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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第169話:実験・魔石くずのエネルギー再利用実験

 戻ってきた大泉ゼミ。どうやら他の聴講生は全員他のゼミへ移動したらしく、この場にいるのは俺とこの合法ロリだけだ。


「俺がいない間大丈夫でしたか、参加者に泣かされたりしてなかったですか? 」


「君は私を何だと思っているのだね」


「お互いにいじりやすい合法ロリだと思っています」


「もうちょっとオブラートに包みたまえよな! まあ、それは良いとしよう。その代わりに一つ実験に付き合ってもらう、いいね? 」


 まあ、ここまで言わせてもらった以上、お互いに利用し利用され、という奴だ。この世の名残に一つ芸でも見せてやらんとす、というところか。


「で、何を手伝えばいいんですか? 」


「君は確かエネルギーボルトのスキルを使えたね? もう一回で良いから、試しに魔石くずからエネルギーを使う形で、エネルギーボルトを撃ってもらいたいんだよ。その前後のエネルギーポテンシャルを確認したいんだ。エネルギーゲインを測定しながらでもスキル行使で魔石くずからエネルギーを使い続けることができるかどうかも含めて検証したい。頼めるかな? いいよね? 他に頼める人がいないから……頼まれてくれないと泣く。全力でギャン泣きしちゃうぞ」


「あんたいい大人だろう。それでいいのか」


「それで研究が進んで人類に進歩が訪れるならいくらでも落涙するし土下座も土下寝もしようじゃないか。それでこそ研究の奴隷というものではないかね」


 相手するのが若干疲れるな……まあ、エネルギーボルトでこの人が静かになってくれるならそれでもいいし、そもそも断る理由がないから良いんだけど。


「じゃあ、その測定の準備をお願いします。俺は窓開けて外に向けて発射する準備してるので」


「本当かい? なんだか脅迫したみたいで悪いなあ」


「ほとんど脅迫だったろ今のやり取り」


「じゃあ、魔石くずにエネルギー測定器をつけるからその後で頼むよ。よいしょ……えっとどこやったっけかなあ」


 その辺から測定器なるものを持ち出し、魔石くずの両端に端子を結びつけると、反応をみて、軽くたたいたり線を繋ぎ直したりしながら残量測定を確かめている様子。っていうか、そんな簡単な機構で魔石のエネルギー残量って測定できるものなのか。


「今、やけに簡単な機構で測定できるんだなって考えているだろう。私も最初そうだったが、中身について力説されて値段と機構の細かい話を聞いたら、よくぞこんな見た目まで簡略化出来たなと驚くほどだったよ。ちなみにお値段は……私の年収ぐらいするね! 」


 准教授の年収がどのくらいかわからないので比較のしようがないが、知的労働者に違いはないので結構お高めのラインであることはある程度予想できる。こんな線が二本出ていて、ゲージがあるだけの機械でそんなお値段がするのか、と不安になるが、試しに機械の画面を見させてもらうと、ゲージの3割ほどまでエネルギーが溜まっている様子が分かる。


「説明しておくと、このゲージが満タンの状態が通常ドロップされる魔石のエネルギー量で、ゲージの三割……つまり現状の状態が、発電できるギリギリの状態まで消耗した状態になるね。ただ、ここからゲージが0になるまでのエネルギー量……エネルギー総量とこの際言うが、そこからゼロになるまでのエネルギー総量が結構多いんだ。乾電池で言えば、時計を動かすぐらいなら長々と数年動いてくれるが、ミニ四駆だとパワー不足でモーターが止まるような状況、と言えば伝わるだろうか」


「微妙にわかりやすいのかわかりにくいのか難しい表現ですが、言いたいことは何となく伝わりましたよ。要するに、このエネルギーゲージの少ない状態からいかに電力もしくは他の形でエネルギーを取り出せる状態に持っていくのが研究内容の筋ってことは前にも教えてもらいましたから、実例でもって効果のほどを確かめてみる、といったところでしょうか」


「呑み込みが良くて助かるねえ。じゃあ、ババッとやっちゃおうか」


 説明を終えて後は実行するのみの段階になったからか、さあやってみようか、という姿勢を崩さない合法ロリに対し、落ち着いた口調で説明を始める。


「ところで、全出力で短く早く発射して早々と0にしてしまうのと、弱く長く発射してゆっくり観察するの、どっちがいいですかね。多分どっちも対応できると思うのですが」


「ふむ? ということはあれからまたいくらか強くなった、というか何枚かスキルスクロールを重ねたと判断して良いのかな? 」


「まあ、そういうことになります。なので前回と同じスパンや威力がお好みならそちらで、そうじゃなくて俺の出せる全力で絞り出してみるとどのように変化するのか、という実験もできますがどうしますか」


「両方行ってみよう。まずは弱く細くからいこうか」


 スマホを取り出し、画面に固定して録画を開始する。なるほど、こうした方が時間経過とゲージの数値を確認しやすくて、しかも望遠レンズだから俺のほうの出力もよく見える、ということか。中々考えられた実験装置と時間経過測定だな。


「じゃあ、行きます」


 エネルギーボルトを手元の魔石からエネルギーを吸い取るようなイメージで発射する。俺が手に持つ魔石から暖かいようなぬくもりと共に、エネルギーボルトを発射する時に抜けていく魔力のようなものが感じられず、肉体的、精神的負担のないままエネルギーボルトが垂れ流され続けていく。また一分ほどぶっ続けでエネルギーボルトを投射した後、エネルギーボルトが途切れ魔石の中の色がなくなった。


「よし、録画完了っと。再生は……うん、できるしちゃんと見えてる。続いて、強めでお願いしまーすみき太先生」


「任された」


 今度は現状最大であるレベル8のエネルギーボルトを発射しながら、同じく魔石の中身を使い続ける。今度は20秒ほどで力尽き、魔石の中身が空になっていくのがわかる。俺も違いの分かる男になったか。


「終わりましたよ」


「早いねえ。よしっと……うん、きちんと記録はされてる。ちなみに最少と最大の中間というリクエストはできるかな? 無理そうなら良いんだが」


 中間か……なかなか難しいことをおっしゃる。レベル4相当の出力のエネルギーボルトということになるのだから、やってやれないことはないか。


「試してみましょう。俺自身も使い分けられる方が便利になるような気がするので」


 新しい魔石くず……魔石くずに新しいも古いもないとはおもうが、まだ未使用の使用品……ああ、ややこしい。魔石くずを用意してもらい、同じく録画の確認をすると早速中間ぐらいというはっきりしない使用方法でエネルギーボルトを使い始める。すると、40秒ほどで魔石の中の色がなくなり、無事に使い切ったようだった。


「さて、終わりましたが全部取れてますかね? 」


「撮影と計測は実験の要だ。そこに手抜かりはないよ」


 チッチッチと指を左右に振りながら格好をつける合法ロリ。どっちかというと可愛い部類に入るのは仕方ないところだろう。キュンとは来ないがそこには確かに可愛がりやすそうな姿があった。


「さて、三種類の実験をしましたが、これにどのような意味が? 」


「まず一つ、出力に関わらず、ある一定量、つまり定数K分だけ、スキル行使時に魔石の中身は常に使われ続けるんだ。そして、それ以外の部分については出力に比例するように魔石の中身を同じく使われ続ける。これは単純な直線の基本方程式で表すことができる、ということまでは判断がつけられるかな。この定数Kの分だけでもエネルギーとして取り出せるようになればかなりのエネルギーロスを減らすことができるね」


 簡単な方程式をノートに向かってパパっと書く合法ロリ。中学生でもわかる、エネルギーボルト使用時における、エネルギー使用量についての直線がかかれていた。


「ふむ……肝心の取り出すべきエネルギーの消費傾向についてはわかりました。後はこれをどうやって人間無しで使い込むことができるか、ですよね」


「それも確かに必要だが、【エネルギーボルト】の代わりに、例えば【雷魔法】で直接的に電気に変換する場合、人工的に生み出す電力エネルギーでも同様の出力が得られて、それがコストに見合うだけの人的資源エネルギー……つまり人件費に見合うだけのエネルギーを出力できるなら、現状の最安値として人間を介した発電システムというのを組み込むこともできる、というところかな」


 ふむ……この装置の根本的課題はどうやってエネルギーを取り出すか……という装置のほうに問題があるんだったな。俺がやってみせたのはあくまで人がエネルギーを抜き取った場合の理論値であって、実際にそれを行う装置での使用となればまた話は変わってくるんだろう。


 どうすればエネルギーを吸いだすことができるかどうか、か。一般的に思いつくような発電装置では既に試されて結果は出ているだろうから、この先で俺が何やら意見を差し出してもそれはもう実験済みなんだよみき太君、と返ってくるのだろうな。


「よし、お疲れ様。おかげで良い参考データが取れたよ。これを根拠データとして登録して……本来なら千回ぐらいやってもらいたいところだけど、まだ本校の学生ですらない君にそこまでやらせるのは無理だからね。是非とも入学した際にはこき使われてほしいところだけれど、今日の所はこのデータが正確かどうかはともかく、少なくとも魔石からのエネルギー総量の抜け方が分かっただけでも儲けものかな。ありがとう」


 素直に真っ直ぐな目線と笑顔でお礼を言われ、つい顔が熱くなる。


「おや? おやおやおや? 何を赤くなってるんだい? もしかして、素直にお礼を言われると思っていなくてうっかり気を抜いてしまった結果だったりするのかい? ちょっと君らしくないなかなか貴重なシーンが見えた気がするよ。ねえ、どんな気持ちだい? うっかり本性を晒してしまった気分は」


 ぬ……ぐぅ……言い返せない。くっそ、こんなところで弱みを握られてしまった。


「次回までに忘れておいてくださいね。今度会う時にまだ覚えてたら簀巻きにして川に吊るしますから」


「はっはっは、しっかり楽しみとして覚えておくとも。ではまたな、今日は良いデータをありがとう。おかげで少し光明が見えたよ」

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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