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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第58話:付き添いは飽きる

 二層に入り、ゴブリンゾーンに突入する。ゴブリンは複数いたりいなかったりだが、こっちも複数なので問題なく戦えることは解っている。後は隆介がどこまでゴブリンに順応できるかで今日の儲けが決まるだろう。


 あまり長い時間戦う、ということは出来ない。今日は平日だし、ダンジョンに留まれる時間もそう長くはない。明日も授業はあるのだ。誕生日で探索者になったからと言って翌日早速寝不足で学校に行く、なんてことになってしまえば学生探索者の評判はどんどん落ちていくだろう。


 せっかく俺が頑張ってあげた探索者の評判を自分で落とすことはない。腹が減るか疲れたら隆介に声をかけてほどほどのところで帰ることを宣告した方がいいだろう。


 早速出てきたゴブリンに隆介が盾で殴りつけ、ひるんだところに包丁槍を差し込む。体がお留守だったゴブリンに綺麗に包丁槍が刺さり、刺されたゴブリンが抜こうと必死にもがくが、隆介が体重をかけて抜けないようにしっかりと差し込んでいる。やがて力尽きたゴブリンが黒い霧に代わり、魔石をドロップした。


「おい幹也、早速魔石が出たぞ。ボーナスタイムか、それとも落としやすいのか? 」


「ラッキーストライクだと思っておけ。普通はそう簡単に出ないからな。それより、拾って次のゴブリンを探して戦い慣れるほうが大事だ」


「そうだな。よし次を探すか」


 そこそこ空いているので次のゴブリンは簡単に見つかる。時間帯によるんだろうが、今は空いてる時間らしい。もしかしたらもうちょっと奥に行けばもっと混んでるかもしれないな。


 ゴブリン退治をひたすら続ける隆介。体が慣れるまではここでうろうろするらしい。新しいゴブリンを見つけては走り寄っていく。この辺はまだ一匹しか出ないから良いが、二匹出てきた時にどう動くかは見ておく必要があるな。


 十分ほどゴブリン退治を続けて、ゴブリンが二匹出てくる場所まで来た。ここからは連携か、もしくは隆介が一人で倒すか判断も隆介に任せることにした。


「お、この辺からは二匹出てくるのか。片方は抑えるからもう片方頼むわ」


 ゴブリンのこん棒を弾き返した隆介が得意げに笑う。


「どうだ、板についてきただろ?」


「まあそうだな。でも慢心すると怪我するぞ」


 言った直後、二匹目のゴブリンが横から突っ込んできて、隆介が慌てて盾を構え直す。


「おい、言ったそばから危ないじゃないか」


「……テストだよ、テスト」


「どこの世界に命がけでテストする奴がいるんだ。しくじるなよ? すぐに倒せるとはいえ駆け寄って手助けは出来ないからな」


「今の所は大丈夫……それ! 」


 隆介の掛け声とともに、それぞれの相対するゴブリンに向かって進む。俺はゴブリンは慣れてるので問題ないが、隆介のほうは……こっちも慣れてきたらしく、ゴブリンの振り回すこん棒を的確に盾で防いで外側に弾き、バランスを崩したところを包丁槍で刺して倒している。刺し方も刺す部分も的確に判断されている様子。


「二対二なら問題なさそうだな」


「先生が優秀だからな。今度は二体同時に相手にしてみることにする。危ないと思ったらすぐ手を出してくれ」


「わかった。隆介の対応力を見させてもらうことにしよう」


 ゴブリン二匹を隆介に任せてみることになった。包丁槍で本当に大丈夫なのか? という心配はさておき、どうやら防御のほうはがっちり固めてある様子なので、ゴブリンにやられることもないだろう、と思ってはいるものの、やはり心配なので出来るだけ近くでゴブリンにすぐ手が出せる位置に陣取りはする。


 そして次のゴブリン二匹連れが現れると、隆介は盾を包丁槍で殴って鳴らし、ゴブリンを威嚇する。挑発に乗ったゴブリンが順番に殴りに来るが、一匹目の攻撃を盾で弾き飛ばし、二匹目の攻撃をがっちりガード。ガードの隙間から包丁槍で頭部を狙って攻撃を始める。


「こん棒持ってなきゃただのかかしだな。ゴブリン二匹もそんなにてこずるほどでもないか」


 余裕をもって反撃に転じて包丁槍で一匹ずつ順番に刺して倒していく。参ったな、出番がなかった。もうちょっと苦戦してくれた方がありがたみも増すってものだろうに。


 二匹のゴブリンを相手にして問題なく生存してかすり傷一つ負っていない隆介にどう言葉をかけようか悩んでいると、隆介のほうから声がかけられてきた。


「流石にうまくいくとは思わなかったが、あまりにうまくいきすぎてて心配だな。もうちょっと真剣に取り組むか」


 どうやら、さっきのパターンは最上のパターンを引いたと自分でも思っていたらしい。


「後ゴブリンの位置が角度的に六十度ズレていたら。もし同時にゴブリンが攻撃してきたら。そういうシミュレーションを考えながら行くといい。それでも同じ形に落とし込めるならゴブリン対策は万全と言っていいだろうな」


「そうだな。次はもうちょっと注意して考えながら戦うことにしよう」


 隆介の動きが少しずつ慎重になり始めた。ゴブリン二匹を相手にしても、いたずらに挑発などはせずに二匹がそれぞれ向かってくるタイミングを計りながら、いい感じで攻撃を受け止め、可能なら反撃もする、という形に変化し始めた。


「どうだ!二匹とも仕留めたぞ!」


「まあ、せいぜい及第点だな」


「ケチな先生だなあ……」


「命がけのテストなんだから当然だ」


 ゴブリンのこん棒では隆介の盾は減りも凹みもしない様子なので、それを確認してからはキッチリと受け止めて、可能なら押し出してひるませた後で一撃。もしくは、攻撃を盾で滑らせて相手の体勢が崩れたところで一撃、と攻撃パターンにも変化が出始める。ゴブリンは一日目で卒業かな。


 隆介が戦闘に集中できるよう、ドロップ品はこっちで確保していく。正直、飽きる。まだ戦闘に集中している方が楽しく居られるし、ドロップも落ちるので問題はない。隆介があまりにも覚えが良すぎてこっちの出番がなく、時々二匹相手にしている中で更に追加されてくる一匹を適当にあしらっているのが関の山だ。


 隆介はかなり集中して探索をしているらしく、時々俺のほうすら見ないで新しいモンスターを見かけたらスキを見つけて自ら戦いに行く選択肢を取ったらしい。俺のお守りをするんじゃなかったのか? 俺が彼女だったら引かれるぞ。


「おーい隆介。俺の相手もしてもらわないと、守る対象がご無沙汰になってるぞ」


「そうだった。一人で戦えるからって放置している場合じゃなかったな。今日は幹也の護衛に来たんだった」


「よかったな、彼女がいる間じゃなくて。もし俺が彼女だったら愛想尽かして先に帰る所だぞ」


「そうだな。でもどうしよう、彼女を守りながらってことは、幹也から放射線状にモンスターが寄り付かないように戦えってことだよな」


「まあそうなるだろうな。頑張って悩んでみてくれ。ちなみに俺に触れそうになったモンスターは容赦なく切り捨てていくからな」


「お前が一番頼りになるじゃねえか」


「そりゃそうだろ、二ヶ月の差は伊達じゃないんだよ」


 実際には二ヶ月どころじゃない差がレベルアップによってついてるわけだが、そこはまだ触れる部分ではないだろう。


 そのまま良い調子で進んでいくが、流石に時間が遅くなってきた。この辺りで帰らないと明日の睡眠不足とか、そういうものに影響が出そうだ。


「今日はこのぐらいにしとこう。一日に詰め込んだってそう儲かったり強くなったりするわけじゃないしな。毎日ほどほどが良いって誰かが言ってたし、休日にまとめて潜ってガバっと儲かる……というわけではないが、集中して潜るならそのほうがいい。平日は休みにして日曜日に潜るとか……な」


「それもそうだな。今日はゴブリン二匹相手にしても充分戦えることが確認できただけでも利益みたいなものか。ドロップ品はどうなってる? 」


「魔石ばっかりだな。それなりには落ちてるが、バイトしてるよりはまあ儲かるだろうって感じかな。次回はちゃんと隆介もドロップ品探しするんだぞ。これを持ち帰るのが探索者の仕事なんだから」


 そう言って、バッグの中を広げて見せる。魔石はそれなりの数溜まっている。まあ、二時間三時間とはいえ集中して潜っていたんだからその分だけ上がりはあったということになる。


「よし、では戻ろう。初日に怪我をしなかったのを勲章にして今日のところは凱旋だな」


「まあ、そういうことにしておこう。ちなみに俺はまだ怪我したことがない」


「その内幹也も大怪我するタイミングが来ないことを祈ってるぞ」


「お前こそ、彼女連れてきた時に限って怪我して心配させるようなことは慎むべきだな」


 言い合いをしながら帰り道のゴブリンとスライムを見かけ次第手を出して、少しでも実り多くせんとして戻る。一応魔石が二個ほど出たのでその分だけは収入になるか。


 無事にダンジョンを出て退場手続きをすると換金カウンターへドロップ品を持っていく。


「二等分でお願いします」


「解りました。少々お待ちくださいね」


 しばらく待って、出てきた金額、8200円を隆介と分け合う。


「これは多いのか少ないのか……どうなんだ? 」


「ゴブリンばっかり倒してた割には多い、というところかな。隆介はドロップ運が良いのかもしれない。俺一人でこの時間分だけ巡ってもこの金額になるかどうかは怪しいところだ。まあ、初日としては充分稼いだのは確かだろうな」


「そうなのか。じゃあ丸一日通ったら三倍ぐらいは見込める、ということでもあるな」


「まあそうなると考えてくれればいい。ただ、昼飯代と飲み物、それからトイレ休憩なんかを考えるとフルに戦うのは難しいと考えてくれ」


「……そういえば探索中は気にしなかったが、急に催してきたな。ちょっと行ってくる」


 探索中って何故かトイレに行きたくなくなるんだよね。青木まりこ現象の逆というのか、ダンジョンの謎の一つだな。


 トイレから帰ってきた隆介を待って、それぞれの家へ帰る。


「じゃあまた今度よろしくな」


「ああ、予定が合えばな。後、期末のリベンジがあるだろうからそれにも期待してるぞ」


「ぬかしやがれ。今度は負けないからな」


 そのまま駅前で隆介と別れ、家路につく。あの調子なら隆介も大丈夫だろう。俺の周りで探索者……まだ二人しかいないが、二人とも簡単なエリアなら一人で突破することも難しくないことはわかった。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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