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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第126話:オークチーフ・ラン

 三周目のオークチーフ討伐の時間になった。さあ、今回は何をくれるのかなっと。時間を見計らって、中ボス部屋の扉へとたどり着いて開くと、ちゃんと湧き直してくれていた。おっす、さっきぶり。いっちょよろしくな! と山賊刀を構える。


「グモオオォォォォ! 」


 さっきと同じように、オークチーフが威圧の咆哮を上げている間にさっさと近づき、腕と共に山賊刀を飛ばし、飛ばされた腕と山賊刀に気が散っている間に革鎧の隙間から再度攻撃を繰り返して心臓に突きあたるように刃筋を立てて差し込む。


 今回もうまくいったようで、差し込んだ先から黒い霧が飛び散り、水分だったら俺を濡らして仕方ないところだろうこの黒い霧は、いまだに何でできているのかわからないがこれが俺に当たってはじけ、そして消えていく。


 残ったドロップ品は魔石と睾丸とスキルスクロール。肉塊はなしか……だったらもう一周いけるな。だんだんゲームのボス周回じみてきたが、三回と一時間半の間オークをひたすら狩り続けてもレベルが上がらないのを考えると、次のレベルはまだまだ遠そうだな。


 さて、もう一周してくるか。荷物はまだ大丈夫だし、魔石も肉も持つ余裕はあるし、帰り片手がふさがっていたとしても【威圧】でなんとか乗り切ってしまえばいいだろう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 もう一度ぐるっと回ってきて、オークチーフ退治。以下省略、と。ドロップ品は魔石とスキルスクロールと肉塊。山賊刀は落ちなかったので、これは結構レアリティが高い装備なのかもしれないな。割と最初のほうに大事な物をもらったような気がする。ビギナーズラックだったってことかな。


 何にせよ、肉を集める予定量には充分すぎるほど集まった。家に帰って肉塊は洗った後でコマ肉風に刻んでおいてから冷凍、普通のオーク肉は表面をきれいにしてから水分をふき取って冷凍。それぞれ楽しみが増えたぞ。これでいつでも焼肉もできるし野菜炒めにも肉が入れられる。


 早速レッドキャップ地帯を通り抜け、【威圧】をかけながら意気揚々と帰り道に差し掛かる。すると、目の前で固まって動けなくなっているレッドキャップが一匹。出会ってしまったならしょうがない、威圧の効いているうちに楽にして差し上げなくてはな。


 レッドキャップを一刀の下に切り捨て、魔石を拾ってそのまま過ぎ去る。どうやら威圧は障害物や自分の向かっている方角に関係なく一定距離までは効果があるようだ。俺を後ろから襲ってくる気配もない。


 索敵代わりに使う、というわけではないが、弱いモンスターを寄せ付けない効果もあるらしい。これはこれで中々悪くないな。シールドゴブリンもゴブリンアーチャーも近寄ってこないし、後ろから追いかけてきて遠距離攻撃してくる、という様子もないようだ。威圧を撥ね退けてこっそりと奇襲するような、そういった形の度胸はないらしい。


 おかげでオークからほぼまっすぐ出入口まで帰ってきて、そのままするっと部屋に戻る。三時間ほど運動をしたかな。時間を見ると丁度午後四時半というところ。昼すぎぐらいに入ってきたはずだから、往復と四周を込みにしても、この時間でこれだけの報酬は充分美味しいな。


 さて、まずは肉の処理から終わらせてしまおう。キッチンに立つと、さっき考えていた通りに肉を処理し、塊はコマ肉に、普通のオーク肉はそのまま洗ってそれぞれ冷凍。今日の野菜炒めには肉を入れたいので、一部は冷蔵でそのまま冷蔵庫に入れておこう。


 野菜は冷蔵庫にあるものを自由に使えるので……何にしようかな。ピーマンとキャベツを入れてそこにオーク肉を入れたら回鍋肉にもできるし、ピーマンをパプリカだと思い込んで使えばオイスターソースとも絡ませることだってできる。また、アスパラを入れてガリバタ炒めと行くのも悪くない。ニンニクの芽を入れてスタミナ満点として今日のダンジョン探索をねぎらってやるでも良い。さあ、どれにしようかな。


 しばらく悩んだ結果、さっき肉塊から削り出したオークのコマ肉とピーマンとキャベツとニンニクの芽をニンニク味噌で炒めたガーリック炒めとすることにした。ニンニクをふんだんに使った、明日人に会うかどうかを完全に無視したスタミナ満点定食だ。


 ご飯も炊いて、しっかりとした夕飯にすることで、色んな栄養素をまとめて取るのに好都合。今日はしっかり栄養を取って明日からの勉強に備えるべき日だということにしておく。


 さて、いただきます。と……アカネにそこそこの光が宿る。中々に手間がかかった一品、と判定されたらしい。さすがに角煮を超える一品はいまだに出てきてはいないな。もっと気合の入った料理というと……どうだろう、何が良いんだろう。


 やはり、ベーコンか何かを自作するところまで行かなければいけないんだろうか。後は壺焼きとかそういう流れでも良いな。ただ、その為に壺を都合して……というのも面倒が過ぎる。新しいダンジョンの階層で何か新しい食材が出てきたらそれを使って料理にする、というのも悪くはないかもしれない。


 うむ……ニンニクがピリッとしていい。味噌の甘い味付けでニンニクの角が取れた感じになっていい感じの香りと食感になっている。そのまま米を一口。そしてまた味噌炒めを一口、そしてご飯も一口。交互に食べていくことで中々の味わいに仕上げることが出来ている。


 オーク肉がニンニクと合わさって絶妙な味加減をしてくれているのもあるが、野菜にも味噌がしっかり絡まって非常に美味しい。肉を先にしっかり焼いて、その出てきた脂でしっかりと短時間高火力で焼いたおかげで熱は通っているが食感が生であるところはほとんどなく、シャキシャキという食感が楽しい。


 しかし、そろそろ新しいレシピを考案して……というのは難しくなってきた。既存の肉レシピで、変わりにオーク肉を使う、という形で使いまわしていく段階になりつつある。


 新しい食材があるからといって、常に新しいレシピが出来上がるわけではないし、代替品として利用できるならその範囲で食事を改良しようとするのが世の常なら、オーク肉はおそらく豚肉の代替か、高級豚肉の路線で扱われているのだろう。


 高級豚肉と言えば中華をパッと思い付くので、そのうち中華料理でなにか一品作って楽しみを増やしていくのもいい。角煮級に手間暇がかかる豚肉料理というものを調べて、時間のある夏休みの間にいっちょ作ってみるか。


 肉塊でも一枚肉でも在庫がある今なら、どんな料理の方向性にも対応できる。後で手間がかかって美味しい豚肉料理を、自分でできそうな範囲で調べてみて作るのも悪くないだろう。


 最悪この間の角煮をまた作るでもいいしな。あれは最高にうまかった。アカネがあれ一食で成長するのも納得のうまさだった。考えてたらもう一度食べたくなってきたな。明日にでも簡易化したものでも作ろうかな。


 食事を終えて片付けて、風呂に入ってのんびりとする。ここのところ色々あったが、人生というものを振り返る機会が与えられるのだとしたら、間違いなくここ数ヵ月は詳細に語るべき出来事になるだろう。


 小学校の頃に半ばいたずらで作ったお地蔵さんの祠。そのお地蔵さんがお礼をするためにわざわざ自宅へやってきたというのはファンタジーではあるものの立派なことをしでかした過去の俺への慰めであるだろう。


 そこから俺専用のダンジョンができて、しかもレベルが簡単に上がる。レベルが上がった分だけ実生活にまで影響を及ぼすようになって……その力で学力と体力と、その他一杯の影響を得ることができた。


 財布の中身にも余裕ができるようになり、必ず魔石をドロップするというダンジョンの環境は俺にとっても非常に都合がいいことになった。


 換金のための目隠しこそ必要なものの、それさえクリアしてしまえばいくらでも金を手に入れることができる。今日の夕食もそうだが、食事にも困らなくなった。毎食塩パスタではなくなったというのはかなり大きなところだ。


 そのお陰で探索者になり、装備を揃えて潜って、学校に出来上がったインスタンスダンジョンも無事に開放することができた。目立つ結果にはなったがあれはあれでそこそこの収入と経験になった。


 そのお陰で幾人かの人に影響を与え、その中の一人である彩花と仲良くなり、色々あった結果彼氏彼女という関係にまでなることができた。これもお地蔵様の結んだ縁と行き先、ということになるんだろう。


 この先いつまで続くかわからない縁ではあるが、高校最後の年にできた縁であり、もしかしたらこの先大学へ入っても続くかもしれない縁である以上、大事にしていきたいもんだな。


 それに、まだ正式な恋人の儀式というものをまだ行ってない。今恋人の儀式を始めたら、入試どころではないぐらいにはまってしまいそうな俺の尻の軽さが目に見えてしまっている。ここはグッと我慢だ。


 それ以外は……まあ、どこでも自由に大学の行く先を選べるようになるまで己を磨き続けるのも面白いかもしれないな。探求心が勝っているうちは物事に集中できる。


 どこまで俺は学力を高めていくことができるのか。これはなかなか面白い命題かもしれない。


 さすがに医学部は目指さないし医者になるつもりもないが、それだけの学力が担保できるならばきっとどんな大学にでも入学することはできるだろう。


 俺の目指すダンジョン学部にはどんな学生たちが集まるのか。マジモンのフィールドワークメインの学生が集まるのか、それとも座学がメインでフィールドワークは行きたいものだけが行くような学部になるのか。


 それを決めるのも俺たち次第かもしれないと考えると、とても胸が高鳴る。俺たちの一挙一動でこの学部の行く先や方向性まで決まってしまうのかと思うと、心配するところもあるが、逆に言えば俺たちでそれらを全て決めてしまうこともできるということになる。


 カリキュラムはきちんと用意されているのだろうが、それとは別の自由行動や授業の一環としての探索が行われる場合、どこまでのレベルを保持していくことができるのかという点についても同じく疑問の余地が残る。大学卒業までに一定のダンジョンへの階層踏破が行われていないと単位が降りないとかは充分考えられる。


 これも今度行われる大学のオープンキャンパスで、ある程度わかるようになるんじゃないだろうか。楽しみだな。


 ちなみにスキルスクロールは【精力絶倫】が一枚、【威圧】が二枚だった。【精力絶倫】はおいといて、【威圧】のほうは二枚とも覚えたのでこれでレベル3ということになる。どこまで効果が高まっているのか、次回が楽しみではある。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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