第十一話 自信と甘い距離
城の庭園は午前の光で輝き、柔らかな風が花々の香りを運んでいた。
リリィは先日の軽い訓練で少し自信をつけ、耳をぴんと立て、尻尾も少し高く揺らしながら庭園を歩いている。
「カイン様……」
小さな声で呼びかけると、金色の瞳をしたカインが振り向く。
「どうした、リリィ?」
低く落ち着いた声。視線はいつも通り、リリィを真っ直ぐ見つめている。
リリィは少し恥ずかしそうに、しかし確かな自信を持って答える。
「今日も、見学じゃなくて、少しだけ訓練してみたいです」
カインは軽く頷き、微笑むことは少ないが、目元に柔らかさを宿す。
「よかろう。我がおまえを見守る」
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訓練場に向かう途中、部下たちがリリィに声をかける。
「リリィ様、昨日の調子なら今日も大丈夫です」
「ええ、楽しんでくださいね」
耳を立て、尻尾をゆらすリリィは、部下たちの励ましに小さく頷く。
訓練場では、カインが隣でリリィを見守る。
「姿勢はこうだ、力を抜き、集中する」
リリィは耳を立て、言われた通りに構える。少しぎこちない動きもあるが、先日の練習で覚えた感覚が支えてくれる。
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「その調子だ、リリィ」
カインが褒めると、リリィの頬は赤く染まり、耳と尻尾が柔らかく揺れる。
胸がじんわり温かくなり、心の奥で安心と喜びが広がる。
訓練後、庭園のベンチで二人は並んで座る。
「リリィ……おまえは成長している。我が見守る価値は十分にある」
カインの声は低く、甘く響く。
「ありがとうございます……カイン様」
リリィは手を差し出すと、カインがそっと握り返す。
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そよ風に吹かれながら、二人の間には穏やかな時間が流れる。
耳と尻尾の柔らかな揺れが、心の距離の縮まりを象徴する。
部下たちの明るい声も遠くに聞こえ、日常の温かさと安全感が二人を包み込む。
「リリィ……我にとって、おまえは特別だ」
カインの瞳は真剣で、微笑みは少ないが、言葉は確かな愛情に満ちていた。
リリィは深く頷き、胸いっぱいの幸福と甘さを感じながら、カインにそっと寄り添った。




