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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第59話:バレは突然に

 土曜日。いつものように朝早くから仕度を済ませて定時まで深いところまで探索して、戻ってきて換金して結城さんと待ち合わせ。そしていつも通りオークを多めに狩ってお昼休憩、その後でまたオーク狩り。よく飽きないよな俺も。


 結城さんはオーク相手に存分に力を奮えるようになったのでかなり楽しく探索をしている様子。まあ、装備の代金分ぐらいはそろそろ払えるラインに達してるんじゃないかな。だとしたら、次は武器の交換辺りに首を突っ込みそうな予感がする。


 結城さんも楽しそうに探索をしているため問題なく戦えている。オークならもうお腹が空くまでは戦い続けられるだろう。


 いつも通り昼食を食べて午後勤務開始。午後に入りほどよいところで、結城さんが言い出す。


「本条君に勉強教えてもらうと捗るのよね。今日もお願いしていいかしら? 」


「ああ。じゃあ今日もちょっと早めに切り上げて勉強会とするか」


 ということは今日も結城さんが俺の家に来る、ということか。生ゴミなんかは綺麗に片付けてきたはずなのでいきなりの訪問でも問題ないようにはしてある。今日は二時間ぐらい早めに上がって、今日の収入はともかくとして、また勉強会と称したおうちデートということになる。楽しみではあるが、ドキドキもしている。


 アカネの一件がまだ課題として心の中で渦巻いている側としては、結城さんもアカネが見えたことについて確認を取るのか、それともあれはたまたま疲れてて見えてただけだ……と結論付けるのかはわからないが、ともかく勝負は家に来てからだな。それまでは探索に集中して、しっかりと収入を確保していこう。


 いつもより一時間半早く探索を切り上げて退場手続き。換金カウンターに向かい二等分して、出てきたお金は22400円と、かけた時間のわりに良い収入になった。


「これでようやく武器と防具の値段分だけ稼げたわ。後はもうちょっと強い装備が欲しいわね」


「小剣をもう少し取り回しの良い物か、少しだけ長いものにするとか、丈夫なものにするとか。方向性は結城さんの扱い方によるかな」


「どうせ次も中古だろうから、下取りに出してその分で違う武器をえらんでみることにしようかしらね。お薦めはある? 」


「結城さんの体に合うのがまず一番かな。その次が耐久性。いくら体に合っててももろくて壊れやすいんじゃ意味がないからな。完全にレイピアタイプの剣を選ぶとやっぱりオークやリザードマンには物足りなさを感じるだろうから、もう少し長い物を選べばいいかもしれないな」


 小剣ではなく長めでちょっとだけ細い、今よりは刃幅のある剣のほうがいいだろうな、という想像は付く。今のままではリザードマンまでは問題ないだろうが、その先を考えるとちょっと耐久力不足になるかもしれない。そこを考えての発言だが、俺も一回武器を見てもらった方が良いんだろうか。こっちも武器変してもうちょっと使いやすく切れ味のよく、長く使える武器のほうがいいかもしれないな。


「俺も武器替えようかな。もうちっと耐久力のある奴のほうがいいかもしれないし、もし戦闘中にパキッといってしまったと考えると……でも今の所、そんな様子もないしな。もうちょっと先で考えてもいいか」


「そうね。リザードマンぐらいなら私のも問題なく使えるようだし、その先で硬いモンスターが出てくるようなら一考の余地ありって感じかしら」


 自転車で並んで話しながら俺の家に向かう。まだ日は落ちてないので充分に明るく、結城さんの顔もよく見える。一仕事終えて満足げな顔だ。


 家に到着し自転車を停めると、鍵を開けて中へ通す。俺の部屋で待っててもらう間に来客用のお菓子と箱売りのサイダーを冷蔵庫から取り出す。


「あら、また結城さんが来たのね。勉強会? 」


 アカネが話しかけてきたので、俺の部屋にいる結城さんに聞こえない程度の声で会話をする。


「ああ、ダンジョン通いの後だと物覚えが良くなっている気がするそうだ。多分血行がよくなってそう感じるのと、俺自身が教える立場になることで教え方がうまくなっているのもあるかもしれないな」


「そう……で、私のことはばらすの? 」


「結城さんの出方次第かな。もし向こうからそう迫ってくるなら、種明かしをしてばらしてしまうのも有りかもしれないが……アカネ的には良いのか? 俺以外に姿をさらすのは」


「問題ないわ。先に行って結城さんの膝の上にでも座っておくことにしようかしらね」


 そのままふよふよとアカネは行ってしまった。まあ、どういう反応をするかは結城さん次第。秘密なら秘密、ばらすならばらす、で今日が天王山だ。どっちに転んでもいいように対応を考えながら勉強を始めるか。


 部屋に戻ると、結城さんは座らずにきょろきょろと見まわしていた。もしかしたらアカネを探しているのかもしれない。その時点で、間接キスの体液交換は時限式なんだな、ということがわかる。完全に自分の体液と混ざり合ったらその時点でアカネは見えなくなるんだろう。


 なぜなら、アカネは勉強机に腰かけて今結城さんの目の前にいるからだ。それが見えてないということは今の結城さんはアカネが見えてない、ということで間違いないんだろう。


「お待たせ。今日は珍しくお菓子があるから持ってきた」


「塩パスタを出されるよりは気が利いてると思うわ」


「また結城さんが来てもいいように……と思って用意していたんだけどね。その内期末テストも来るし、こうやって勉強を見る機会も増えるだろうと思って」


「悪いわね、そこまで気を使わせちゃって」


 結城さんが遠回しにありがとうを浴びせてくる。直接言われると照れるので逆にありがたい。さて、サイダーを開けて一口飲んで、机の上に置いておく。結城さんも同じく缶を開けて飲み、隣同士に置いた。


「さて、始めようか」


「お願いするわ。ここの公式はこれでいいのよね? 」


 結城さんの苦手らしい物理と数学をメインに進めていく。この二つは公式とやり方を覚えればそれなりに出来るため、公式をまず覚えてもらって、その公式を使う問題を出していくことで順調に課題は進んでいる。


 ただ、結城さんが、チラ、チラ、とサイダーのほうに目が行っているため、おそらくは気づかないうちにサイダーの俺の奴を飲もうとしているのが丸わかりだ。おそらく結城さんも俺と同じ考えなのだろう。


 ちょっと引っ掛けてみるか。俺がサイダーを取り、結城さんのほうのサイダーを間違えて飲む。


「あっ、それ、私の」


「えっ、あ、いや、ごめん……」


「じゃあ、私はこっちをもらうわね……ブフッ! 」


 俺が口を付けたサイダーを飲んで、結城さんがびっくりして噴き出す。それもそのはず、勉強机の目の前にいきなりアカネが現れるような形になったのだろうから、驚くのも無理はないだろう。


「本条君、この子誰!? というか、急に見えるようになったのはなんで? 前回もそうだったけど、その、本条君と間接キスをすると途端に見えるようになったのは何故! この子ずっとここに居たの? 」


「まあ落ち着いて。そこまで勘付いてたんだな。やたら部屋の中を見回したり、俺の飲み口のサイダーを気にしてたのはそういう理由だったわけね」


「こんにちはお嬢さん、私はアカネよ。この幹也に憑りついてる道祖神よ」


混乱の中、大人しく挨拶をしているアカネが逆に浮いて……いや実際浮いてるんだが。結城さんは軽くパニックを起こしているので、お菓子を口に含ませて落ち着かせる。


「それで、アカネさんは本条君とどういう関係なの? 」


「話せば長くなるから端折るけど、幹也は私の恩人なの。だから恩返しに色々としてあげてるのよ。急にかっこよくなったり賢くなったりしたのも多分私のおかげね。それで結城さん。私に気づいて今日も勉強会……という形にかこつけて、私がまだいるかどうか探りに来たのかしら? 」


 年上っぽく振る舞うアカネに若干引きつつも、結城さんがそれに答える。


「えっと……前に来た時にいきなりアカネさんが見えるようになって、最初は見間違いだと思ったんだけどこっちに向かって手まで振ってるし。でも、本条君は何してるか知らないようなそぶりだったから、私にしか見えてない地縛霊みたいなものが憑りついてるのかと思って。今日も本条君の家に来て、見えてたら本条君に真面目な話として何か霊が憑りついてるって話をしようかと思ったんだけど、今日は見えてなかったし。でも、前回と同じ行動をとってみたらやっぱり見えるようになった……というか、私の目の前にいきなり出てきたってことは、私のリアクションで遊んでたわね! 」


 アカネがニヤリと笑って机から下りるように床に足をつける。


「いやー、新鮮な反応をありがとう。おかげでちょっとだけ神力が溜まったわ。ところで幹也。もう一つのほうは確認しなくていいの? 」


「ああ、ついでに確認しておくか。結城さん、ちょっとクローゼットの中覗いてみてくれる? 」


 クローゼットを開け放ち、そこに見える俺専用ダンジョンを確認してもらう。


「クローゼットの中に何が……ってなにこれ、ダンジョン? 」


「やっぱりダンジョンも見えるみたいだ。入れるのかな? 」


「ちょっと待ってね……入れないみたい、何か押し返されるような感じで中には入れないわ」


「そう……中には入れないのね……幹也とのつながりが足りないってことなのかしら」


 アカネがぶつぶつ独り言を言っている。しばらくすると、アカネが俺と結城さんに指示を出す。


「ちょっと二人、抱きしめ合ってもらってもいい? 」


「えっ、それはちょっと俺は嬉しいけど結城さんに悪いっていうかいきなりそれは」


「これでいいの? 」


 と、結城さんの側から抱きしめられた。女の子に抱きしめられるなんて初めてだよう。汗の後の香りと結城さんの香りとまだ残ってるリンスの香りが一気に鼻の中へ入り込んで頭の中が真っ白になりそうになる。失神しそうになったので何か掴むものを……と、結城さんを掴んでしまい、抱きしめ合う形になった。


「じゃあ、もう一回やってみて」


「わかった……ダメね、入れないわ」


 やっぱり押し返されるらしい。でも、さっきよりもちょっと沈み込みが良くなったようには見える。抱きしめ合って汗をかいてる分、その分の体液交換が行われている、と認識すればいいんだろうか。


「それじゃあ次、キスしなさい」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
ちょま!? アカネさん、急すぎや〜
さすが道祖神。縁結びの神様である。
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