第十二話 甘く溺愛される午後
城庭園には午後の柔らかな光が降り注ぎ、花々の香りがそよ風に乗って漂っていた。
リリィは耳を立て、尻尾を少し高く揺らしながら、今日も訓練場へ向かう。
「カイン様……今日は少しだけ、いつもより長く挑戦してみたいです」
小さな声に、少しの緊張と期待が混ざる。
カインはその声を聞くと、ゆっくりと頷く。
「よかろう。我がおまえを見守る。怖がるな」
その手がリリィの小さな手をそっと包み、胸の奥まで温かさが伝わる。
リリィは頬を赤く染め、耳と尻尾を柔らかく揺らした。
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訓練場では、ハルやミロ、レナがいつものように見守っている。
「リリィ様、無理せず、でも楽しんでください」
ミロが微笑むと、リリィは小さく頷き、気持ちが少し落ち着く。
カインはリリィの隣に立ち、軽く指導する。
「姿勢はこうだ、力を抜き、目線を前に」
リリィはぎこちなく剣を握り、少しずつ体を動かす。
失敗しても、カインは手を添え、目を合わせ、優しく励ます。
「よいぞ、リリィ。怖くない、我がそばにいる」
その声に、リリィの胸はじんわり温かくなり、耳と尻尾が柔らかく揺れる。
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訓練の後半、リリィが少し疲れて座り込むと、カインはそっと膝の上に手を置く。
「疲れたな、リリィ」
「はい……でも、楽しかったです……カイン様と一緒だと、怖くないです」
小さく笑うリリィの頬を、カインは軽く指先で撫でる。
「我がおまえを守るのは当然だ。おまえが笑う顔、喜ぶ姿、それを見るだけで我の心は満たされる」
耳をぴんと立て、尻尾を小さく揺らすリリィは、胸いっぱいに温かさと甘さを感じる。
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訓練後、庭園のベンチで二人だけの時間。
カインはリリィの手を握り、顔を少し近づける。
「リリィ……おまえ以外はいない。弱くても、未熟でも、おまえが全て特別なのだ」
リリィは頬を赤く染め、耳と尻尾を柔らかく揺らしながら、静かに頷く。
「カイン様……ありがとうございます……」
小さな声が風に乗る。カインの手の温もり、視線、声の低さすべてが、リリィに甘く溺愛されている実感を与えた。
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部下たちの笑い声や庭園の穏やかな景色の中で、リリィは初めて、自分がカインに守られ、愛されていることを心から感じた。
耳と尻尾を揺らす猫獣人の姿は、幸福と安心に包まれて、少しずつ強く、甘く、成長していく。
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