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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第108話:マイコニドと十層到着

 九層に入りしばらく歩くと、目の前をキノコが横切っていく。これがマイコニドか。黄色い傘に青い斑点がついて、長い胴体に手足が付いている。キノコ人間、という感じのモンスターでこれほどイメージにピッタリのモンスターはそうそういないかもしれない。


 ただ、ノンアクティブ……つまり、このマイコニドはこちらから襲い掛からない限り戦闘には入らないマイコニドらしい。他のマイコニドも同じなのか、この色のマイコニドだけが襲ってこないのか……それを調べるためにも、傘のベースの色と傘についている斑点の色で見分けていくことにした。


 もしかしたら他のキノコと戦ってる際は援軍に駆けつけてくるとか、そういう可能性もある。一匹だからと油断せずに他にキノコが居ないか確認してから殴ることにしよう。


「あれ、まずは殴ってみるか」


「気を付けろよ、胞子とか撒き散らすかもしれないし、呼吸困難になるかもしれん」


「そう思って、念のためマスクは用意してきた。気休めの不織布マスクだが、無いよりはマシだろう」


 マスクを装着し、素通りしてそのままどこかへ行こうとするマイコニドに一撃加える。マイコニドは殴られた部分から胞子を撒き散らし、こちらに向き直ってさらに頭の傘から胞子を撒き散らす。マスクで直接吸い込むことは防いでいるものの、あんまり長い間浴び続けているのも危険だろう。


 早めの処理を心がけて、素早めにマイコニドを倒していく。実際問題として、マイコニドの胞子には見た目で見分けがつけられるようないくつかの状態異常を付与する胞子を吹き出してくるらしい。


 倒せばもとに戻るらしいが、倒すまでに時間をかけすぎるとその分だけ体力を奪われたり精神力を浪費したり、場合によっては痺れて動けなくなったりするようだ。


 このマイコニドの色合いの場合どうすればいいのか、というところまではさすがに学んでこなかったし、九層でひたすらキノコと魔石を集めるつもりもないので、何かの折には覚えておくとしようかな。


 マイコニドにもう一度斬りかかり、完全にマイコニドを切断すると、まわりに飛んでいる胞子も含めてまとめてマイコニドは黒い霧になって消えた。どうやら、胞子だけ残ってそのまま毒を喰らってそのままゆっくりと状態異常が直るまで我慢……といった形にはならないらしい。


「ふぅ、胞子も消えるなら心配はしなくていいな。あくまでキノコの胞子の効果が出てくるのは戦闘中だけ、ということになるのか」


「そうなると短期決戦になるな。攻撃してくる手段が胞子だけとなるとお肌を傷つけられる心配はないが、胞子の中身が即効性のある神経毒だった場合は問題か。攻撃している間に息を止めるなりマスクをつけるなりしてその時間を稼ぐことが出来ればいいか」


 バッグの中からマスクをもう二つ取り出して、隆介と彩花に渡す。俺は準備がいい男なのだ。


「そんなこともあろうかと、気休めの不織布マスクを人数分用意しておいた。装着して数秒でも時間を稼いでその間に倒せれば十分だろう」


「そこまで考えて持ってきていたとは恐れ入る。有り難く使わせてもらうことにしよう」


「私も。ありがとう幹也」


 二人ともそのままマスクを受け取ると、装着してマイコニド対策は完ぺきとは言わないが、ないよりマシになったとは言えるだろう。そのまま十層方面へ向かい、すれ違ったり時には向こうから攻撃してきたりと、模様によってどうやらパターンも違うらしいマイコニドシリーズを倒していく。


 基本的には胞子をまき散らして、ついでに可愛いおててで殴ってくるというのは共通らしいが、どうやら模様によって襲ってくるか来ないかは決まっている様子。


 赤い斑点か赤い傘をもつマイコニドはこっちを見たらすぐに襲ってくる。青い斑点か青い傘を持ってるマイコニドはこっちから攻撃するまでは襲ってこない。どっちでもないマイコニドは気分で襲ってくるので、実質赤と同じ。


 あとは緑色の斑点と傘を持つマイコニドも居たが、こいつは襲い掛かっては来なかったが、胞子を吸い込むと一気に呼吸困難になるほど胞子の毒性が強いことも解った。隆介が吸い込んで一気に力尽きて倒れていくのを見て、後ろからすぐに応援で駆けつけなければちょっと危なかったかもしれない。


 倒せば胞子も消えるので、隆介の呼吸困難も緑マイコニドを倒したら元に戻ったのだが、あの崩れかかりっぷりは中々危ういものがあったと言えるだろう。


「ごほっ、ごほっ……ふぅ、緑は危険だな。一気に呼吸が出来なくなった。まるで肺の中で風船が広がって押し潰されそうな感じだった」


「胞子が一斉に広がって肺胞を包み込んで酸素交換を出来なくするとかそんな感じなんだろうか。とにかく、今の所緑が一番危険でできるだけ呼吸しないようにして倒さないといけないということはわかった」


 緑のマイコニドは出現数もそんなに多くはないので一番危険なモンスターとして警戒はしておくとして、それ以外の色のマイコニドは大体攻略パターンを掴んだ。


 マイコニドの色分けのパターンを見分けられるようになったころ、マイコニドが同時に三体出てくるようになったが、その間にキノコ慣れした三人の敵ではなく、そのままマイコニドは黒い霧になり散っていく。


 マイコニドを蹴散らす度に増えていく魔石と、そして様々なキノコ。キノコは全部食用らしいので後で食べてみて感想を言おうとは思うが、中々の量のキノコが集まった。今日の夕食はしょうゆベースで味付けされた鍋の素にキノコをふんだんに入れて、そのまま味わう文字通りのキノコ鍋になりそうだ。豆腐ともやしぐらいは足した方がいいだろうな。


「うむ、一人で食い切れる気がしない。キノコも分担して食べよう」


「まあ、ダンジョン管理側がお墨付きで食べても体に影響はないって言ってることだし、食べることに問題はないんだが、キノコばっかり集めてきて肉は? と言われそうではあるな」


「今日はオーク肉が出なかったからな。俺も家に帰れば少しはあるが、メインがキノコであることに変わりはなさそうだ」


「そういえば、マイコニドの傘の種類で落ちるキノコの種類も変わるのかしら? さすがにそこまで見てなかったわね」


「狙いの食材を手に入れるためにはマイコニドの選定から始めないといけないのか……面倒くさいといえばそうだが、実際のところはどうなんだろう。これも帰ったら調べてみるか。誰か調査ぐらいはしてるだろう」


 どのマイコニドを倒せばどんな食材がドロップするのか、もしくは完全にランダムなのか。どちらにせよ倒せばキノコか魔石か両方かが落ちる九層のドロップ品の内、キノコはギルドで換金してくれないんだよな。魔石は換金してくれるがキノコのほうは換金が難しいとして受け取りNGになっている。


 おそらくは市場に出し直す手間と採取されてくる量と需要をうまくつり合わせることが出来ないからだとは思うが、それにしても嵩張るな……いい加減十層はまだか。ここまでの荷物が増えるとさすがに動くにも邪魔になり始めるぞ。


 今日の荷物は大量の魔石とキノコ。キノコは買い取りNGなので自分で食べるか捨てるかするしかないが、我々は食にうるさい日本人である。食べられる物を捨てるなんてそんな冒涜的なことはできない。


 よって、背中のバッグに背負われているキノコは全て残らず頂くつもりだ。何日かかるかまでは解らないが、確実に消費はする。何、バターキノコパスタがちょっと数日長めに続くだけだ。後は夕飯の鍋の具材にしてしまえば消費はそれほど難しくないし、三人で分ければそれなりの量で済むはずだ。


 そうしてマイコニドを倒していると、またキノコがポロリ。流石に嫌になってきたな。十層を歩き通してワープポータルにたどり着くのが先か、バッグの中がキノコで埋まるのが先か。これはなかなか厳しい戦いになってきた。


 そう考えだしてから歩き始めて十五分後ぐらいに、九層が終わり十層の雰囲気を醸し出してきた。マップが突然石造りのダンジョンに切り替わり、ランプめいた装飾品により道や部屋が照らされている。


 マイコニドもブラッドバットビッグバットが階層を跨いで深くへ潜れなかったのと同じように、九層から十層に下りることはできない様子で、何もない壁に向かって体当たりを繰り返している。とりあえず楽にしてやろう。キノコをきっちり落としていった。


 最後のマイコニドを倒して十層に入り、ついに目的であるワープポータルまで歩けばたどり着ける、というところになった。そしてここからは探索者も多く、モンスターが湧いたらすぐに対応する探索者がちらほらと見えてくるおかげで比較的スムーズに通り抜けられている。


 ただ、モンスターとの戦闘経験という意味では経験値を得られていないのがちょっと残念な所だが、とりあえず今日の目的であるポータルへの移動を優先して、次回は十層からスタートしていきなりシャドウウルフとの戦闘から始まるのも悪くないだろう。


 とりあえず、あと数分歩くだけで目的地であるワープポータルにはたどり着くのだから、それまでは我慢しよう。今戦闘を仕掛けなければならない理由、というものは特にない。なら、ワープポータルへたどり着くのを優先していっても問題はないだろう。


 でも戦ってはみたいんだよな、シャドウウルフ。どういうところがシャドウなのかも気になるし、他の探索者が戦っているところを参考にするでも良いから戦うだけ戦っておきたかったな。


 地図に沿ってワープポータルへとたどり着くと、そこには二十層行きの下向きのワープポータルと、一層行きの上向きのワープポータルの二つが設置されている。行く方向を間違えてもそもそも自分たちは二十層へ行ったことがないのだから間違えようはないし、二十層のほうへ行っても飛ばされる心配はない。


 どういう仕組みなのかは鋭意研究中らしいが、ダンジョンに最初からついてる仕組みの一つらしいワープポータルという移動設備によって、階層間の移動が非常に楽にできることはたしか。ここは一つ、アカネが知ってるらしいダンジョンを作った人に感謝だな。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
口がキノコ鍋になって来た〜 キノコとブタ肉と豆腐を買いに行くか〜
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