表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/120

第103話:道祖神様の胸の内

 side:アカネ


 幹也はダンジョンへ向かった様子ね。私もそろそろ十層まで作り上げて、一息つくことができるだろうからちょうどいい区切り、幹也と結城さんとの契約は続行しつつ、このままダンジョンを放置して家に帰るのもありだし、このまま幹也に憑りつき続けてもう少し人生のお手伝いをするのもあり、というところかしら。


 道祖神としての仕事で言うならば、幹也が自分で行く先を見つけてそこに向かって歩き始めた時点で仕事はある意味終わりではあるし、これ以降も幹也にくっついている必要はないといえばない。でも、ダンジョンの階層がもっと欲しい、というならば引き続きダンジョンの続きを作り続ける必要はあるでしょうね。何層まで作ったら納得してくれるのかしら。


 私自身としてはダンジョン作りという行為については問題はないと認識しているし、それなりに楽しくやらせてもらっているので良いのだけれど、他の神様からのやっかみや「過保護ではないか? 」という連絡が来るまでは今のままで良いとは思っているわ。


 苦情が来たらその時点で何かしら中断するなりの世話を焼くつもりではあるけど、他の神様にも自分の眷属に有利になるように仕組みを色々としているのだろうから、それに対してこっちも、という感じで対応できそうではあるわね。


 それにしても、幹也の成長っぷりには驚くべきものがあるわね。元々のベースがそれほど高くなかったというのもあるだろうけど、あっという間に他の人間のペースを突き抜けてどこまでも先へ行っているようだし、この調子で頑張ってほしいわ。


 結城さんとも、出会って以降いろんな場面で仲良くしている様子ではあるし……私としてはもう一段階か二段階ぐらい仲良くなってくれていてもうれしいところだけど、まだ学生の身分では早い、と考えているのかもしれないわね。それこそ身分や立場の垣根を越えて猿のように愛し合ってくれていても悪くはないと思うのだけれどね。


 まあそれはさておき、ダンジョンよダンジョン。もう少しで十層まで作り終えて、ワープポータルの設置まで終われば一段落つくことになるのだけれど、このまま引き続き作ることができれば私の仕事ももうしばらく幹也のそばにいられる理由にはなるわ。


 別に離れていても効果の方は継続するのだから私自身が近くにいなくても効果はあるとしても、ダンジョンの方をきっちり管理する必要がないからこれで十層まで作って終わり、後は幹也から連絡があり次第ダンジョンの移設やもうダンジョンは要らなくなった、なんかの話が出ない限りは大丈夫になるわね。


 私の神力も幹也のおかげで予定より早めに溜まってきてはいるし、この調子ならもうちょっとでもう一段階成長した姿を幹也に見せることもできるわね。私の成長した姿を見てもらってぜひとも感想を聞かせてもらわないと。


 それと後は……結城さんかな。このまま幹也のことをお願いしてしまってもいいのか、それとも今の内だけの一時的な関係になるのか。それによっては私も方針を変える必要が出てくるのだけれど、今のところは幹也にべったりのようだし、結城さん自身もまんざらではない様子だし、二人の心の伝わり具合を感じ取っている範囲だと、二人ともお互いを好き合っているのは間違いないわね。


 ただ、もう一歩進むにはまだちょっと勇気が足りないのか、それとも意図的に心にセーフティをかけてるのか、それとももっと他の都合があるのか……そこは解らないけれど、まあ高校を卒業するまでは安心してもいいのかしらね。少なくとも高校生同士の学生結婚や妊娠出産、というところまでは心配しなくても良さそうね。


 しかし、幹也も元はそんなに悪くなかった部分もあるでしょうけど、レベルアップであからさまにかっこよくなったのは間違いないわね。やはりレベルアップの恩恵は大きいわ。どうしてこの世界ではまだこのレベルアップのシステムが十全に働かないようになっているのかしら。


 ダンジョンによっても違いはあるのでしょうけど、明らかに経験値の獲得効率がシブく出来ているのはどういうことなのかしらね。せっかくダンジョンというシステムを世の中に取り入れたのだから、もう少し経験値入手効率やレベルアップシステムの構築には慎重を期して、その気になればレベルアップは簡単にできるようにしてもいいとは思うのだけれど。


 それも私が無茶な倍率で経験値効率をかけてしまったおかげで幹也や結城さんがレベルアップを果たして急激に成長してしまったのも原因と言えば原因なのだけれど、まあ、それは今回は置いときましょう。自分のせいじゃないということにしておくのが大事ね。


 ダンジョンの経験値の量でしかレベルアップができない、というのも設計ミスと言えば設計ミスよね。もしかしたら今後はダンジョンに潜る以外の方法で経験値を手に入れたりする方法が現れるのかもしれないけど、現時点で生息している人類が経験値を得る方法は実質的にダンジョンに限定され、しかもかなり厳しい量の経験値を得なければレベルが一つも上がらない、というハードモードを経験していることになるわ。


 私の眷属を増やしてレベルアップを手軽にさせる……というのも方法としてはあるのだけれど、それが本当に正しいかどうかは悩ましいところではあるし、今の所は幹也と結城さん、あと可能性があるとして隆介ぐらいのものかしらね。その三人がサンプルとしていてくれれば充分でしょう。


 特に隆介は今はまだレベル1のはずだから、もともと優秀な人間がレベルアップによりさらに優秀になっていく様を眺めるのもサンプルとしてはありなのよね。もしくは、既にレベルが高くてあの状態なのかもしれないし。


 そうなると、なぜ生まれ持ってレベルの違いがあるのか、という疑問が生じることになるわね。本当に隆介がレベル1なのかを確かめる術がないのだけれど、仮にレベル1だと仮定すると、人間はレベル1での個体差が大きすぎるんじゃないかしら。


 この個体差がレベルアップで埋まっていって最終的に似たようなところで収まっていくのか、それとも個体差をそのまま引き継いだ形で更にレベルアップにより差が激しくなっていくのか。それを見極めるためには隆介の協力が必要になるわね。もし隆介にこの仕組みがバレるようになった際は是非とも協力してもらうことにしましょう。


 さて……そろそろ幹也が帰ってくる頃かしら。考え込むのも大事だけれど、私が手を動かすのも大事ね。とりあえず十層のワープポータルの作り方としくみ、それからボス部屋の設置……とやることはいくらかあるから、幹也が眠りについたころにお出かけしてまた聞きに行くことにしましょう。


「ただいまー」


 幹也が帰ってきた。いつも通りリビングで浮いていた私を見つけると、安心したようだ。


「ただいまアカネ」


「お帰り幹也。ちゃんとご飯は確保できた? 」


 食事を集めに行っていたというから、オーク肉でまた何か一品作るんでしょう。楽しみにしておこうかしら。


「今日は唐揚げを作ろうと思う。鶏肉じゃなくてオークだから豚の唐揚げかな? 高い目の温度でカラッと揚げれば美味しいはずだから楽しみにしてろよ」


 そういう幹也も楽しみにしているらしく、服を着替えて消臭スプレーをかけて防具を元に戻しておくと、早速背中に背負っていたバッグから肉と魔石と……オークの睾丸かしら? それらを取り出してベッドの下の魔石箱にしまい込むと、肉をきれいに洗い始め、次々に細かく刻んでいく。ある程度肉をコマ切れにしたところで合わせた調味料と片栗粉を全体にまぶしてよく揉みこんでいる。


 既に美味しそうなのだけれど、今はまだじっと我慢ね。これからもっと美味しくなるのは間違いないわ。幹也が鉄なべに油をなみなみと注ぎ、温度を上げていく。やがて温度計で計ってちょうどいい温度になったのか、次々にオーク肉を投入していく。


 ジュワーっという音とともに揚げ物の匂いとラードのようなオーク肉の脂の香りが部屋中に広まり、食べられないのに美味しそうな予感がしている。なんで幹也はこんなにおいしそうに料理を作ることができるんでしょう。普段塩パスタで済ませるくせに、こういうところで手を抜かないのはまめな男として評価できるわ。


 やがて揚げ終わった唐揚げがどんどんと油を切られて出てくる。美味しそう……


「まだ駄目だぞ、ここからもう一つ美味しくなるんだからな」


 まだ美味しくなるらしいわ。すると、ゆで卵を用意した幹也がマヨネーズと玉ねぎと酢と……色々を合わせはじめて、ソースを作っている。きっとタルタルソースって奴ね。それを唐揚げに添えると、幹也もご飯を用意して食事が始まる。


「いただきます。とれたて揚げたて作り立て。美味しくないはずがないからな。アカネももういいぞ」


 待ってました。早速神力の吸収を始める。これは……


「美味しいわ。さすがね」


「そう言われると作った甲斐がある。余るだろうけど、余ったら冷凍しておいて、いつでも解凍して食べられるようにしておけばいいからな。それも見越して多めに作っておいた」


 幹也が一人で楽しげにオーク肉の唐揚げを美味しそうに食べている。私も神力をしっかりと吸収させてもらったから解るけれど、手が込んだ料理や気持ちのこもった料理のほうが美味しく感じるのは間違いない。だからこれも美味しい料理として確実にカウントしても良い料理ね。


 料理をおいしく頂いたところで、幹也は片付けをすると、早々と部屋に戻って何かをし始めた。勉強は午前中にするように計画していたのだから、復習をするか、お風呂が沸くまでの短い時間で何かやれることをやっておこう、ということなんでしょうね。そのやる気は私も見習うべき点があるわ。


「幹也、私ちょっとダンジョンまで出かけてくるわね。ワープポータルの作り方聞いてくるわ」


「わかった、変な言い方だが気をつけてな。俺は適度な所で寝るから、帰ってくるならこっそりたのむ」


「ええ、そのつもりよ。向こうに長居をするつもりもないけど、適当な所で帰ってくるわ」


 私も自分のお仕事をしましょうかね。行ってくるわね、幹也。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ