解散
帰り道。俺たちは、電車に乗って帰っている。
あれからはしゃぎっぱなしだった楓は、疲れたようでぐっすり眠っている。
席は空いていて、5人座ることができた。
「紗理奈さん、起こすから寝てていいよ」
貴也が、眠たそうにしている紗理奈さんに言った。
「ありがとう……」
安心したように、紗理奈さんも眠りについた。
俺の隣に座る亜澄は、何も気にせずに俺にもたれかかって気持ちよさそうに眠っているが。
「……貴也は寝ないの?」
「俺はいいよ。樹も寝ていいよ」
「俺も別に……」
貴也が、紗理奈さんを送ると言ってくれた。
「樹は亜澄さんをよろしくね」
「まぁ、家隣だし……」
送るというまでもない。
「楽しかったね。紗理奈さんも、楽しんでて良かった」
貴也が、自分の肩に頭を置いて寝ている紗理奈さんを見て微笑んだ。
「……そうだな」
亜澄と紗理奈さんのことも気になるけど、とりあえず楽しかった。
「あともうすぐで駅だね」
「そうだな。起こすか……」
楓は、いつも中々起きないから、少し早めに起こす。
貴也が、紗理奈さんを反対の壁にもたらさせて、楓の座っているところに行った。
「楓、起きて」
「んー……」
いつも、これだけじゃ起きないんだよなぁ……
「もう終電だよ、みんな降りたけど~」
「うえっ!?」
「あ、起きた起きた」
貴也は、いつもそうやって起こす。楓は何回でも引っかかって、周りの乗客はクスクス笑う。
恥ずかしいからやめてほしいんだけどな……
「亜澄、そろそろだぞー」
「ん~……」
眠い目を擦りながら、スマホで時間を確認している。
「ん……」
紗理奈さんも起きたようだ。
貴也は、二度寝しようとする楓を止めている。
「亜澄」
亜澄の手を引いて、電車から降りる。
「紗理奈さん。ほら、楓。早く!」
「貴也ぁ、俺もエスコートしろよ~!」
「絶対しない……」
乗り場から離れて、外に出る。
今日は、ここで解散だ。
「紗理奈さんは、俺が送るよ」
「ありがとう、貴也くん」
「亜澄、帰るぞ」
「じゃーなー!」
亜澄も目が覚めてきたようなので、手を離そうとした。
「待って……」




