表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/56

気持ち

「樹くん……」

 大好きな名前を呼ぶと、大好きな貴方が私を見る。

「どうしたの?」

「あのね」

 花火の音、他の人達の声。どれよりも、私の心臓の音が大きく聞こえる。

 静かにして。今だけ、落ち着いていて。

 今から、伝えられるから。やっと……この気持ちを貴方に分かってもらえるから。

「少し、聞いてほしいの」

 せっかくなら、ちゃんと伝えたい。聞いてもらいたい。

「……努力家で、陰での頑張りをひけらかさないところ。人のことをよく見ているところ。ゆっくり話すところ。歩くとき、合わせてくれるところ。勉強ができるところ。他の人からも慕われているところ。私の夢を、応援してくれるところ。」

 樹くんは、何が何なのか、分かっていないみたい。

「鈍感なところ……そんな、色んな樹くんが、大好き」

 今まで我慢していた言葉と同時に、涙が溢れた。

「紗理奈さん……その……」

 突然の告白か、それとも私が泣いていることか。どちらにせよ、樹くんは困っている。

「樹くん、聞いてくれてありがとう……返事がどちらかは、分かってるわ」

 当たって砕ける。そう、決めたんだもの。

 伝えられただけでも、嬉しかった。

「あと、最後にこれだけ言わせてほしいわ」

 樹くんのちょっと困った目を真っ直ぐ見て、伝えたい。

「樹くんも、自分の気持ち……ちゃんと大事にしてね」

 それから、お互い、何も言わなかった。

 私は、花火を最後まで見てから帰ることにした。

 手だけ振って、歩き出した。

 気のせいかもしれないけど、少し体が軽い。

「……全部、言えたわ……」

 嬉しいはずなのに。言えて、幸せなのに。一緒に居るだけで良かったのに。どんどん欲深くなっていっちゃう、自分が怖い。

 樹くんに、全部届いているといいな。

 もちろん、後悔なんてしていない。

 好きになって良かった。一緒にいれて良かった。色んな貴方を見れて、好きになれて良かった。話せて良かった。触れられて良かった。

 全部、嬉しかった。楽しかった。幸せだった。

 樹くんも、そうだと良いな。私と過ごしたことを、良い思い出にしてほしい。 

 そうだと思っても、一度溢れてしまった涙は止まってくれない。

 これは、樹くんへの気持ちの分ね。なら、まだまだ止まないわ。

 家族がいるから、せめて涙を止めてから帰ろうと思って、公園に寄った。

 背中を押してくれた亜澄や貴也くんに報告をしようと思ったら、丁度メッセージが来た。

「電話してもいい?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ