将来
「暇だなぁー……」
俺は、夏休みをぼーっと過ごしていた。勉強は……今日はもう終わりだ!
樹も貴也も、今日は予定があるらしいから遊べない。
特にやることもないし、家には誰も居ない。外に出るにも、この暑さじゃ出る気にならない。
「……早く来ねぇかなー」
1週間後が、みんなで遊ぶ日だ。とりあえず、最初はベタに海へ行くことになった。
紗理奈とかがはしゃいでるとこは想像つかないけど……楽しんでくれるといいな。
友達と過ごす夏休みは、彼女は初めてらしい。初めてが、思い出に残る良いものになるように、俺らも楽しもう。
「楓、課題は!?」
「うるせー! 今からやろうとしてたんだよ、今から!」
家に居ても、母さんがこう言ってくるし……
適当に漫画でも読もうかと思ったら、スマホの通知音が聞こえた。
「どうせ公式メールかなんかだろ……」
そう思って、一応開くと……
「紗理奈?」
珍しいな。なんかあったのかな……
〔紗理奈:実は、自分のケーキを出せることになったの。良かったら、また食べてちょうだい〕
それに、ありがとうのスタンプが添えられていた。
「紗理奈……ついに出せるのか~!」
紗理奈のお菓子は本当に全部美味しい。樹が言ってたけど、暖かい、優しい味がする。
自分の夢に向かって、こんなに色々考えて、努力して……紗理奈はかっこいいんだよな。
〔楓:おめでとう紗理奈! また買いに行くよ!〕
それと、樹が使っていて可愛いと思って、真似して買ったおめでとうのスタンプを送った。
将来なぁ……
細かく決めたこと、考えたことはない。勉強は苦手だし、好きで得意な音楽だって、仕事にするって言われてもピンと来ない。
樹と貴也は、凄いことだって言ってくれるんだけどさ……
「樹と貴也は、なんか決めてんのかなぁ……」
進学か就職か、くらいはふわっと決めておいたほうがいいのかなぁ。
でも、今はまだ高校生を楽しんでいたい。
「ん? 貴也からもなんか来てる」
メッセージの通知がまた来た。
〔貴也:紗理奈さんの家のケーキ〕
美味しそうなタルトの写真。
「へぇ、タルトかぁ。美味そう……って何だよコレ!」
自慢か? 予定って言ってたのこれかよ……なら俺も連れてけっての!
「また、買いに行こう。おめでとうも、直接言いたいしな~」




