手伝い
「いらっしゃいませ~!」
眩しいお日様みたいな笑顔を振りまいて、元気に大きい声を出す。悩んでいるお客さんを暖かい目で見守り、おすすめを教えたり、特徴や材料などを言ったり……
「貴方、どうしてそんなに慣れているの?」
お昼休憩、お父さんが私にも時間をくれて、裏のスタッフルームでお昼ご飯。
「こういうのは得意なの! それより、ケーキ屋って楽しいね。美味しい匂いがするからお腹空いちゃうけど……」
「経験があるってこの前言ってたものね。」
お腹が空いたと、お父さんからの差し入れの冷たいジェラートも美味しそうに食べている。
「紗理奈のケーキ、まだなの?」
「えぇ。他のスタッフにも伝えて、作り方だったりを定めないといけないの。それと、うちの店にあるケーキの種類が書かれたメニュー作りもね。」
「へぇ~、出すのにも時間が掛かるんだ~……」
早く自分のケーキを出したいっていう気持ちも、もちろんあるけれど……もっとこだわって、より良い物にしたい。
「出たら教えてね!」
「えぇ、もちろんよ」
お昼休憩が終わって、亜澄はレジに戻った。私は厨房で、任された仕事をこなしている。
「いらっしゃいませ~! 冷たいジェラートはいかかですか?」
「あら、じゃあそれにしようかしら」
ジェラートを買おうか迷っているお客さんに、味の種類などの説明をしている。
最初にチラッとメニューを見ただけなのに……もうあんなに覚えている。
さっき食べたジェラートを気に入っていたから、それをおすすめしたみたい。お客さんは、それを注文した。
「ありがとうございました~!」
亜澄、やっぱり接客が得意なのね。
私は笑顔を保つのが苦手で、自然に笑えばいいのだけれど、笑顔を作ったり、やり方が分からなくていつもへにゃっとした顔になってしまう。
声も小さいし、知らない人と話すと緊張してしまって、こわばってしまう。
「……凄いなぁ」
やっぱり、亜澄もかっこいいわね。本人は、あまり自覚がないみたいだけど。
「紗理奈、厨房は間に合ってるから店内に運んでくれ」
「はい!」
渡されたケーキを店内のカフェスペースの机に運ぶ。
「こちら、季節のフルーツタルトになります」
運ばれてきたケーキの写真を撮り、嬉しそうにフォークを手に取る。
「ごゆっくりどうぞ」
美味しそうに食べてくれるお客さんを見るのが好きだ。
あのケーキは、私が作ったわけではないけれど……いつか自分も、あんなふうに人をケーキで幸せにしたいと思える。そして、それをしているお父さんを尊敬する。
別の机からオーダーを取って、厨房に報告。
亜澄を手伝おうと、レジに向かうと……
「ジェラート3つと、スマイルくださーい!」




