海
待ち合わせ場所の駅に着いたのは、俺と亜澄が最初だった。貴也からもうすぐ着くと、楓は少し遅れると連絡が来た。
「ちょっと速く着いちゃったね」
駅の時計は、待ち合わせ時間の5分前だ。
「そうだな……あ、亜澄って門限とかってあるか?」
「門限? んー……まぁ、20時とかじゃないかしら」
「了解」
紗理奈さんと一緒だし、みんなでそれくらいの時間に解散すればいいか。
亜澄は家が隣だから、必然的に送る形にはなる。紗理奈さんは、方向が同じ楓か貴也に送ってもらうこともできる。
「ねぇ樹、今日の服どう思う?」
亜澄が、俺の袖を引っ張って、そう言った。
「あぁ、やっぱり新しいワンピースだよな。見たことなかったし……いいじゃん」
「……あっそ」
「意見求めといて、何だよその…」
俺が返事、と言いかけた時に丁度3人が来たみたいだ。
楓は、何とか間に合ったらしい。少し寝癖が付いているから、寝坊でもしたんだろう。
「おはよう」
「おはよう、みんな」
電車の乗り場まで移動して、電車を待っていた。
「樹くん、さっきぶり」
「そうだね」
紗理奈さんが、話しかけてくれた。
「紗理奈さん……髪、変えた?」
「えっ、えぇ……ちょっとアレンジしてみたの……」
いつもは下ろしているだけだけど、今日は結んでいる。名前は分からないけれど、まとまってスッキリしている。
「どう、かしら……?」
「似合ってるよ」
「本当? また、やってみようかしら……」
紗理奈さんは、嬉しそうに髪を触ったり、鏡を見たり。
後ろから、鋭い視線を感じるのは、俺だけなのかな……?
「海だー! 風が気持ちいなー!」
テンションが上がりっぱなしの楓。
「まだ全然だろ……」
海が少し見えたくらい。
「まずご飯買うんだっけ?」
「あ、売店あるよ」
貴也がスマホのマップで見つけた売店に向かうことにした。
「苦手な食べ物とかあるか?」
「私は大丈夫よ」
「うん、私も!」
「んー、じゃあこれとこれ……」
楓と亜澄が、2人で選んでいる。
紗理奈さんは、後ろから見ているけど……
「紗理奈さんも選んだら?」
「わ、私はいいわよ……2人に任せるわ」
「そう?」
でも、さっきから明らかにあのサンドイッチを見ているような……
「紗理奈さん、俺もなんか買うけど……これも買う?」
「じゃあ……」
5つ注文して、紙袋を受け取った。2人も買い終わったみたいで、みんなで海に向かった。




