表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒豹の長と猫耳の花嫁  作者: はるさんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/20

第七話 庭園の甘い朝


 翌朝、庭園には柔らかな朝日が差し込み、緑の葉が金色に輝いていた。

 リリィはまだ昨夜の出来事の余韻で少し緊張していた。

 耳を伏せ、尻尾を小さく揺らしながら歩く。


 「……本当に、私でいいのかな……」

 心の奥で、昨日のシルヴィアの言葉がよみがえる。

 「弱くて、役立たず……そんな小娘が婚約者だなんて……」

 胸がぎゅっと締め付けられ、リリィは自分に自信が持てなくなる。



---


 庭園で静かに訓練を見守っているリリィに、カインが近づく。

 金色の瞳が、まるで心の奥を透かすかのようにじっと彼女を見つめた。


 「リリィ……何を考えている?」

 声は低く、しかし優しさに満ちている。


 リリィは耳を伏せ、目を逸らす。

 「……えっと……あの、私……本当にカイン様の婚約者としてふさわしいのか……」

 小さな声で打ち明ける。心の奥の不安がついに漏れた瞬間だった。


 カインはリリィの手をそっと握る。

 「我が選んだのはおまえだ。リリィでなければならぬ」

 その声に、リリィは思わず耳をぴんと立て、頬が赤く染まる。


 「おまえが弱くても、頼りなくても……我にはおまえ以外見えぬ」

 カインの手は温かく、力強く、リリィの心の奥まで届くようだった。

 「おまえのすべてが、我にとって大切なのだ」


 リリィは小さく頷き、胸にじんわりと温かさが広がる。

 「カイン様……ありがとうございます……」

 耳と尻尾を柔らかく揺らし、震えもほとんど消えていた。



---


 その後も、部下たちは訓練を続けていたが、リリィはもう恐怖に怯えることはなかった。

 カインの手がそっと自分の手に触れていることが、どんな守りよりも安心できる盾になっていた。


 「これからも共にいるのだ、我とおまえは」

 カインの言葉に、リリィは小さく微笑む。

 耳と尻尾を揺らす猫獣人の姿は、守られている幸福感と甘い信頼に包まれていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ