夏祭り
前のエピソード、48話の投稿時間の設定にミスがありました。
これからも、今まで以上に気をつけていきますので、暖かく見守っていただけると幸いです。
「人が多いわね……」
毎年あるこのお祭りは、やっぱり人が多い。家族や友達と来ている人、特にカップルが多い。
「紗理奈さん、はぐれそうだったら俺の服でも掴んどいて」
「えぇ……」
私が人混みに流されないように、なるべく人がいないような道を選んでくれた。
ずっと、裾を掴んで、はぐれないようにしていた。こうでもしないと、貴方はどこかへ行っちゃいそうな気がした。樹くんは、ずっと前にいてくれてるのに。
「何か食べたいものある?」
比較的、人の少ないところに来たとき。樹くんがそう聞いてくれた。
私は来る途中、色々な種類の屋台に目移りしていた。
少し、お腹が空いた。
「そうね……あ」
周りを見渡していると、あるものが目に付いた。
大きくて、食べきれないと言われて、ずっと食べたかったもの。
「リンゴ飴?」
「ちょっと食べてみたくって」
「じゃあ、俺買ってくるよ。ここで待ってて!」
そう言って、私が引き留めるまでもなく樹くんは屋台の列に並んでいった。
流石に買いに行ってもらうのは申し訳ない。私も行こうとしたけれど、ここも人が多い。人混みではぐれてしまったら、それこそ迷惑になってしまう。
「なにか飲み物でも買っておこうかしら……」
私がいるすぐそばに、自販機がある。
樹くんは、よくブラックコーヒーを飲んでいた。けど、気分じゃないかもしれないし……
メッセージを送ろうとしたけれど、人が多すぎて繋がってくれない。
「一応、お茶も買っておこう……」
断られたら、私が飲みましょう。……飲めるのかは、分からないけれどね。
缶コーヒーとペットボトルのお茶を持って、もといた場所に戻る。
樹くんは、まだ帰ってこない。やっぱり人が多いし、列も結構並んでいたし……
「お姉さん1人?」
誰かが、声を掛けられているみたいね。大丈夫かしら……
「ねぇねぇ」
「っ!?」
肩を触られて、驚いてしまった。もしかして、声を掛けられていたのは、私……?
少しガラの悪い人。容姿も派手だし、集団の男の人って怖いわね……
「人と来ていて、その人を待っているので……」
こう言えば、離れてくれるわよね。
そう思ったのに、男の人はもっと距離を寄せてきた。
「あの、やめてくださいっ」
手を掴まれて、人が多いから、何か言っても誰にも聞こえていない。
どうしよう……怖い……
「俺の彼女に何か用ですか?」




