表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/56

 リンゴ飴を持った樹くんが、男性が掴んでいた私の手を掴んで、近くに寄せた。

 男の人達は、あっさりいなくなって、人混みの中に消えていった。

 助かった……けれど、彼女って……! 嘘なのは分かっているけど……

「紗理奈さん、怪我ない? 大丈夫?」

 心配してくれる樹くん。そうよね、なんとも思ってないわよね。

「大丈夫よ。助けてくれて、ありがとう」

「なら良かった。ちょっと移動しようか」

 ベンチがある場所に連れて行ってくれて、そこに2人で座った。

「樹くん、飲み物買ったのだけれど……ブラックコーヒーで良いかしら?」

「ありがとう。俺がブラックコーヒー好きなの、知ってたんだ」

「えぇ……よく飲んでるもの」

 話しかける機会も勇気もなかったとき、私は貴方を見ることしかできなかった。少しでも、知りたくて。

 樹くんは、ブラックコーヒーを受け取って飲んでくれた。

 私は、その横でリンゴ飴を食べる。ちょっと熱くて、すごく甘くて、大きくて、重い。

「美味しい?」

「……えぇ。あっ、お金! 何円だったかしら」

 お財布を取り出して払おうとすると、樹くんは断った。

「いいよ。紗理奈さんが自分から食べたいって言ってくれたの、嬉しかったし。それに、コーヒーもあるしね」

 樹くんは、そう言って頑なに受け取ろうとしなかった。

「樹くん、私舌真っ赤じゃないかしら?」

 かき氷シロップで舌がブルーハワイの青やレモンの黄色になるように、リンゴ飴でも赤になってるんじゃないかしら。

「あ、ほんとだ。真っ赤だよ、唇もだね」

 手鏡で確認すると、口紅を塗ったみたいに真っ赤になっている。

 リンゴ飴を食べていると、アナウンスが流れた。

「もうすぐ花火始まるみたい。ここからだったら見えるね」

「そうね。去年が凄かったから、楽しみだわ」

 まず、ひとつめの花火が上がった。

 赤色のもので、まだ小さい。徐々に大きく、華やかになっていく。

「今の星の形してたわね!」

「あ、今度は青だ」

 花火を好きな人と見れるって、こんなに幸せなのね。……もう少し、欲を言っても良いかしら。

 これからは、どの景色も一緒に見たい。貴方も、私と同じ気持ちで見て欲しい。

 流石に、これは我儘よね。

 次々と打ち上がる花火の大きさと音に驚きながら、動画を撮って楽しそうにする貴方。

「樹くん……」

 また、服の裾を掴んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ