもベタベタしたいならそうすればいいし、逆に恥ずかしいから嫌ならそうする必要もない。今はこうして目線を送って、ちゃんと見てくれているのをわかっているぞ、と目と目を合わせることでサインが送れればそれでいいのだ。


 どうやら伝わったらしく、こっちから目線を外す彩花の姿が見えた。昼休みのサービスはこのぐらいにしておくか。食事を食べ終えると伸びをして、次の授業の用意だ。


「さて、隆介は次はいつダンジョンに潜るんだ? 付き合いが必要なら何時でも言ってくれよ」

「じゃあ、今日とかでも大丈夫か? できるだけ早くダンジョンに慣れておきたいんだ。彼女は期末の後に誕生日らしいから、この間探索者講習に付き添って、仮免発行までは済んでいる」

「なら、期末テストの勉強の邪魔にならない範囲で早めに行ったほうがいいかもしれないな。わかった、今日付き合うよ」

「悪いな。それに【盾術】だったか。あのスキルも体に馴染ませてしまいたいんだ。どうもなんかまだスキルに使われている気がするんだよな」


 そういうものなのか。この手のスキルは取得したことがないからまだよくわかってないことも多い。ちょっと授業中にでも重ね掛けができるパッシブスキルについて調べてみるか。


「さて、授業に戻るか。授業中に調べておきたいものもあるし、授業自体も最近は楽しいんだ」

「授業が楽しめるのはなかなかレアなスキルを持ったものだ。それもダンジョンで拾えるのか? 」

「そうだな……運が良ければ、じゃないかな」


 次の授業中、こっそりと調べた結果、パッシブスキルは体を勝手に動かす、という仕組みがあることがわかった。例えば【盾術】ならば、意識して盾を使おうとした場合、自分の体の動きよりもより適切な行動がある場合、そちらに優先されて体の活動の権利を上書きして体が動くようになるらしい。スキルに着られる格好になるのだろう。


 それに慣れるまでは隆介は苦労しそうだな。盾の使いまわしが上手くなるまではしばらくそれに慣れてもらって、しばらくの間その補佐ぐらいはしてやることにしよう。


 授業も終わり、隆介と合流。彩花には「隆介と駅前ダンジョンに行ってくる」とメッセージを送っておいたので、家に着て待ちぼうけをくらうこともないだろう。


「先に装備をそろえて駅前ダンジョンへ行っててくれ。さすがに俺のほうが家が遠い分時間がかかるからな。盾の素振りでもして待っててくれればそれでいい。俺も夕食のことは考えずに真っ直ぐ家に帰って着替えてくるからな」

「わかった。楽しい探索になるよう祈ってるよ。入場列のそばで待ってればいいかな」

「それがわかりやすいかな。じゃあ頼んだ」

「おう、後でな」


 隆介を置いていくと、急いで家に帰り装備を着込んで出かける。ついでに少量の魔石も持ち出し、嵩増しをしておく。スライム十数匹分だが、それでもまあ等分しても解らない金額だろうからこれはこれで多少は許されるだろう。


「あら、帰ってきたと思ったら外のダンジョンへ行くのね。隆介の手伝いかしら? 」


 アカネが気づいてやってくる。


「そう。ダンジョンに入ることになった理由の片方だ。今のうちに精々鍛えてやって彼女と二人で潜るようになってもしっかり守れる役割を担えるようにしてやらないとな」

「随分上から目線になったわね。まあ、実力も相当違うんだから仕方のないところではあるけど。貴方がしっかり守ってあげるのよ」

「今回は守られるつもりの参加なんだがな……どうも隆介は突っ込みがちの傾向があるからな。そこを矯正してやらないといけないな」

「じゃあ、行ってらっしゃい。駅前ダンジョンだからって油断するんじゃないわよ」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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