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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第209話:三度サウナに遭遇す

 スケルトン地帯を抜けながら魔石とさっきのスキルスクロールを回収したところで、問題の七層にやってきた。水分を取って口の中を湿らせ、万全の体勢で挑む。さすがに低温サウナ状態の環境に長々と居続けるのは問題がある。これもスキルでなんとかなったりするんだろうか。暑さ寒さもしのげるような……【彼岸】みたいな気の利いた冗談のような名前のスキルスクロールがあればここでは狩り放題だろうに。


 早速現れて炎を吹いてきたサラマンダーに、慌てず落ち着いて対処。炎をバックステップでかわしながらエネルギーボルトを炎の中心部に向かって打ち込む。エネルギーボルトを口の真ん中に受けたサラマンダーがたじろぎ、炎を吐くのを一時的に止める。


 そして全身が見えてる間にマジックミサイルをサラマンダーにめがけて発射。ゴツン、といい音を立てて当たったマジックミサイルの衝撃で、サラマンダーは吹き飛び吹き飛んだ先で黒い霧に変わった。


「初手炎だとある意味動きやすいな。下がって遠距離攻撃に徹すれば何とかなる。問題は彩花の攻撃手段がないことぐらいか」


「それは問題の気がするけど、レベル1や2の【水魔法】では炎に蒸発させられそうであまり効果が無さそうだから、【雷魔法】あたりを覚えるほうがいいのかしらね。ちょっと自分の手持ちの武器について色々考えておかないと」


「まあ、通り道のほんの三十分そこらのために用意するのもアレだからな。ここは一つ俺が潜り抜けるまで、前を張るから方向指示だけよろしく」


 さて、もうちょっと真面目にやって今日の稼ぎと暑いさなかで仕事を頑張るか。今日一日ここで過ごすわけでもないのだし、三十分から一時間の間ぐらいなら体力も持つ。水分はここを通り抜けるのがわかっていた分だけ多めに持ってきているし、心配することは何もないか。


 サラマンダーが時々襲い来る以外は何事もなく、魔石と二枚のサラマンダーの革を入手したところで七層は終わった。二枚くれたのはいい話だな。もしかしたら今日は初回ボーナスみたいなもので、ドロップ率が若干高めに設定されているのかもしれない。


 ありがたさを感じながら八層へ到着し、汗をかいた分だけ水分を少し補給。ここから先は涼しく湿度も少しある洞窟風マップが続くので、水分が足りなくなる可能性は低いだろう。


 そしてマップに書いてある通り、ここではビッグバットしか出ないという話だが、たしかに小型のコウモリは少なく、全てのコウモリの羽根の長さは俺の身長より確実に長く、そして縦幅も大きい。ビッグバットばかりというのは間違いないようだ。


 しかし、ビッグバットであってもこっちの威圧でへなへなと力尽き、地面に落ちてしまう。ビッグでもハートのほうはスモールなんだな。これぐらいの威圧に耐えきれないとはなさけない。


「全てのモンスターが魔石になって、そして相手は一歩も動けない。これが入れ食いという奴ではなかろうか」


「そうね。楽に倒せてそこそこ稼げるのも相まって良いわね。後はモンスターがどのぐらい密であるかが分かれば、良質な探索場所として使えるんでしょうけど」


「流石に浅い階層でもあるし、そこまで密である可能性は低いと思うけど、でも部分的に濃い場所はあってもいいかな。誰かが九層に走り込んだときについてきていたコウモリたちが境目でハマってるような、ああいう風景」


「あったわねそんなことも。今日も荷物に余裕があるし、そんな出来事に遭遇しても問題ないと思うわ」


「まあ、期待して外れると悔しいからな。あまり考えずに行こう」


 そのままビッグバットを地面に威圧で叩き落としては彩花と二人で順番にプスプスと刺し殺し、必ずくれる魔石を背中のバッグに入れて少しずつ増えていく重たさに幸せを感じながら進む。しばらく歩いて、そこそこ倒して稼ぎを得られたかな? と思うところで八層が終わり、湿度だけが上がって九層に入る。どうやらボーナスタイムはここまでのようだ。


 ここから先は夕飯のおかず探しだ。マイコニドのくれる旨味強めのキノコ群で今日は鍋にすることが決まった。キノコたっぷりのキノコ鍋。豆腐をついでに買いに行って、たんぱく質も取れるようにしっかりと栄養を摂っていくことにしよう。


「さて、キノコはどれだけ取れるのかしらね。お金にはならないけどお腹には溜まるから、実質的に収入みたいなものだわ」


「キノコ鍋か。旨味があってかなり美味しいのは間違いないだが、カロリーの面ではそれほどないんだよな。だから……今回はキノコパスタかな。バターでしっかりソテーしたやつを絡めて……うん、美味そうだ。鷹の爪も散らして辛ウマにしよう」


「辛ウマ鍋でも良いわね。キムチ鍋の素をいれてキノコともやしと豚肉と……うん、美味しそうだからありね。今日のあがりでしっかり美味しいもの食べようっと」


 彩花がまだ手に入ってないキノコを前にして食欲を増進させている。気持ちはわかるが、キノコがあんまり出なかったら……その時は彩花に譲るか。


「後二層で……一時間半ぐらいあれば到着するか。ボスどうする? 倒していく? 」


「うーん……ドロップ考えると専用ダンジョンで通った方がタイパは良いのよね。時間を有効に使うという意味では戻って専用ダンジョンでオルトロス倒して帰ってきた方が多分収入としては上になるわね」


「それは確かにそうだな。ボスは倒さない方向で行くか。時間が勿体ないわけではないが、経験を積むという意味でも利益になるのは専用ダンジョンだからなあ。また今度潜るとして、今日の所はワープポータルを探して戻って帰ることにしよう。十一層以降の地図も手に入れてないことだし、一度帰る必要はあるだろうからこのままホブゴブリンで小銭稼ぎ……というのも効率が悪そうだ」


「でも時間的には中途半端よね。そんな中で帰って大丈夫なのかしら」


「まあ、時間はどうとでもなる、というかギリギリまで勤め上げるのが今日の目標じゃないからな。あくまで十層まで通り抜けてワープポータルを使って帰るのが目標だ。それを達成できれば今日の所はもうそれでいいんじゃないか? 下手に横道に逸れたり余計な欲を出すとそれは怪我の元になるぞ」


「そうね……じゃあ納得しておくことにするわ。キノコ鍋が食べられればそれでいいってことにしましょ」


 マイコニドを探しながら十層へ向かう道を歩く。


 テコテコと音を立てそうな短い脚と、それに比べて上側に長い胴体を持つマイコニド。エリンギに爪楊枝で手足をつけたようなそのビジュアルは、確実にモンスターであることを教えてくれる特徴を持つとともに、もしマイコニドが異常発生するようなダンジョンがあるならば、ダンジョンのマスコットとして丁重に扱われるだろう。


 それどころか。地方創生の柱としてイメージキャラクターの着ぐるみまで作られるほどにキュートでもある。多分今まで出会った中で可愛いほうから数えれば三本の指に入る可愛さである。ちなみに残り二本はスライムとケットシーだ。


 そのマイコニドが出てくるたびにマジックミサイルで迎撃したり、彩花が火魔法で焼きキノコにしたりして一気に勝負を決めている。近づくと胞子による呼吸困難に陥り、最悪の場合死に至るので、二人とも遠距離攻撃手段を持っているので、楽に戦えている。一応マスクは持っているから、マスクで覆って体内に浸透する前に倒せばいいんだけどね。


 倒したマイコニドは一匹目から何かのキノコをくれるという幸運に恵まれた。これで少なくとも手ぶらで夕飯はパスタだけ、という可能性は低くなったな。彩花の分もしっかり拾って帰ろう。そのためにはそこそこの密度でマイコニドが出てきてくれないと困るわけだが……さて、どうしたもんか。こればかりは運を天に任せるしかないからな。


 とりあえず大人しく道に従ってマイコニドを探しながら進む。今日はあまり人がいない日なのか、それともどこかでインスタンスダンジョンでも発生してそっちに人員が割かれているのか、中ボス部屋の前であったパーティー以外にはもう一パーティーとしか顔を合わせていない。


 今日はかなり人が少ない様子なのだが、これが普通なのか、それとも卒業生による探索が減り、学生サークルの立ち上げ時でまだ装備が揃ってない学生がいるので、装備をそろえるまでの間潜ってないからなのかはわからないが、とにかく人が少ない。


 さすがに溢れ出るほどのものではないらしいが、モンスター密度のほうがそれほど高くないので溢れ出しに関しては心配しなくていいのだろう。むしろ、ここのダンジョンは滅多なことでは溢れ出さないダンジョン、ということになるのかもしれないな。


 ダンジョンによっては溢れ出しの激しいダンジョンとそうでないダンジョンがある……これもそのうち学部の総合講義で学べたりするのだろうか。ダンジョンの傾向と対策、それから内部モンスターの運動量によって、それらが変わってくるのだろうとか、そういう知見も溜まっていそうだし、学びを得るためにも実体験である程度先に予習しておく、というのも必要だろうな。


 マイコニドはそこそこの密度でその辺をうろついているので、キノコの入手量もそう少なくはない。ただ、あまり多すぎても困る、というのがこちらの悩みだ。何日かけて消費すれば食べきれるのか、なんて悩みにもなりかねない。どうするか……


 あぁ、そうだ。あまりに多く取れ過ぎたら両隣さんにおすそ分けの形でもらってもらおう。もしかしたら元探索者かもしれないし、探索者からのおすそ分けをもらったことがあって味の確かさを知っている可能性もある。


 キノコの搬出先を思いついたところで、もっと勤勉にモンスターを倒していこうという気になった。気合を入れて、視界に入ったマイコニドはすべて駆逐していくぐらいの気持ちで戦い続ける。


 30分ほど戦い続けた後、バッグの中の仕切りの片方がキノコで一杯になった。ちょっと頑張りすぎたか?


「そんなにキノコばっかりどうするの? さすがに私も食べきれないわよ? 」


「お隣さんに差し入れすることにしたから問題ないさ。それより、そろそろ十層かな? これだけキノコを手に入れられてたら問題ないだろうし、しっかり十層まで歩き通してワープポータルから帰ろう」

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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