第十話 初めての軽い訓練と甘い成長
城庭園の朝は、柔らかな日差しに包まれていた。
リリィは少し緊張しながら訓練場に向かう。耳を小さく動かし、尻尾もわずかに揺れている。
「今日は少しだけ、訓練に参加してみるのだ」
カインの低く落ち着いた声に、リリィは頷く。
「はい……カイン様」
胸がざわつくが、昨夜の甘い言葉を思い出すと、心が少し軽くなる。
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訓練場には部下たちも集まっている。ハルやミロ、レナが優しく見守る視線を送る。
「リリィ様、無理はせず、軽くで大丈夫です」
ミロの言葉にリリィは頷き、耳を少し立てる。
カインはリリィの隣に立ち、手をそっと握る。
「怖がるな。我がおまえを見守る」
その手の温もりに、リリィの胸はじんわりと温かくなる。
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まずは軽く剣を持つ練習から。リリィはぎこちなく剣を握るが、カインの指導の下で少しずつ正しい構えを覚えていく。
「その調子だ、リリィ」
カインの声に耳をぴんと立て、尻尾を小さく揺らすリリィ。
「はい!」
初めて自分の手で少し動かせた感覚に、胸がわくわくする。
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部下たちも微笑みながら見守る。
「リリィ様、随分上達しましたね」
レナが声をかけると、リリィは小さく頷き、照れくさそうに笑う。
カインはその表情を見逃さず、そっとリリィの肩に手を置く。
「我がおまえを守る理由は、ただおまえが特別だからだ。訓練も、生活も、共に歩むすべてを大切に思っている」
リリィの頬は赤く染まり、耳も尻尾も柔らかく揺れる。
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訓練の終わりに、カインはリリィの手を握り、微笑むことは少ないが目元には柔らかさが宿る。
「よく頑張ったな、リリィ」
「はい……カイン様、ありがとうございます」
手を握り返すと、胸の奥が甘く温かくなり、心地よい幸福感に包まれる。
庭園に吹くそよ風が二人を優しく揺らし、部下たちの明るい声も加わって、甘く穏やかな午後の時間が流れていった。




