表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

159/219

第159話:ホブゴブリンとレベルアップ

 ホブゴブリン討伐の旅は続く。ドロップ率はそれほど低くなく、また銀貨という固有の換金可能ドロップが落ちることで他のモンスターに比べて圧倒的に換金物が出やすいのがホブゴブリンだ。ちょっとだけ銀貨が重いが、重さ分だけの収入があるとわかっている以上、それを嫌がる理由にはならない。


 多少戦いづらい相手ではあるものの、まだ確実に勝てる仕組みが出来上がっていない、というのが理由ではあるので、もう少しで確実に倒せる方法が出来上がるだろう。それまではもう少し今のままのやり方で続けていこう。


 ホブゴブリンは一割から二割の確率で魔石を落とし、そしてその半分の確率で銀貨を落とす。そのため実質ドロップ率は二割ほどでお金をくれる美味しい存在ではある。ここまでドロップ率が高く、換金効率がいいモンスターはこれまでにはいなかったな。食品として交換できるという意味ではオークがいたが、食べてしまうので実質ゼロ円になってしまうのが惜しいところ。


「そういえば、最近はオーク肉まだ食べてるのか? まだ在庫があったりして」


「中間テストの前にダンジョンに通った分でやりくりはしているな。そろそろ切れそうではあるから在庫を補充したいとも思うが、ホブゴブリンを安定して倒せるようになったならホブゴブリンで換金して普通のお肉を買うほうが多分効率的だとは思うんだけど……まあ、実際に計算してみないと何とも言えないな」


 実際の所、そろそろオーク肉は卒業する時期だとは思っている。いくら全モンスターが魔石ドロップするとはいえ、シャドウウルフの魔石を売却した値段で普通の豚肉を買った方が早いのは明らかだ。オーク肉でなければいけない理由があるならその限りではないが、今の所そういう事情があるわけでもない。


 なら、この先もホブゴブリンやシャドウウルフ、もしくはその先のスケルトンメイジを倒して得られたドロップ品を換金して食糧に変えたほうが効率的だろうな。まあ、実際にいくらになったかはさておきそれなりの金額にはなるだろうから楽しみにしておこう。


 ホブゴブリンを次々と順番に葬っていたら、二体同時に出てくるタイミングに出会ってしまった。これは隆介の踏ん張りどころだな。盾役としてしっかりと務めを果たしてもらおう。


「隆介、一匹押さえておいてくれ。その間にこっちでもう片方を片付ける」


「できるだけ早めにやってくれよ、俺の装備が持つかどうかはわからんからな」


「安心しろ、特急料金でやってやる」


 彩花と頷きあうと、ホブゴブリンに向かって全力の威圧をかけながら、動きが鈍っている間に俺が正面から、そして彩花が背後からホブゴブリンを狙う。


 ホブゴブリンのこん棒をこっちの山賊刀で受け止めている間に彩花がホブゴブリンの脇の下に刃を入れ、そのまますっぱりと切り込みを入れる。ホブゴブリンはその痛みに驚いてこん棒を落としたので、こん棒にぶつかった反動を利用して、そのままホブゴブリンの心臓めがけて山賊刀を突き立てる。うまく心臓に入り込んだ山賊刀がホブゴブリンを黒い粒子に変化させながら消滅させる。ドロップ品は後回しにして先に隆介の援護だ。


 隆介はこっちがホブゴブリンを仕留めきるまでの短い間だったが、きっちり相手をしてくれていた。


「今行くぞ」


「あいよ、待ってた相棒。予想よりも一分ぐらい早かったな」


「奥の手を使ったからな」


 隆介からバトンを受け取るようにホブゴブリンに切り込みを入れ、こん棒を持っている腕を切り飛ばすと、ホブゴブリンのターゲットが俺に移る。その間に彩花と隆介がそれぞれの武器でホブゴブリンに攻撃をして、俺は正面から挑み、山賊刀を突き込むようにして刺す。


 三人から同時に攻撃を受けたホブゴブリンが、そのまま黒い粒子になって消えていく。ドロップした銀貨は、しっかり利益として残しておいてもらうことにしよう。


 すると、隆介から謎の声が聞こえだした。


「お、なんか、こう、スッキリするような。何だこの感覚、フワッと体が浮き上がる感覚というか、不思議な感じだ。なんだこれ」


「もしかして、レベルが上がったんじゃないか? 」


「レベルアップってこんな感覚なのか。冷静に俺を見てるってことは、そっちは既に体験済みってか? 」


「まあな。それでちょっと賢くなるらしいぞ」


 あくまでレベルが上がったのは一つか二つぐらいだと考えているらしい隆介だが、レベルが上がって賢くなる、という言葉には引っかかるものがあったらしい。言葉の端をつまんでは、そのまま会話に入った。


「なるほど、お前と結城が急に賢くなったのはレベルアップのおかげってわけか」


「そんなにいくつもレベル上げたわけじゃないけどね。でも、効果があるかどうかと言われたら効果があったと言えるんじゃないかしら」


 断定できるものでもないのであくまで可能性の話だが、それでもレベルアップの効果はある、と言う彩花。


「まあ、そんなわけだ。次のレベルを上げにいくよりも勉強を真面目にしたほうが捗るのは間違いないだろうが、俺がちょっと賢くなったのはレベルアップのおかげでもあるってところがネタバレだ。良かったな、お互い誕生日が比較的早めで」


「良いのか? こんな現象が多数報告されたらみんな四月生まれは勉強するよりダンジョン潜ってモンスター倒してたほうが学力が上がる、なんて逆転現象になりかねんぞ」


 俺がこの話を黙っている第一の理由がそれなんだが、本当にレベルが一つ上がった程度で色々と変化が来るのか? というのは問題ではある。四月から今日まで半年、ほぼほぼ毎日潜っていたとしてもそこまで簡単にレベルが上がるようになるのかどうかは別の話ではあるし、どこまで深く潜って探索できるようになればレベルの上がり具合がよくなるのか、そういったデジタルな話にも首を突っ込んで考えなければならない。


「確かに。ただ、キャリーしてくれる探索者グループへの報酬とか、そもそもレベルいくつを目的としてあげるのか、そしてレベルを上げてどうするのか、というのが周知されて、仮に家庭教師みたいに専属探索者が職業として成り立つようになったとしても、やはりうまく回らないんじゃないかなとは思ってる。そんな賭けに出られるのを学校側としては納得しないだろうしな」


「なるほどな……そこに賭けても地が悪かったらどうしようもない、という話にもなるか。それに、何をどれだけ倒せばレベルが上がるのか、というのもわかっている話ではない。それでも、幹也の目線から見て効果はあると思うか? 」


 隆介にとっては、自分の努力は見合った結果をもたらしてくれるのか? という真剣な質問だ。


「少なくとも、今までよりちょっと賢くはなるかな。彩花の場合、そのレベルアップであの集中力を得られるようになった。レベルアップの副次的効果は人それぞれのような気がするが、それでも上がらないよりは上がったほうが色々な面で効果があるのは確かだろうな」


 隆介はなるほど……と少し考えた後で、とりあえずいつも通りの体の動きや細かい動作、頭の中身の整理などができるかどうかを確認している。


「ちょっと頭がスッキリしたような気がするから、レベルアップの効果は確かにある、とみるべきなんだろうな。もっと早く生まれてこの効果を知っていれば、俺もせっせとダンジョンに潜りながら勉強する日々だったかもしれないな」


「それは残念だったな。でも、ダンジョンでいつ上がるかわからないレベルに一喜一憂するよりは、毎日着実に勉強して知識を深めていくことのほうが効果的なのは間違いないだろうな」


「言えてるな。まあ、ラッキーがあった、ぐらいの気持ちでいるほうが精神的に安定するかもな。そういうことにしておこう」


 そういうと、隆介は盾と槍を担ぎ直して次のホブゴブリンを探しに出かけた。


「いいの? レベルのことあんなにしゃべっちゃって。もしかするとこっちのレベルの上がり方の異様さに気づくかもしれないわよ」


 彩花が小声で俺にこっそり話しかける。


「自力で気づいたならそれは素直に認めてやるべきなんだろうな。その時はまたアカネに相談だ。俺だっていくらでもアカネの信者を増やして誰でも強くなって……という循環を増やしたいわけじゃないしな。女の子はできるだけ独占したい人間なんだよ」


「私が居るのに浮気じゃないの? 」


「神様は別カウントだろ、多分。あと、触れないし、そもそも俺の好みの範囲外だし」


「むぅ……ちょっとだけアカネさんにジェラシーが湧いたわ」


 アカネにまた恋愛とは別の感情を抱いている俺……どっちかというと信仰心とか庇護欲とかそっちの方の感情に近いものだとは思うが、それでも彩花は納得できないらしい。


「まあ、隣にいていいのは一人だけだからな。その点は安心してくれていい」


 彩花にちゃんとフォローをしつつ、隆介の後を追いかける。彩花は少し遅れて追いついてきているが、さっきの言葉が引っかかって俺より前には出てこない。ふと顔を見ると、まだ顔が赤い。どうやら顔を見られたくないようだ。次のホブゴブリンが見つかるまでに元に戻ってくれるといいんだがさてどうかな。


 隆介がこっちに向かって手を振っている。どうやら至近まではたどり着けたらしいが俺達が少し遅れているので攻撃のタイミングを待っているらしい。


「遅いぞ、何やってたんだ」


「ちょっと愛情を確かめ合っていた。もう大丈夫だ」


 隆介に言い訳をしつつ、次のホブゴブリンを物陰からそっと見る。


「戦闘中に暢気な奴らだ。さあ、レベルアップした分の能力上昇の効果ってもんを確かめないとな」


「レベルアップ直後は身体能力もオツムのほうも、空回りしたり元気有り余ってうまく立ち回れないことがあるから気をつけろよ。いつも通り全力で……って動こうとすると不具合が出るからな」


「それは良いことを聞いた。試しにいつもの動きの量……と考えながらやってみるか。もうちょっと粘れるかもしれない」


 隆介がホブゴブリンの前で槍と盾をかき鳴らして威嚇する。隆介も【威圧】とか持ってれば、その使用で持って反応するぐらいはできるんだろうか。やってみないとわからないが、きっと威圧にも反応するんだろうな。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ