表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
丈夫なだけが、取り柄です…  作者: かたこり
1章 始まり - 森の中
4/97

4 ばあちゃん

ズルズルと引きずられている。

足を引かれているので、後頭部が地面を引きずられている。

僕は意識が戻ってくると、「今度はどんな動物だ?」と、僕の足を引っぱる生き物を確認した。

派手な金色の毛皮の、ずんぐりむっくりした猿が、向こうを向いて僕の足を両肩にかついで引きずっていた。

猿からは緑色の湯気がにじんでいる。それはおだやかな雰囲気で、攻撃的な気配ではなかった。

「あのぉ~」

とまどいながら声をかけると、猿が振り向いた。

「なんじゃ、気がついたなら、はよ言わんか。重たいのに。」

振り向いた猿は、猿ではなく人間の老婆だった。

腰にツルで編んだ大きなカゴをつけ、色鮮やかな数珠や首飾りをぶら下げている。

「ばあちゃん、助けてくれたのか?」

「あんなとこで寝てたら、すぐに喰われてしまうぞ。このあたりには、腹をすかせた獣が、わんさとおる。」

ばあちゃんが、厳しい顔で言う。

「なんか、お口に合わないみたいだけど…。」

僕がうんざりして、つぶやく。

「ん?」

ばあちゃんが、首を傾げる。

「まあ、よい。とにかく、ウチに来て休め。歩けるか?」

僕は立ち上がって、体をたしかめる。

「ああ、なんともないみたいだ。」

僕は、ばあちゃんに着いて行った。


大きな岩がゴロゴロしているところを登ると、頂上に大きな木が見えてきた。

幹がとても太く、枝も太く、横に大きく広がっている。幹にはツルがすだれのように大量にぶら下がっている。

ばあちゃんは、ツルのすだれをかき分けて中に入っていく。

僕がおどろいて大木に見とれていると、ばあちゃんがツルの中から顔だけを出した。

「はよこい。」

「う、うん。」

僕は、ばあちゃんに続いて、大木の中に入っていった。

中は薄暗いが、上から光がさしているので、見えないことはない。

いろいろな袋や、縄や、木の箱などが、大量に置かれている。その間を通ってばあちゃんについていく。

なだらかな階段が、木の内側を回るようにのぼっている。階段をのぼりきると、広いところに出た。大木が大きく枝を広げた中心が広くなっており、そこに板を敷き、柱を立て、屋根をかけてあった。周りは木の枝と葉のカーテンで、森の中のおだやかな光が満ちていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ