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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第102話:慣らし運転

 さて夏休みに入り、大学受験に向けて夏期講習やら何やら、周りは忙しいことになっているが、そこまでしていい大学に入りたいのか……? という意識のほうが強いので今までは参加したり塾に通うことも避け、その分生活費に余裕ができるように振る舞ってきてはいるものの、高校最後の夏休みを存分に味わいたいのは確か。


 しかし、勉強もそれなりにしておく必要があるのも確か。夏期講習で皆が頑張っている中、俺だけ一人ランニングシャツを着て虫取り網を持ってセミを追いかけたりカブトムシを捕まえたりしている訳にもいかないのだ。


 よって、基本的に自主勉強に努めることにする。一日の内午前中は勉強にあてて、午後は好きなことをする。そんな感じのふわりとした目標時間を決めて勉強をしているため、午前中はそれなりにやることがあるが、午後は正直暇だ。頭の切り替えというわけではないが、一度読んだラノベを読み返してみたり、やり尽くしたゲームの高難易度をプレイし直して再度クリアしたりなど、それぞれ日によってやることは違う。


 そして、本格的に飽きるか、生活費に問題が来たらダンジョンに潜ることにした。なので俺専用ダンジョンの優先度はそんなに高くはない。何より、アカネが十層まで作ってくれるのを楽しみに待っている部分もある。十層が出来たら彩花に連絡を入れて、二人で十層まで潜って帰ってきて、ワープポータルが正常に機能しているかのチェックをして、それで夏休みの目標の内半分を二人だけで達成してしまうのだ。


 もちろん、残りの半分は駅前ダンジョンで隆介を伴って十層まで潜るのが目標だ。とはいえ、彩花も自分の塾があるらしく週五とまでは行かずともそれなりに勉強をしにいく時間が必要らしい。レベルが上がってからモリモリ頭に知識が入っていき、数学的勘も良くなったため、最近は勉強が楽しいと言っていた。


 勉強を楽しめるのは学力を向上させる第一の力の源だ。俺自身、レベルが上がってすんなり頭に知識が入るようになってから勉強というものの楽しさを味わうことが出来ている。押し付けられている知識ではなく、自分から学びに行く知識の楽しさというものが学業にまで及ぶことが、成績を上げるための条件のうちの一つだと言えるだろう。


 それをレベルアップによって感じ取れるようになった彩花や俺は、学業成績が上がってもおかしくはなく、実際彩花の勉強に対する集中力はそれを感じさせる片鱗であった。黙々とできるのは強みでもあるな。


 さて……俺も今日も午前中は真面目に勉強をしたぞ、ということで、赤本を一冊買ってきて試しに解いてみた。大体習った範囲は解ける、ということも判明した。これは良い線行けるのではないか? ダンジョン学部の実績や前評判を調べるも、東海地方ではなく関東や関西なんかの他の地方の大学で存在するダンジョン学部の偏差値やなんかを調べてみる。


 すると、どこもそれなりに高い数値を示している。やはり、ダンジョン学部とはいえ実力主義でなければいけないということだろうか。大丈夫かな、俺はともかくとして彩花の学力で間に合うのだろうか。これからもちょくちょくレベルアップして学力の底上げをしながら頑張り続ける必要があるか……中々悩みどころだな。


 とりあえず午前中の勉強は終わったし、今日の午後はダンジョンにでも潜ってオーク狩りして食糧の調達にでも務めるか。今日のところはオーク肉で俺の食事の彩りを豊かにしてもらうことにしよう。


 そういえば先日入手した樹液だったが、試しにパンケーキを焼いてかけてみたところ、なかなかの絶品だった。あれはまた食べてみたいな。パンケーキを焼く回数を増やすつもりはないが、毎回アレを楽しめるとなると話は少し変わってくる。ふわふわの厚めのパンケーキにバターを垂らし、程よく溶けたところに樹液を垂らして好きに切って食べる。


 バターのしょっぱさと樹液の甘さが見事にマッチして、かなりの満足感だった。食事としてはカロリーがいまいち足りないが、美味しさという意味では中々悪くない。またダンジョン素材で食を楽しむ機会が増えたな。


 さて……今日はオーク肉を仕入れに行くか。在庫はないわけではないが、在庫を気にしてちょいちょいとすこしずつ使い続けるぐらいなら、在庫を大量に仕入れて楽しく贅沢に食べたいところだしな。コマ肉にしてちょいちょいと焼肉を楽しむぐらいなら、一枚なりを焼いてステーキにして食べたいところだ。


 今日もしっかりビニール袋をバッグに入れてきたので、綺麗な形で持ち帰ることができる。と言っても少しは土がついてしまうんだが、そのぐらいは軽く洗って済ませることができる。


 さて、いつも通り着替えて探索の準備だ。防具をつけて山賊刀を持ち、部屋で探索の準備をする。


「あら、出かけるの? 」


 とくに何かしている訳でもなく、ふよふよと浮いていたアカネが反応する。


「いや、家の中だ。ちょっと食材の確保をしてくる」


「ということはオークあたりでとどめておくのね。すぐ帰って来そうかしら」


「そうだな……何枚手に入るかわからないが、二、三時間ってところかな」


「じゃあすぐの範疇ね。流石に五層まで潜ったり、その先まで行こうって話ではないんでしょう? 」


 アカネが確認するように奥までは行かないかどうかを確認している。


「奥までは行かないぞ。行くのは十層が出来上がってからにしようと思ってるからな」


「そう、なら安心しておくわ。作りかけのダンジョンを見られるのは少し恥ずかしいものなのよね。掃除が終わってない部屋を見られるようなものだから」


 よくわからないがそういうものらしい。まあ、建設中のダンジョンに足を踏み入れてハマったりして抜け出せなくなっても困るからな。


「まあ、とりあえず一人で潜っても五層までだと思うからそこまで深く潜ることはないと思うぞ。彩花が来た時に潜るかもしれない、程度だ。樹液が欲しくなった時はそこまでは潜るとは思う。それ以外は……金には今の所困ってないから大丈夫かな」


「……そう、ならいいんだけど」


 何か言いたいことがありそうなアカネだが、ハッキリ言わないということはそれほど大事なことでもないんだろう。


「何かあるなら素直に言ってくれていいぞ。気になることとか、言いたいこととか、伝えておくべきこととか。俺とアカネの仲なんだからな」


「そうね。じゃあハッキリ聞いておくけど、幹也としては何層までダンジョンが欲しいのかしら? そこは聞いておくべきことかなと思ってるのよ。今後ダンジョン活動を続けていくにあたって、何層まで欲しいのか、というのは大事な要件だからね。私もどこまで作ればいいかわからずにひたすら作り続けるより、ある程度の目標があったほうがわかりやすいしね」


 そうか、何層まで作ればいいか、というのをアカネに伝えておかないと、どこまで作ればいいのか検討できないわけか。うーん……何層まで、か。


「今の所は十層までは欲しい、とは言えるが、その先何層まで作ってほしいか、か……なかなか難しいな。俺が何層まで潜り込むのかにも関わってくるってことだよな? 」


「そうなるわ。もし十層までで満足して、それ以降のダンジョンは駅前なり他のダンジョンで十分満たされていく、という話なら、私が手ずから作り出すダンジョンは途中まででいいってことになっちゃうし。後はそうね……幹也がどこまで人間離れしたいか、というのにも関わってくるわね。もしかしたら人間を辞めちゃうぐらいまでレベルを上げて強くなって、賢くなって、それこそ新人類と呼べるようになるようになるかもしれないし、そうなったら面白くはあるけど幹也自身が自分の非日常性に耐えられなくなってしまうかもしれないし。まあ、結城さんとも相談してゆっくり決めると良いわ」


 アカネはそう言い切ると、再び目を閉じてリビングにふよふよと浮きだした。


 あえてダンジョンの中に入って、それから色々考えることにした。俺が深く考えていることをアカネにそのまま読み取られないように、というのもあるが、体を動かしながらのほうが確実に頭は冴えわたるからでもある。


 どこまで作ってもらえれば俺が満足するか、か。そういえば俺とアカネの関係もそれほど深いとは言えないが浅いとも言い難い。そんな中でこのままずるずるとダンジョンを作っては攻略する、という関係を続けていくのかどうか。


 言われてみるまで、アカネは俺にずっと付き添うようなイメージでいたが、そもそもまだアカネと出会って三ヶ月ほどしか経っていないんだ。初めて出会った時のことはさておき、三ヶ月の間に信頼関係をそれなりに築けてはいるものの、たかが三ヶ月とも言える。このまま十層まで作ってもらって「それじゃあ今までありがとう! 引っ越しの際はまたダンジョン移設よろしく! 」と別れを切り出すことだって不思議ではないんだろう。


 うーん、アカネとの関係がいつまで続いていくのか……それをダンジョンの階層を基準に決めて、それで結果を出しても良い物かどうか。まずはそこからゆっくり考えないとな。


 考え事をしながら進んでいるが、順調にモンスターは倒せている。レッドキャップもよそ事を考えながら倒せるぐらいには余裕が出てきた。きっと、聞き耳スキルを上げればより確実な精度でモンスターの居所を掴むことができるだろう。


 オークエリアに到着し、今夜の晩御飯の調達を始める。オーク肉の……唐揚げとか良さそうだな。天ぷら油はあったはずだし、肉をしっかり揉みこんで味をつけ、充分な油で温度高くカラリと揚げる。うん、夕飯はそれで行こう。余った分は翌日にまた食べられるので、調達するオーク肉は多ければ多いほどいい。


 さあ、気張ってオーク肉を集めるとするか。もはや作業と化したオークとの戦いで、今更得られる知見があるのかどうかはさておき、美味しく食べさせてもらうためにオークをひたすら狩る、狩る、狩る。


 食事のための狩りとは言え、それなりに魔石もお肉も睾丸も出るので、今度駅前ダンジョンに潜った際に肉以外は換金してこよう。


 結果、都合六枚ほどオーク肉を手に入れて、その内三枚を適度な大きさに切り落として唐揚げを作って食べた。中々に美味しかった。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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