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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第208話:人入りは少なく、その分実入りは多く

「スキルスクロールの中身はともかくとして、これで魔石は充分に手に入ったな。スキルスクロールも値段に関わらず良いものが出てくれたと思いたい。威圧だったらより自分を高めたいし、他のスキルだったとしても販売して現金化することもできる。なかなか悪くない話だ」


「問題は何のスキルかよね。【精力絶倫】だったらどうするの? 」


「だったら……さすがに売るかな。もう手元にあるし、複数枚数重ねなきゃいけないほど元気がないわけでもないし。まだ一枚も試してないのだからいくら溜めておいてもしょうがない。ダンジョン内は暗いし、失敗で十回分の鑑定サイトを使い切りそうだからギルドに戻ってから鑑定、それから換金するかどうか選択だな」


「とりあえず、ここでお昼にしますか。ちょっと早いけど、休んでいた人もいたしここはある程度安全な場所みたいだし、さっき休憩してた人達もまだ居るだろうし。ボス部屋前はちょっと安全というのは確実らしいわね」


 中ボスを倒してさっさと出てくると、さっきの人たちがまだ休んでいたので、軽く会釈して通り過ぎる。後ろでは「もう倒したのかな」「さすがにそれは早すぎるでしょ。中に入って数分も経ってないし、中を覗いてきたらわかるんじゃないの? 」「うーん、でもまあ、他所のパーティーのあれこれを詮索するのはマナー違反よ。無事に倒せたってことにしておきましょ」等と、【聞き耳】でばっちり話し声が聞こえてくる。


 中ボス部屋を開けて中ボスがいなくてびっくりされて……までがワンセットだとは思っていたが、そこまで確認するのも失礼だし、確認したところで何の利益もないと判断されたのか、そこからはまた休憩に戻った様子だった。その間にこっちも座り込み、弁当を広げて食事を始める。


 今日はちゃんと野菜と米の飯を用意してきたので栄養にも気を配っている。しっかりと茹でた大根に味噌をたっぷりと付けたものと、大根葉のお浸し、それにはんぺんとちくわを一度出汁で煮炊きしたもの……つまり、実質おでんがおかずだ。


 俺はおでんをおかずにしてご飯を食べられる男なのだ。ちゃんと卵も用意はしているが、時間の関係で煮込んではいないので実質味噌卵である。これを長時間煮込んで食べるとまた美味しいんだけどなあ。


 若干炭水化物に偏りがちなメニューだが、それでも野菜は入っているし、普段のパスタ攻めに比べればかなりのレベルで洗練されてきていると思う。卵で栄養価は保証されているしな。


「……よし、パスタじゃないわね。むしろ味しみ大根が美味しそう」


「半分分けよう。俺もまだ味見してないからどのぐらい味しみになってるかわからないんだ」


「どれどれ……んー、コンビニの廃棄直前の、美味しい出汁を吸い切ったなべ底大根にはかなわないけど、中々美味しいわ」


「あれはしっかり煮込まれてるからな。コンビニおでんの最終形態に勝つには時間と手間がかかりすぎる。自分で作れるなら……うん、このぐらいできてれば充分だろう。後ははんぺんの味もしっかり移ってるし、これは成功だな」


 我ながらよく出来た、とガッツポーズして食事をササっと終わらせてしまう。いくらボス部屋前とはいえ、自分たち以外にはもう誰もいなくなってしまったし、モンスターが来ない保証はない。食事中だから待ってくれるわけでもないので、【聞き耳】を効かせたまま食事を進める。


 食事が終わってちょっと休憩。どうやらここ中ボス部屋は五層のど真ん中、六層へ行く道へも四層へ行く道へもどちらともつながっているようなので、無駄に道草食ってここで休んでいる訳でもないのも好ポイント。


 休憩が終わって、腹も落ち着いたところでさっさと六層方面へ向かおう。休憩は大事だし油断しても多少何とかなる相手ではあるが、ダラダラしてるとメリハリがなくなるからな。彩花もキリッとした顔つきになって、俺の索敵と自分の手元の地図を頼りに進んでいる。


 しばらく歩いてレッサートレントを倒していると、ゴトリという確かな音と共に、樹液がドロップされた。魔石はもっと軽いコトリという音がするから、たしかな重さと満足感を求めるなら樹液のドロップのほうが何か頑張った感は高い。


「これ、もらって帰っていい? 」


「いいぞ。二本目出たら……俺も念のため一本ストックしとこうかな。何かの料理に使うかもしれないし」


「パンケーキにバターと一緒に乗せるのがやっぱり最高よ。幹也も試してみることね」


「まずホットケーキミックスを買いに行くところからだな。まあ、今日の稼ぎともう一本落ちるかどうかで気が向いたら作ってみるし、その気になれば自力で専用ダンジョンでドロップできるんだから問題ないか。考えておくよ」


 そのまま五層を回り、六層方面へ続く。結局五層では複数回のドロップはあったものの、樹液のドロップはあの一回きりだった。もう一個ぐらい出してくれてもいいのにとは思うが、まあ贅沢は考えないでおこう。今日は金を目当てに来ている訳ではないとはいえ、もうちょっと色気があってもいいとは思っている。


 まあ、その辺は八層に期待しておくか。あそこのコウモリはすべて魔石を落とす。数がいればいるだけ利益になるし、遠距離から倒す手段もあれば威圧で一気に押し切ることもできる。しっかり稼がせてもらうことにしよう。


 六層に入り、スケルトンメインの構成になってきた。彩花に地図を見せてもらうと、ほぼ三本道であり、東名新東名のような感じで時々ジャンクションで道の入れ替えが出来るような感じになっている。行ききったところに次の階層への出入り口があるようなので、六層はそこそこ長い道のりにはなりそうだが、その分退屈はしなくて良さそうだ。


 いつも通り真っ直ぐ進んでいくと、前からひたすら現れるスケルトンの群れを、順番に倒していく。足元は確かに踏みしめられており、また近くに探索者がいないのでエネルギーボルトもマジックミサイルも使い放題だ、精々暴れて次の階層では省エネに努めることにしよう。


 彩花も地図を俺に渡してきて、食後の運動がてら自由にスケルトンを燃やしたり、スケルトンの核は火魔法で燃やし尽くすことができるのか、という実験を始めた。どうやら答えはイエスのようで、一定時間か一定熱量を加えられたスケルトンの核は自壊するらしく、火魔法でもスケルトンを倒せるのは間違いないようだ。


 彩花も実験に納得し、これならなんとか仕事ができるわね!と息巻いている。火魔法をもう一、二枚追加して更に火力を増した彩花なら安心して背中を任せられるようになるかもしれないな。


 マジックミサイルとスケルトンの相性は抜群で、マジックミサイルで丁寧に核だけを狙って破壊していくことでスケルトンの対応は格段に楽になった。一々懐に入って大きめの剣を振って核を狙って精密な動作を……という面倒くさい行程はすっ飛ばし、マジックミサイルに肋骨ごと核を壊せ、とイメージするだけでマジックミサイルが想像通りに動いてくれる。


 スキルに頼り切るのもあまり褒められたものではないらしい、というのが探索者界隈での話だが、ここに限ってはスキルに頼ったほうが圧倒的に楽。もうこの味を覚えたらやめられない、というやつだ。


 だが、食後の運動もほどほどにしていかないといけないため、ちょっと飽きたな、と思ったときには率先して近接攻撃に移り、スケルトンを倒すことにした。魔石は落ちるが、雷スケルトンがなかなか出てこない上にスケルトンアーチャーの割合のほうが多い様子。


 なかなかドロップしないなあと思っていたら、雷スケルトンからのスキルスクロールドロップが二回連続であった。これはなかなかレアな体験だな。狩り放題だからという理由もあるのだろうが、自分のダンジョンでもそう滅多にない、スキルスクロールの連続ドロップという行為に思わず胸が躍る。今日は良い日だな。


「二枚も連続で出るなんて、何かあるかもしれないわね。あっちでもないのに」


「そうだな……確率上はあり得ない話ではないのは確かだが、何か揺り戻しがありそうで怖いな。慎重に扱っていこうか」


「それ、二枚とも覚えるの? それとも売るの? 」


 彩花がどうせ二枚ともエネルギーボルトでしょ? という当然の結論を持ちながら俺に尋ねる。


「両方エネルギーボルトだったら、一枚は在庫にしておいて一枚は覚えるかな。何となく、何かに使いそうな気がする。例えば大泉先生が自分でも味わってみたいと言い出した場合、探索者講習を受けた上でのスキルスクロールの譲渡、というケースなら問題なくやり取りはできるだろうしね」


「大泉先生もちゃんと仕事で給料もらってるんだから常識的な範囲でお金は持ってるし、普通にギルドで購入することはできると思うんだけど……」


「まあ、予備の予備、ということだ。手元にあることとないことを考えたら、あっていつでも動かせるようにしてある方がお得だろう? それに、マジックミサイルがあるしエネルギーボルトをそこまで伸ばす理由は今の所ないからな。焦って覚えるよりじっくり育てていく方を大事にしたい」


 実際問題、エネルギーボルトよりもマジックミサイルのほうがダンジョン内での使い勝手がいい。大泉ゼミ初日の実験の時のマジックミサイルはやらかしの範囲が大きかったが、そっちの場合はまたエネルギーボルトで発射すればいいことになるので問題はなくなる。むしろ、今後はエネルギーボルトを基準にして行こうと思う。


 入手のしやすさや値段の安さなんかを加味しても、第一段階として人が手を加える範囲でのエネルギー抽出という課題はクリアしているのだから、いかにして人の手を煩わせずに済むように機構を改良していくか、という側にまず問題をシフトさせて、そこから人要らずの予備発電燃料としての魔石のリサイクルエネルギー発電、という風に持っていく方が自然なはずだ。


 その為には実験者が被検体としてエネルギーを生み出せるようになっているとより実験が進めやすい。先生や朝日奈もスキルが使えるようになっている方が確実に研究をしやすくなるだろう。その為の予備の一枚、として持っておくだけなら問題はないはずだ。物事はできるだけ柔らかく、そして素早く仕事ができるようにしておかないとな。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
名神新名神みたいに行き止まりがあってこそダンジョンよ。 知らんけど。
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