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チー牛転生 〜イケメンになってもガチ陰キャ〜  作者: チー牛皆伝
第3章 学園2年編
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第75話 チー牛は文系少女の視線が気になる

 


 1年後半からずっと、2年になった今も図書館に通っているわけだが、最近、どうやら図書委員に新人が入ったようだ。


 受付がいつもの人と違うからだ。新1年生だろうな。ずいぶん小柄で、まさに“文系女子”って感じの黒髪少女。


 黒髪……まあ俺もなんだけど、この世界だとまあまあ珍しい。ネクラも黒髪なんだけどさ、やっぱそれ以外はいなかったんだよな。


 そしてその子は誰かに声をかけられると、俺のようにおどおどとしているところが見られる。これは、なんというか、ユリアとは違う可愛さと癒しを感じる。


 この、小動物系のおどおどとした感じ、なんか、良いよね。守ってあげたくなる的な。まあ、話しかけることなんて絶対にないけどな。最悪、話しかけたら変態扱いされるだろうし。いや、イケメンだから言うほど問題ないか?


 ああいう小動物系女子って、怯えリアクションが無駄に大きくて、男がいじめてるように見えやすいんだよな。下手に関わらないほうが良いんだよな。


 俺は本を借りたりするのはめんどいし、人と話したくないので、借りて持って帰らずに、図書館でその場で読んでいる。試したい魔法だけメモして、寮でこっそり練習している。


 だから受付に行くことは無い。何より人と関わりたくない精神は未だに変わらない。でもさ、結局、部屋でダラダラ読めるのが、一番楽なんだよな……。


 で、最近、本を読んでいると、あの図書委員がちらちらと俺のほうを見てくるようになった。な、なんだろう……。やめてくれないかな……。


 俺なんか変な本読んでる?変な顔してる?よくわからない。よくわからんけど、視野は鍛えてるからな。あの文系少女は気づかれてないと思ってるっぽいけど、ばっちり見えてる。


 なんか、気が散る。冤罪だけは勘弁してくれよ……マジで。



 ---



 数十分、しばらく泳がせてみたが、ダメだ。相変わらずチラチラ見てくる。


 視線に敏感な俺はそろそろイライラしてきて、真面目に気になってしょうがないので、次の日、あえて本を借りて、俺は受付に行くことにした。


 特に何か用があるわけでもないのに、「じろじろ視線気になるんですけど」なんて言ったら、俺の事を、自意識過剰の変な人だと思われるだろう。


 なので、本を借りるついでにそれを言えば、怪しまれることはない……よな?いや、どっちにしてもきもいか。


 いや、俺も我慢したよ。1ヶ月くらいは。あの子も徐々に、俺に話しかけてみたいオーラも醸し出すし。あれは、人見知りの陰キャだな。俺たちと同類だ。ネクラ以外にも陰キャがいたとは。


 でも、女子はそれが逆にかわいいってなるのが不公平な世の中だと感じるな。男子が陰キャだときもいだの情けないだのなんだの言われるのに。


 男女逆転すると男子が辛いこと多すぎねえか。ザ・理不尽。


 ということで、あの魔法教本を持って俺は受付に行く。まあでも、借りることで、1週間はこの本を部屋でゴロゴロしながら読めるのは最高だ。部屋で読んでみたかったってのもある。


 ついに、受付に着いた。緊張する……。せめて変態扱いはされないように……俺はそっとその本を受付に出す。


「ひえ!」


 文系少女は明らかに俺を見てビビってる。いや……そこまでビビらなくてもよくない?(※お前が言うな)


 そして少女はおどおどしながら本を受け取り、その本に貸出票っぽいしおりを挟んで、記録してる。まあ、この世界にレジでピッするようなものはない、原始的だよな。


 さて、本題だ。最近じろじろ見てくる件、ちゃんと弁明してもらおうか。あいつ根暗のくせに生意気だな、とか、あんな本読んでんのキッショ、とか、イケメンだなとか、どう思われているのかが分からない。


 俺は声をかけようとした瞬間、同時にその子も声をかけてきたようで、声がかぶる。


「あのっ」「あの……」


 おう……こんなシチュエーション、アニメでしか見たことねーぞ?俺もその子もびっくりしてフリーズ。……こうなると、どっちから切り出せばいいか分からん。


 陰キャ同士ってほんとめんどいな……(※お前が言うな)。うーん、始まらなさそうだし、先輩として俺から切り出すか。


「えっと、お先にどうぞ……」


 すると、少女はおどおどしながらも、話し始める。


「え? は、はい……。えっと、その……その本……なんですが……お好きなんですか?」


 本?この本を読んでいるのを気になっていたのか?この子は。


「え?あ、好きというか、わかりやすいもので」


「そ、そうなんですか。えへへ……あ、その……ごめんなさい。……来週までに返却をお願いします」


「あ、はい」


 少女は急に真面目に受付モードに戻る。てか、案外この子は普通にしゃべれるっぽいな。俺の方がまともにしゃべれてなくね……?


 にしても、あの「えへへ」は何だったんだろうか。まあ可愛いからいいけど。俺はふと、その子の名札を見る。「シオリー」?……なんか聞いたことあるな。


 ……考え込んだ末、俺は今気づいた。この珍しい名前の正体。この魔法教本の著者だったことに。



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