お客さん
「ジェラート3つと、スマイルくださーい!」
変な注文をするお客さんかと思ったら……
「本日、スマイルは売り切れになりまぁす……」
笑顔が消え、声のトーンが下がった亜澄。
ショーケースの前のお客さんは……
「楓くん、貴也くん……樹くん?」
楽しそうな楓くんと、ちょっと呆れ気味の貴也くん。それと恥ずかしそうな樹くん。
「ここに来たのは偶然! 2人を見かけたからさ~」
「あのねぇ……!」
怒りそうになってる亜澄を止めていたら、厨房からお父さんが出てきた。
「紗理奈のお友達? 最近、たくさん来るねぇ」
「お父さんっ! 厨房は大丈夫なの?」
「今は落ち着いてるから大丈夫だよ。2人も、お友達なら休んで良いよ。君たちも、店内でゆっくりしてくれ」
カフェスペースの5人席に案内して、みんなで座る。
まさか、3人が来るなんて……メイクもまともにしていないし、髪も適当に結んだだけだし、動き回って汗もかいているし……来るって分かってれば、もっとちゃんとしたのに……!
「ジェラートだったよね。はい、どうぞ」
「ありがとうございまーす!」
お父さんがジェラートを5つ運んで来てくれて、楓くんたちは幸せそうに頬張る。
「美味い! 冷たい!」
「そりゃそうでしょ、楓は急いで食べ過ぎ。」
「お母さんかよ、貴也……」
3人とも、美味しそうに食べてくれた。
「美味い~! 紗理奈は、厨房で何作ってんだ?」
「ケーキのスポンジを泡立てたり、それくらいよ。たまにフルーツをのせたり……」
「へぇ~! あ、ケーキ出すんだよな!? おめでとう!」
楓くんがそう言ってくれて、樹くんも、直接言いたかったと言ってくれた。
「早く出せるといいね」
「え、えぇっ……」
私服の樹くんは、何だかいつもより破壊力……? があるわ。
本当にどうして今なのよ~!
「亜澄、ケーキ屋って大変?」
「ん~、そりゃ大変ではあるよ。色んなお客さんがいるしね。でも、楽しいよ! 嬉しそうにケーキを食べたり、持ち帰ったりするお客さんの顔を間近で見れるもん。良い仕事だよ!」
「へぇ~」
「亜澄、接客得意だもんな。前はカフェでバイトしてたんだっけ?」
「うん。短期でね」
だから、あんなに覚えも速かったのね。
「私、将来は接客に関わる仕事とかしてみたいなぁ」
「へぇ。カフェとか、レストラン?」
亜澄は、接客を通して、色んな人と関わってみたいと話していた。
それから少し話して、3人は帰って行った。焼き菓子を何個か買って、嬉しそうにしていた。
「はぁ……1番大変なお客さんだったね~」
「ふふっ、そうね」
亜澄は、その後も楽しそうにレジの仕事をしてくれていた。




