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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第120話:キノコ鍋再び~シャドウウルフとの初顔合わせ~

 荷物整理を終えたところで九層に入り、またジメッとした空気に覆われる。本来なら土で覆われたダンジョンでもあり、じめじめしているのが普通と言えば普通なのだが、ダンジョン内では結構カラッとした空気をもたらしてくれている階層のほうが多い。本来の洞窟型のダンジョン、というイメージについては、この九層が一番それに近いのじゃなかろうか。


 出てくるモンスターもキノコだし、その辺に生えてそうだ、というところからも想像がつく。問題はこの階層のドロップである所のキノコか。結構大量にドロップするので、カバンの中が大量のキノコで埋め尽くされるのは想像に難くない。


 そもそも、ドロップ率十倍であるというこのダンジョンで、比較的でやすいドロップであるキノコが出ないはずがないのだ。むしろ毎回出たって不思議はないぐらいだ。


 考えていると早速ファーストキノコとの鉢合わせ。急いで彩花にマスクを渡して戦闘準備。今回は厄介な緑の斑点や傘を持っているマイコニドではないので安心だが、緑のマイコニドだったら間に合わなかったかもしれないな。


 赤の傘に青い斑点を持つマイコニドがこちらに駆けつけてくる。頭をぐにょりと押さえて胞子をまき散らしながら、短い両手を振り回してこちらに殴り掛かってくる様は可愛いものがあるが、こちらとしては呼吸や皮膚付着で問題になる胞子を早めに吹き飛ばすためにさっさとマイコニド君には八つ裂きになってもらう。


 武器の長さの差もあるし、動きの素早さではこちらに分があるのは明らかなので、マイコニド君もそれほど敵にはならない。むしろ、キノコ狩りの男として毎日キノコ狩りを楽しみたいなら何の問題もなく通えるぐらいにはこっちも成長している。この調子なら十層のボスも意外と楽に行けるかもしれないな。


 マイコニド君が黒い霧になって消え、後には当然のようにキノコ。魔石はなかったがキノコはあるらしい。せっかくなら両方欲しいところだが、荷物を考えるとキノコのほうが優先度は上か。今夜の食事もまたキノコ尽くしだな。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 新しいマイコニド君を探しながら地図を描きつつ次の方角へ進む。しばらく地図作りに集中できるようにと、彩花が前に率先的に出て戦ってくれるようなので、こっちはエネルギーボルトで支援しつつ彩花の戦闘を見守りながら地図を描く作業に邁進している。


 しかし、マイコニドはほぼ確定でキノコをくれるな。一回当たりの量はそれほど多くはないから良いとして、キノコ専用バッグを持ってきてよかったと思うぐらいのドロップは確保できている。


「これはまた今夜はキノコ鍋かな。味噌仕立てにして美味しく頂いてしまおう」


「私も半分持って帰らなきゃいけないのよね……でも、この間のキノコ鍋は好評だったからまたキノコ貰ってきちゃったってことにしておけば問題はないわよね」


「流石に一人で食べきれる量で収まりそうにないからな。減らすのを手伝ってくれるのは嬉しい。ついでに肉も出たから肉も持って帰ってもらえるし。肉が落ちてくれたのはかえってよかったかな。キノコだけ持たせて帰すよりも肉もセットで是非鍋にしてください、という感じのほうが渡し甲斐がある」


「じゃあ、今日もオーク肉を一枚貰って帰るわね。残りの何枚かは幹也が自分で食べるだろうし、冷凍食品も置いてくからしばらくは自分で色々お弁当の使い方に悩んでみてくれればいいわ」


「さて、そのためにも九層と十層は抜けておかないとな。九層の終わりはまだかなっと」


 八層から九層に進み、天井は低く、そして湿度が高くなったため少々不快指数が高い。そんな中でうろちょろするのはそんなに長くないほうが体も気持ちも楽なのは間違いない。十字路を一旦地図上に描いてそれぞれの道を真っ直ぐ行き、行き止まりなら戻ってそこにバツを書いて行き止まりの表示にしておき、新しい道に進む。


 それを繰り返しながらしばらく進むと、ちょっとした広間の先に石造りでできた通路の入り口が見え始めた。そして、その手前には緑の傘と赤い斑点を持つマイコニドと、その逆の赤い傘と緑の斑点を持つマイコニドが居た。どっちも危険かつアクティブだ。そして緑を持つマイコニドの毒は非常に強力で、吸い込むだけでもかなりの苦痛を伴う。


「一気に行くか。倒すまで呼吸を止めるつもりで行こう」


「わかったわ。あれで最後らしいし、シメには丁度いい感じよね」


 彩花と二人飛び出して、呼吸を止めたままダッシュする。こっちのダッシュに対応しきれないマイコニドがそのまま切断され、黒い霧となって飛び散る。彩花の方も気づかれても対応される前に剣先がマイコニドをとらえ、そのまま傘を切り取るようにスパッと切断していった。マイコニドはそれで黒い霧になったため、傘が本体か軸が本体か、ということは考えなくても済むようになっていることは解った。


 そのまましばらくしてから大きく深呼吸。黒い霧に変わった時点で切断の際に飛び散ったはずの胞子も消滅しているはずだが、あえて時間を置いてから深呼吸をすることで残心のような行動になった。


「さあ、お待ちかねの十層だ。ワープポータルで一回帰って、そこで休んでから再度戻ってこよう。荷物も置いてから来たいしな」


「そうね、手荷物一杯でボス戦なんてやってられないものね」


 まずはワープポータルを探さないとな。それに、十層ではまだ戦ったことのないシャドウウルフとの一戦もある。両方こなして十層到着と行きたいところだ。


 しばらく歩くと、カツ……カツ……と【聞き耳】で聞こえる小さな足音がする。まるで爪が地面に当たっているかのような音だ。


「シャドウウルフが近くにいる。足音が聞こえた」


「私は聞こえなかったけど……【聞き耳】の効果かしらね」


「多分な。周りに注意しながら進もう」


 そのままカツ……カツ……と音は聞こえるものの、まだ姿は見えない。しかし、音の方向は解る。次の曲がり角を曲がった先あたりで接敵する可能性大だ。


 ダッシュで曲がり角を走り抜けて、相手より先にこっちが相手の動きを見定める。ちょうど曲がり角の先で待ってたような形になったシャドウウルフは、俺の姿を見て一瞬たじろぐも、すぐに戦闘態勢に入り、こっちに向かって飛びかかってきた。


 俺の山賊刀とシャドウウルフの爪が交差し、硬さが互角であることを告げてくる。それと同時に、シャドウウルフの体が思ってたより大きいことに気づく。もうちょっと小さめの成犬サイズだと思っていたが、大型犬ぐらいの大きさはある。これはちょっと予想外だな。


「思ってたより大きいわね」


 彩花も同意見だったらしい。もうちょっとかわいい感じのモンスターを予想してたんだがな。さすがにそういうわけにもいかないらしく、十層ですよここ、何寝ぼけてるんですか? というような返事を返されたような気がする。


 シャドウウルフはその灰色の毛にたがわぬ視認性の悪さで、明かりの影に入ってしまえば見落としかねない。そのため、影が多いような場所ではよく見逃さないように見続ける必要がある……とインターネットで見た。


 ここは影もないし明かりも充分ある場所なので見逃すことはないが、目を離したすきに攻撃される可能性はあるのでしっかり見張っておこう。


 警戒しながらシャドウウルフに向き直る。シャドウウルフは低く唸り、こちらへの威嚇をやめようとはしない。いつだ、いつ襲ってくる。もしくは、こちらから戦闘を仕掛けに行くか?


 しばらくしてからタイミングを見計らったかのようにシャドウウルフが噛みつくために飛び付いてきた。


 噛みつきを避けると、空中で体を捻り姿勢を変えて、今度は爪による攻撃に切り替えてきた。それも落ち着いて爪を受け止め、受け止めた衝撃をそのまま山賊刀ごと押し返して奥へ追いやる。うまく着地を決めたシャドウウルフに追い打ちをかけるように俺の方から今度は飛びかかり、斬りに行く。


 どこでもいいから当たってくれよ、と【剣術】スキルの指示するガイドラインに乗せて効果的なダメージが得られそうな太刀筋を描き、そのままシャドウウルフの前足を一本切り落とす。


 攻撃手段であり防御手段でもある足を一本落とされたシャドウウルフだが、それで逃げたりはせずにこっちがほっとするのを見透かしたように、そのまま逆に攻撃を仕掛けてくる。シャドウウルフは自分のダメージもなりふり構わず相手を倒すことを優先する勇猛な狼であることは間違いない。


 その戦闘意欲に敬意を表して正面から戦おう。もう一度シャドウウルフと切り結び、シャドウウルフの眼前から、顎から切り刻むような姿勢で山賊刀を振る。【剣術】が最適な軌道と威力を補助してくれ、【体捌き】が可能な限りスムーズな体重移動をサポートしてくれ、最速の剣撃でもってシャドウウルフの口から喉までを切り裂く。


 もしも切り込みを入れる途中で歯で咥えられて剣を止められていたら今度はこっちがダメージを受ける番だったかもしれない。そうならなかったのは俺のレベルの高さと【剣術】【体捌き】のサポートあってのことだ。自信はあったので問題なし、と。


「どう? 私でも勝てそう? もしくは危ない感じ? 」


「今の彩花なら大丈夫だと思う。レベル差を武器にしてそのまま全力で切りに行けば問題ないんじゃないかな。ちょっと初戦闘ということで色々試してみたいことがあったからあえて時間をかけたけど、そこまで強いというわけでもないことはわかったから次からはもっと手早く倒すことになると思う」


「そう、なら問題なさそうね。さあ次へ行きましょ。早くワープポータル探さないと帰りも遅くなっちゃうし、ゆっくり休憩する時間もなくなっちゃうわ」


 彩花が次へと行くのを急かす。気持ちはわかるが、むやみにうろついてもワープポータルが現れるわけじゃないからな。まずは……ボス部屋から探すとするか。アカネのことだし、目の前にあったほうが色々と好都合でしょう? とか言いつつ、ボス部屋の前にワープポータルを設置してくれているかもしれない。


 となると、封鎖されたような感じの広めの部屋を探すのが良さそうだな。そんな所は果たしてあるのか。まずはシャドウウルフに戦い慣れながら、それを探しに行くことにしよう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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