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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第118話:中間点

 五層から六層に抜ける。駅前ダンジョンなら五層のボス部屋前で休憩、というのが正しい順路だろうが、このダンジョンのボス部屋は三層にあるし、他の探索者が居ないので休憩所を設けようとしても難しい。


 もっと地域に根付いたアットホームな雰囲気のダンジョンで利用者も多ければその限りではないのだろうけど、今の所は俺と彩花専用だ。だから二人で決めた場所が休憩所。今回の休憩所は六層と七層の切れ目あたりになりそうだ。


 そのまま五層を抜けて六層方面へ向かう。レッサートレントの湧き具合はいつも通り数分に一匹ペースで時々二匹出てくるが、彩花もレベルが上がり【剣術】と【体捌き】の影響で、スムーズな体重移動や剣の振り具合や体重の乗せ方なんかが本人の攻撃力というものに補正をかけてくれていることもあり、スムーズにレッサートレントを倒している。


 苦戦する心配はしなくて良さそうだ。安心して探索できるというのは実にいい。と、ドロップだ、樹液か。これもまた魔石箱に入れて、そのうち換金に行かないといけないな。今日あたり時間が余ったら駅前ダンジョンに武装したまま出かけて、換金の流れにしておくかな。


 五層を抜けて六層へ。五層と六層に空気的な違いはほとんどない。どちらも洞窟的なマップで壁には一面のヒカリゴケ。明かりは必要なく、壁一面が光ってくれているので相変わらず明かりを手にするための片手が不要という親切設計だ。


 この謎の光る苔が間接照明のように周囲を照らしてくれるお陰でモンスターが現れるのが見えるし、両手を開けて探索に勤しむことができる。


 そしてモンスターもレッサートレントから色んなスケルトンたちにチェンジする。ただ、駅前ダンジョンと違ってここのスケルトンはある程度ランダムに配置されていて、どっちに行っても同じスケルトンが出る、という意味では分かりやすく、そして狙って倒しづらいと言えるだろう。


「ここは七層までの道でも弓矢スケルトンとか雷スケルトンが出るからな、注意していこう」


「駅前ダンジョンだと七層までの道には出ないのに、こっちは勝手が違うのね」


「住み分けが出来ていないといえばそうだが、どうせ全部倒すモンスターだし、どれをどれだけ倒しても同じという意味では……雷だ、来るぞ」


 雷スケルトンを見つけて即座にエネルギーボルトを発射して、雷スケルトンの注意力を逸らす。その間に駆けつけて雷スケルトンの核を的確に山賊刀で撃ち抜いて、雷スケルトンを倒す。ドロップは魔石のみ。こいつはエネルギーボルトしか出さない分スキルスクロールが出やすいらしいのだ。


 道理で、一日二時間ほど潜っただけで三枚もくれたわけだ。これからもエネルギーボルトを鍛えたくなったらここまで頑張ってくることにしよう。ただ、十層から来ても一層から来ても大した距離が変わらないという点では倒しにくいモンスターではあるのだけれど。


 スケルトンを交互に相手にしつつ、二匹のところはそれぞれ一対一で戦って、彩花のレベルアップが確認される。これで彩花はレベル10かな。


 まだレベル差は4つほどあるが、そのうち埋まっていくのか、俺がソロで潜っていく分更に離れていくのかは解らないが、レベルが1のままの一般探索者に比べれば速度も腕力もそして耐久力も、かなりの差がついているに違いない。


 続いてデブスケルトンが出てきたので彩花が対応する。デブスケルトンの槌を剣で受け止めて重量部分を逸らし、デブスケルトンをよろつかせたところで一発で核を割り、そのまま倒す。ドロップは魔石と……何かのスキルスクロールだ。


「何か出たわよ」


「【槌術】か【体捌き】のどちらかだと思う。【体捌き】なら自分たちで使って、【槌術】ならギルドに売却かな」


「その様子だと、あんまり人気のあるスクロールでは無さそうね」


「まあ、ハンマーとか使ってる探索者がそんなにいないことを考えたらね。でも、ゼロ円ではないだけ随分マシかな」


 彩花からスクロールを受け取ると、バッグにしまい込む。もう一枚ぐらい出そうな雰囲気だが、さてどうなるだろうな。六層から七層へ抜ける道は地図に描き込んであるので、迷う心配はない。ただ、出会うスケルトンの回数がちょっと多めかな? というぐらいだ。


 デブ、ガリ、雷、ガリ、デブ、ガリ、弓矢、ガリ、ガリ、デブ、と法則性がない感じで次々に出会っていく。おそらく、二匹同時に出てくるならその時こそ六層から七層へ通じる道ではなく、もっと離れた場所になるんだろう。


 そして一番出会う回数が多いガリスケルトンがまたスクロールをくれた。【剣術】か【体捌き】か……もしかしたら【盾術】という可能性もあるか。どれにしても、ガリスケルトンのくれるスキルに外れはない。


 どのスキルにしても必ず誰かに影響のあるいいスキルをドロップしてくれるのは良いところだ。盾術が出たら隆介に一万円ぐらいで売りつけよう。案外喜んで買うかもしれない。


 そして、その後の雷スケルトンがまたスキルスクロールをくれる。これは……パッと見てすぐわかるようなものでもないが、また【エネルギーボルト】である可能性が非常に高い。


「これも【エネルギーボルト】なのかしら? 」


「今の所雷スケルトンからは【エネルギーボルト】しか出たことがないからその可能性は高い。ただ、知らないスキルの可能性もあるし、それを覚えてから確認することはできないだろうし、知らないスキルだと怖いからちゃんと持ち帰って調べてから覚えようと思う」


「それがいいかもね。急ぎで覚えないといけない理由はないし。さあ、七層へ急ぎましょ。今日の目的はスクロール集めじゃなかったはずだわ」


「そうだな。ただ、そう思ってるからスキルスクロールが出てきてくれたのかもしれない、という発想をすることもできるから、その点は感謝かな」


 そのまま七層の入り口付近にまでたどり着き、少しじんわりとした暑さの感じとれる道から少し離れて、涼しいままのところで昼食にする。ここで中間地点、ということにしておこう。


 さっき二人で作った……実質的には彩花に作ってもらって俺は冷凍食品を温めただけだが、色とりどりで美味しそうなお弁当がバッグの中で待ってくれていた。


 早速茶色い物から食べていく。最近は冷凍の唐揚げも美味しい。自分で作ったオーク肉の唐揚げとは肉そのものが違うので比べることはできないが、結構良い肉を使っているような気がする。


 肉の食感で、若鶏を本当に使っているのか、定義上の若鶏ではあるが老鶏にギリギリ入るような物なのかの違いでいえば、断然若鶏を使っていると言えるんじゃないかな。


 唐揚げ一つとってもメーカーや品質、シリーズものの種類でお値段はそれぞれ違うんだろうが、今日の鶏の唐揚げは充分温めるだけで美味しいと言える範囲の具材であると言える。


 これなら毎日一個ずつだけでも入ってても文句が言えない商品だな。なかなか美味しかった。また機会があれば食べよう。


 後は、半分に切った春巻。一本だと長すぎるので、半分に切った後で温めたものだが、これもまた美味しい。中までしっかり具材が入っていて、皮だけでもなく、そして皮もしっかりまだパリッとしている。きっと、お弁当として入れられて時間が経ったとしてもパリッと仕上がるように作られているんだろう。


 コロッケもイモがほくほくしているし、よく見ないとわからないというラインを大幅に超えて肉も入っている。最近のコロッケは贅沢なんだな。お肉屋さんのコロッケでもないのに気軽に肉が入っているとは。


 後はホウレン草のバターソテー。これのバターが弁当箱全体に味と香りをまぶしてくれているおかげで、ほんのり味気ないはずのお弁当が一段階高まっているように感じ取れる。


 後は、彩花が作ってくれた卵焼きと人参しりしりをいただく。さっきのほうれん草のおかげでバター風味になってしまってはいるが、それも含めての美味しさだと考えるとかなり美味しいと言えるだろう。


 特に人参しりしりだ。沖縄の郷土料理らしいが、人参を皮むき器で薄くスライスしてそれを炒めて卵やコンビーフ、大根なんかでも代用したりするらしいが、今回はオーソドックスに卵とニンジンを麺つゆと砂糖で甘辛く炒めた一品だ。これはご飯のお供として中々に優秀。どんどんご飯が進んでいくな。


 彩花がこっちをちらりと見るが、俺が一生懸命食べている姿を見て、ふぅ、とため息を一つつくと、自分もしっかりと食べ始めた。もしかして、一つ一つ感想が欲しかったのかな。それとも、人参しりしりについて感想を聞きたかったのかな。どっちなんだろう。


「どれも美味しいぞ。特に人参しりしりが良いな。これだけでもご飯が全部食べられそうだ」


「それは何よりね。わざわざ作りに来た甲斐があったわ」


 どうやら、正解を引いたらしい。彩花がニコニコして「よしよし……」とつぶやき始めた。つぶやきのほうは聞こえなかったことにしておこう。


 しかし、こういう弁当も悪くない。パスタだけの弁当でも腹は膨れるが、色々おかずがあるおかげで心まで満腹になれそうな気がしてくる。これはこれでありなのかもな。


「うん、ちょっと弁当にも工夫をこらそうという気分になってきた。今後はパスタ以外の弁当も考慮しておくかな」


「それがいいわ。私も栄養の心配しなくて済むし……ああ、でも時々こっそりお弁当を差し入れする口実が無くなるからそれはそれでちょっと寂しいわね」


 自分で作った人参しりしりを食べながら、それも嬉しそうに弁当を食べている彩花を横目に見て、俺も嬉しそうに食べ続ける。


 こういったまともな弁当らしい弁当を作って食べているのはいつぶりだろうか。


 もう長い間味わってない気がするな。両親が事故で死んでから数年たつが、それ以来……ということにはなるのか。


 ちょっとしんみりしてしまう場面だが、気にせずに弁当を食べ続けることで懐かしさや寂しさは吹き飛ばしていこう。


 少なくとも、今は彩花が側にいてくれるからな。その間は寂しさを感じずにすみそうだ。


 さて、ご飯を食べ終えて、少し食休みをしたら探索再開だ。今からが一番忙しい時間になるだろうから気合いをいれていかないとな。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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