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チー牛転生 〜イケメンになってもガチ陰キャ〜  作者: チー牛皆伝
第3章 学園2年編
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第82話 チー牛はパシりに使われる

 


 ある日、レッドが風邪をひいて休んだ。いつもはレッドだけ別のクラスなのでみんなで屋上に集まるのだが、今日は教室でいいよね、ってことでそこで食べることになった


 バカは風邪ひかないって言うのにね、あ、レッドの事バカって言ってるわけじゃないぞ?真面目に言うと、多分稽古で無理したんじゃね?知らんけど。


 で、俺とネクラ、ユリア、今日はサンも加わって、みんなで昼飯を食べている。サンはクラウドと食べることもあったり、俺たちに混じったりとかなり自由な感じだ。


 俺たちは弁当を食べ終わると、今日はユリアが寮で作ったチョコクッキーを机に並べた。ユリアは料理が得意だが、お菓子も良く作っていてかなり上手いのだ。


 俺の手袋を作ってくれたように、裁縫もできるしな。俺は甘いものが好きなので、お菓子を黙々と食べ始める。


「チーってお菓子あんまり食べなさそうだけど、一番食べてるよね」


 サンはクッキーを黙々と食ってる俺を見て、つぶやく。


 別に、男が甘いもの食っててもいいじゃねえか。食べてるところを見られたくなくて、俺は顔をそらして廊下の方を見ながら食う。……すると、誰かと目が合った。


「……」「……」


「めっちゃ俺のクッキーをガン見してきてる。しかも誰が見てきてるって、あの最強のブルーなんだよ。あの無言で誰とも関わろうとしない、クールなイメージのブルーが。


 するとハッと目を見開いたかと思うと、そのまま無言で歩き去っていった。明らかに食べたいような目してたぞおい。


「今のってブルー君……だよね」


「めっちゃ食べたそうにしてなかった?」


 サンとユリアも不思議そうにその光景を見ていた。


 ブルーも甘いものが好きだったりするのか……?まあそんなことはどうでもいいさ。あいつとは関わりたくないからな。


「チー君、ブルー君にクッキー持って行って分けてあげたら?」


「は?」


 ユリアがコミュ障の俺に対して、拷問みたいなことを提案してくる。


「そうだね、コミュ障も直せると思えば一石二鳥だよね」


 サンが賛同してくる。ちなみに、ネクラはずっと会話の輪に入れずにいる。ネクラに行かせようぜ?……という冗談は置いといて。可哀そうだし。いや拷問されかけてる俺も可哀そうだけど。


 とりあえず言い訳をひとつまみ。


「いや、俺、あの人外と話したことないし、その、正直、他の人と違って怖いし」


「チーさあ、そんなんだからいつまでも根暗なんだよ」


 俺&ネ『ぐっ』


 俺の心にぐさりと、サンの言葉が刺さる。そして隣にいた陰キャ仲間のネクラの心にまで刺さっていた。とばっちり食らってて可哀そう。


 クソ、知らねえよ、俺の前世も知らないでそんなこと言いやがって。こういう恵まれたやつらってのは、自分が恵まれていることも知らずに、努力不足だの何だの言ってくるんだ。


 畜生。俺に転生させる能力があったら、努力信者に一回チー牛になって人生やり直させたいわ。


「えっと、チー君、無理はしなくていいけど、チー君も気にならない?ブルー君のこと」


 ユリアがここで無理するなと言ってくれたのはやはり天使だ。いや、こいつ拷問提案してきた本人だけどな。


 まあ、確かに、ブルーって、分からないことが多いミステリアスな奴だからな。気になるっちゃ気になる。でもそれとこれとは別。


「……まあ、確かに気になりますけど、その、あいつが話してるとこ見たことないんすけど」


「無口同士、気が合うかもしれないよ?」


「俺あいつに敵視されてる気がするんだけど」


「自意識過剰じゃない?」


 いや、俺ブルーと模擬戦したとき、引き分けた後めっちゃ睨まれたんですけど!?


「とりあえず、チー君のためにはなるかもしれないとは思うけど、無理はしなくていいから」


「……」


 ユリア、俺に行ってほしそうだなあ……。なら、行くメリットとリスクを考えよう。俺はメリットを考え始める。


 ……そうだ。ワンチャン、ブルーから精神統一の方法聞けないかな……。いつ、ネクラみたいな影薄い暗殺者に殺されるか分からないし、痛い思いはしたくない。


 だから、ブルーの動体視力や察知能力くらいに、いつでも敵の気配を察知できるように、精神統一の事を聞き出したい。よしそうしよう。


 逆にリスクは……俺のメンタルがすり減るだけだ。ヨシ。


「ちょっと気になるので、行ってみますわ」


「さすがチー君!」


 ユリアはいつも褒めてくれる。ほんと優しいよな。前世なんか褒められることなんてほとんどなかった。厳しい家庭に生まれ、ブサイクに生まれ、何も上手く行かない人生で罵倒される日々だったが、ほんと恵まれたと思う。



「……チーってユリアの言うことは何でも聞くよね」

 サンが俺とユリアのやり取りを見て呟く。う~ん、そうなのか?まあ長い付き合いだしね。

 さて、ブルーに嫌がられたらすぐ逃げるということで。俺は菓子を持って教室を出ていった。

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