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チー牛転生 〜イケメンになってもガチ陰キャ〜  作者: チー牛皆伝
第1章 転生編
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第1話 チー牛は自分語りを始める

※この作品は、陰キャ思考をこじらせた主人公・牛久チーの一人語りで進みます。

ネガティブな発言や、偏った見方が多く出てきますが、あくまで「チーならこう考えるよな」っていうフィクションとして読んでもらえると嬉しいです。

読む方によっては不快に感じる表現があるかもしれませんが、そこも含めて一つの物語として楽しんでいただければ幸いです。

 



 俺は牛久チー。よく言われる、"チー牛"というやつだ。


 学校に行く準備をしながら、クソ雑魚主人公の俺の人生――プロフィールを語っていこう。


 俺は温玉高校2年だ。成績は中の下くらい。


 洗面所で自分の顔を見るたびに「誰こいつキッショ」ってなる男だ。見てくださいよこのブッサイクな覇気のないキモイ顔。いやあマジで笑いすぎて涙出るわ。


 そしてチー牛と言えばこの眼鏡。


 いやそれ俺が悪いって?コンタクトしろって?――ばっかお前、見た目のためだけにあんな異物を目に入れてわざわざ眼病リスク増幅させるのはさすがに避けたいですよ…。コンタクトわざわざ外して寝るんだぞ?だらしない俺なら外し忘れる。眼鏡が一番楽なんだよな。まあ、自分の皮脂でどんどんずれ落ちてくけど…。


 きもいと思ったそこの君、大正解。むしろきもいは誉め言葉や。自覚してるからな。


 てか、眼鏡=チー牛とかオタクとか、ネガティブなイメージあるけど、これイケメンが付けたら全然そんなことなくない?オシャレって誰がするか、だと思うんだよ。思ってるだけ。


 次。当たり前だが、彼女はおろか、友達もまともにできたことがない。強いて言えば、小学生や中学の時に同じゲームをしていたオタクとつるんでたくらい。


 ゲームしてるときが俺の一番の幸せな瞬間だ。


 あくまで俺の意見だが、彼女は欲しくない。彼女を作ること自体にメリットを感じない。というより、怖すぎるんだよ。


 彼女の言いなりになったり、ご機嫌取り、金と時間は彼女のために消える。そしてチー牛の様な弱者男性の場合、万が一、一部の悪い女に騙されて冤罪をでっちあげられれば社会的に終わるリスクがある。


 勘違いする人もいるかもしれんが、俺は男だから、本能で女の身体は好きだ――これはどうにもならん。


 でもその本能を“きもい”って言うなら、世の中の男のほとんどが“きもい”ってことにならねえか?……って話。


 え?彼女作れない言い訳だって?当たり前じゃん、認めるさ。実際モテていないのは事実だ。


 でもルッキズムが加速してる今、どこを見てもカップルはイケメン(俺調べ)、生まれつきの顔や骨格は努力では大きく変えられない、性格は顔前提の話。


 こんなの、無理ゲーじゃないすか?誰が無理ゲーに挑みたいと思う?もちろん無理ゲーに挑むチャレンジャーも世の中にはいるが。リスクがでかいのよ、リスクが。


 きもい顔の奴がオシャレとかして、周りにどう思われるかって考えると怖くなるんだわ。俺がオシャレしようとしたところで「イキってる」って思われる、かもしれないやろ。


 誰も笑ってないのに、心の中では絶対バカにされてる――そんな被害妄想が止まらない。


 親にワックス付けるの見られたらバカにされたし。いや、バカにはされてないんだけど、態度そのものがバカにしていた。無理だよもう。


 まとめると、俺が女を避けている一番の理由は、弱者男性にとってリスクが高すぎること。


 被害妄想おつ? 行動しろ? だから言ってんだろ、リスクがでかすぎるんだって……軽いもんじゃないんだよ。もし万が一、被害者ぶられたら、男の人生なんて一発で詰むんだよ。……なんで、わかってくれないんだよ…


 こういう話になると熱くなってしまったが、もちろん、俺は“全員が”なんて思ってはいない。でももし俺の関わった人間がそうだったのならと思うと怖いから、社会的に終わらないための自己防衛にすぎないのだ。


 色々あったが、俺は温玉高校に入学。


 自己肯定感などが下がった俺は中学からどんどん成績は下がり、底辺校……ほどではないけどランクの低い高校に進むことになった。


 当たり前だがそんな高校へ行く知り合いはいない。元々友達などほとんどいないのだが。


 もちろん、勉強が苦手な人ばかりが入ってくるということは、一定数の“ヤバい奴”が混ざっているということだ。


 全てじゃあないが、不良ってのは、弱い奴を見下して優越感を得る事でしか、自分を保てない連中がいる。


 それはつまり、俺がターゲットにされるということだ。


 俺は入学早々に目を付けられた。「あそこにチー牛がいるぞ」、なんてな。しゃあない、見た目通りのチー牛だから。


 チー牛と言われたり、何かするたびに笑われたり。まあ、そんな軽いものから――令和の今どき、こんなことする奴いるんだなって思うけど、ときには殴るためだけのサンドバッグ扱いされることもある。


 先生たちも見て見ぬふり。それは……辛いけど、仕方ない部分もあるよな。いじめの事実を隠したいだろうし、自分が標的になるのは怖いだろうし。


 俺もよく精神を壊さずに、学校に通えてるもんだよ。――ただ、ブサイクに生まれただけで。恵まれない家庭に生まれただけで。


 準備を終え、今日も学校に向かう。


 学校に着いてからが、地獄の始まりだ。靴を履き替え、階段を上がる。俺の教室は、2階の端っこにある2年6組。


 教室に着く瞬間が、一番緊張する。今日も深く息を吐いてから、嫌々ドアを開ける。


 俺が入ると、教室に微妙な沈黙が流れる。――いつもこうだ。顔にコンプレックスがあるやつにとって、注目されるってのは地獄だ。分かるか?この気持ち。


 今日もさんざんちょっかいをかけられ、「チー牛」だのと言われる。


 たまに、俺が何も言わない――いや、言えないのをいいことに、軽い暴力を受けることもある。


 これが、俺のプロフィールであり――誰にも知られない、俺だけの“日常”だ。

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