表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/122

第104話:彩花と二人で

 夏休み中も午前中は勉強、と決めてはいるが、時々はしない日もある。朝から彩花が来て、専用ダンジョンに潜る日なんかがそれにあたる。彩花もこの日は楽しみにしているようで、たまに食材なんかを持ってきて、キッチンで一緒に料理をしてお昼の弁当を作ってから中に入り込んだりもする。


 おかげで、レベルはお互いに2ずつ上がった。これで俺のレベルが13、彩花のレベルが9になっているはずだ。彩花のほうがレベルアップまでの必要経験値が少ないわりに追いつかれないのは、俺がソロで時々オークを狩っているからだろう。


 今日もお弁当を作ってから潜ることにする。こういう日は早めに帰れば夏休みの課題と復習に時間を使えるためお互いの学力向上にも時間を使えることになり、より効率的に勉強もできる。


 彩花としては勉強をしてくる、という言い訳でこちらに来ているらしく、彼氏の部屋に遊びに来ているとは言ってないらしい。が、まあ親の目線からすればバレてるんだろうな……という気はしている。もっとも、部屋の中で完結しているため遊び歩いていたりフラフラしているよりはよほど健全な生活を送っているとは言えるため、その辺の心配はしなくていいとは思う。


 今日は食材を抱えて部屋に来たため、やることは弁当作りと探索ということになる。時々こうやって食事を作りに来てくれているのだ。別にいつも通りパスタとパスタソースで良いとは思うのだが、彩花としてはもうちょっとまともなものを食べてほしいと思っているらしい。パスタソースとパスタの組み合わせだって、美味しく栄養が取れるように考え出された栄養学の塊のようなものだとは思うのだが……


「とりあえず、野菜はちゃんと取ってるようだし、お肉もオーク肉がある……材料で足りなさそうなのは生野菜とビタミンB群かしらね。ビタミンCはちゃんと取ってるの? 」

「時々コンビニでビタミン飲料を買ってるからそれで補ってるかな。去年までに比べれば格段に栄養は取ってると言っても過言ではないぞ」


 頭の中で想像してみたらしく、じゃあ栄養は取れてるみたいね、と納得する彩花。


「じゃあ、一般的な女子高生が作る一般的な昼食というものをお目にかけるとしましょう」


 エプロンをつけた彩花が腰に手を当てながら、俺にズビシっと指をさして宣言する。


「わー、うれしいなー」


「むぅ、あんまり気持ちがこもってない」


「そんなことはないぞ、おかげで食費が一回分浮いてるし、自分で作る手間も省けている。手伝いが必要なら何時でも言ってくれ。その間に部屋の片づけとか復習とかしてるから」


「解ったわ。楽しみにしてなさいよ」


 彩花がキッチンで色々やってくれているうちにこっちも後腐れがないようにちょっとだけ残っていた問題集を片付けて、それから手伝うようにしよう。流石に完全に任せっきりなのは悪いからな。


 二、三問数学の問題を解いて、キッチンに戻ってくると、数品の食事とそれぞれに用意された弁当箱にご飯が詰め込まれていた。彩りも良く美味しそうだ。特にブロッコリーがいい色ツヤをしていて美味しそうに見える。その隣のミニハンバーグも、流石に出来合いものだろうが色の対比が素晴らしい。


 そして黄色い卵焼きと赤いミニトマト。基本を押さえた良い弁当だ。後は量だが、ちゃんと自分の分と俺の分とで弁当箱の大きさを分けてくれている。どっちでも好きな方を選べる、というわけではないらしい。自分の食べる分はさておき、俺の分は不足が無いように大きめに作ってくれてあるようだ。


「おー、鮮やかー」


「まあね。少々野菜は足りないけど、お昼ご飯としては中々でしょう? 」


「今からでも食べていきたいぐらいだな。さて、今日はどこまで潜り込む? 」


 お弁当の心配がなくなったところで、今日の潜り込み具合を確認する。今日は何処まで行くのだろう?


「今日は引き続きレッサートレントに行きたいわね。この間の樹液が評判が良かったから、また取ってきてって言われてるのよ」


「それは……ちょっと問題だな。ダンジョンに潜ってきたわけでもないのに樹液だけ渡す、というのも中々に難しい話だ」


「言われてみればそうよね。どうやって言い訳しようかしら? 」


 菜箸で顎を抑えながらうーんと考え込む彩花。結構絵になる図になってきた。レベルが上がってさらに可愛くなったのは間違いないらしい。


「後日渡すってことで、今日のところはまず樹液を出して、樹液が出たらとりあえずそれは置いといて、後日ダンジョンへ向かって魔石を交換しに行った日に持ち帰る、というのでどうだろう? それなら違和感無くやり取りができると思うんだけど」


「じゃあ、それで行きましょうか。とりあえず樹液一本が出たら、その後はスケルトンにでも行きましょ。強い相手と戦ってレベルを上げておけば受験でもきっともう一歩リードできるはずよね」


「普通は勉強して対策をするもんなんだが、ダンジョンでレベルを上げてから勉強した方がより効率的、という不思議な状態になってるからな。その恩恵に与れる身としてはそのまま預かり続けたいというのは確かなところだ」


「そういえば朝から見ないけど、アカネさんは? 」


 今頃思いついたのか、アカネの所在を確かめる彩花。


「アカネならダンジョンの奥を作ってるはず。朝からダンジョン内に入っていくのを目撃したから、まだ出てきてないなら中に居るはずだ」


「相当奥まで作ってくれてるのよね。出来れば昼ぐらいに合流して、お弁当をお供えしてから食べようと思ったんだけど」


 そこまで考えてくれていたとは、アカネもそれなりにありがたがるだろうな。さて、お弁当が出来上がったところで二人分包んで、それぞれ弁当を持ち、飲み物を用意して着替え出す。


「そういえば前から思ってたが言わなかったんだが……着替える時にはもう少し恥じらいを持ってくれると助かるんだが」


 そう、彩花は着替える時に、俺の目の前でも平気で脱ぎだすため、目のやりどころに困ることが時々あるのだ。俺も男なので見たいという願望はもちろんあるが、かといって平然としてそれをやられると逆に困ってしまうことが往々にしてある。


「私は幹也なら構わないわよ? そのまま見ててくれても、手を出してくれても」


「そう言ってくれるのは嬉しいし信頼してくれているのもありがたいが……うーんしかしなあ」


「なあに、卒業するまではそういうのは無し、って決めてるとか? それならそれで構わないわ。私は幹也に無理強いするつもりもないし……そういう意味では幹也の言う通り、もうちょっと隠した方が良さそうね? 」


「そうしてくれると……助かる……かな」


 自分の顔が赤いのがわかる程度には火照っている。彩花が全幅の信頼を寄せてくれていることと、いつでも手を出してくれても構わない、と言ってくれているのは心底嬉しいことではあるんだが、まだ付き合い始めて数ヶ月でそこまでやるのか? という気持ちがまだ自分の中に残ってる以上、俺としてはまだ何とも言えないもう一歩足を踏み出す勇気が足りない感覚がする。


 隆介に相談する……いや、相談してる場合か? とも思うが、あえて相談するほうが俺っぽくあるのかもしれないな。すっとぼけたつもりで相談してみるのもありか。お前らそこまでして何もしてないのかよ! とか言われそうでもあるが……その辺の込み入った話までは流石に隆介とはしたことはないからな。


 まあ、今日は見てしまったものはそれとして、心の映像フォルダに仕舞っておこう。大事にしまっておいて時々取り出しては見返して……アカネが居るとどうもイマイチそういう時間が取れないのが悩みか。居ない内に頑張るのは大事なことだな。


 かといって今から短い時間で済ませるわけにもいかないので、後でだな。彩花の着替えと並行して自分も着替えて、しっかり探索の準備をする。本当は着替えているのをずっと眺めていたいところではあるけど、さっき苦情を言った割にガン見してるじゃない、と言われないためにも自分の着替えも済ませておかないとな。


 着替え終わっていつも通り五層までレッサートレントを倒しに行き、樹液をちょっと多めに確保しておいて、いつでも渡せるようにストックを溜めこんでおいて、オーク肉を集めて終わり。今日のところはそれでいい。大分こなれてきて飽き始めたところもあるが、食費を浮かせることにはかなわないし、十層までできてない以上深くまで潜るに行く理由はない。


 結局三層と五層で満足してしまっている現状、十層までできあがらなければ深くまで潜り込むのは帰り道でも歩いていかなければいけないので負荷が高い。潜り込むのは十層ができてからにしようと思っている。その先は十一層十二層十三層……とできたところまで潜っていくという形にしようと思う。


 アカネが何層まで作ってくれるのかは解らないが、とりあえず十層まで作ってくれるのは間違いないらしいので、そこまでは考えに入れておいてもいいだろう。その先は駅前ダンジョンの方でも十層以降に潜って、どういう仕組みになっているのかを知って、その先も必要になるのかを調べてそれからでも遅くはないんだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 今日はオーク肉6枚と樹液3本を食糧として追加して、残りの魔石やドロップ品は着替えずにそのまま駅前ダンジョンに急いで向かって換金カウンターに持っていくことにした。たまには自転車から直接換金カウンターに持って行っても怒られはしないだろうし意外性も少ないことになるだろう。


 色んな魔石の換金をしてもらった上に時間的にもそこそこ遅い時間に持っていったからか、換金時に何か確認されることもなかった。時々しか使えないが、魔石入れが一杯になりつつある場合は時々使っていこうと思う。


「ふぅ、久しぶりに良い感じに収入を得たわ。しっかり稼げたし食べ物も保持できたし、次に探索に行くまでお金の心配はしなくて良さそうね」


「戻ったら着替えて今日は終わりかな。お弁当も美味しかったし今日は言うことない一日だった。次に隆介と潜る時は一気に十層まで潜りたいところだな」


 換金した半分を彩花に渡し、その金額を喜んで財布に入れている彩花を横目にしながら次に駅前ダンジョンに潜る時の相談をする。


「そのためにはモンスターの特徴なんかも調べておいたほうがいいんじゃないの? 」


「そのつもりでいる。だからもうちょっと強さや厄介さを調べてからかな。まあ、その辺は何とかやっておくよ」


 調べた分は調べたので、後は実際に出会って行動するのみなんだがな。まあ、次回は十層まで行ってみる、という話で後で連絡を送っておくことにしよう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
食費が一回分浮いてるし 減点一 あかねちゃんの指導はいらんかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ